ゼロの視点
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2009年06月12日(金) おくりびと

 今年の1月末に、日本からパリへ戻ってくる機内で鑑賞した映画『おくりびと』。個人的には、“ふーーん、あっそ”って感じだったのだが、この映画をみてフランス人がどんな反応するのか間近に見たい衝動にかられ、さっそく夫を伴って近所の映画館へ突撃。

 納棺師以前に、遺骨をはしで拾って骨壷にいれる、という日本の風習時代、びっくり仰天しているのが大多数のフランス人。『骨まで、箸を使って拾うのか!、どこまで日本人は変態なんだ!』みたいに質問しかえしてくる状況にも、すっかり慣れた昨今。

 そんな中、皆の前で死体の着替えをして、化粧して等という、ある種、人生最後の露出狂的祭事をテーマにした映画は、今後、フランス人相手に“死生観”について議論する時のいい材料ともなりかねないゆえ、個人的にはこの機会を見逃せなかったわけだ。

 終始コミックな部分がおおいこの映画、館内のフランス人はゲラゲラ笑ったりしていたが、中盤以降ぐぐっと泣かせる展開になるや否や、館内に鼻水をすする人々の音がこだましはじめた。おおっ、予想以上にこのベタな展開にダイレクトにやられて、泣きまくっているフランス人が多い模様、すごっ♪。

 棺桶に入った吉行和子に向かって、火葬場職員の笹野高史が別れをつげる場面で、館内の鼻水じゅるじゅるサウンドは第一のクライマックス。そして、ラストの峰岸徹の手から石が発見されるシーンで、鼻水サウンドが館内を覆いつくす。

 隣を覗きみてみると、夫の涙腺も崩壊中!。そんな夫の姿に不覚にも吹いてしまって、声出して笑いそうなところを必死にこらえる私。これぞ、まさしく本当の葬式中によくやる私のありさまでもあるのだが・・・・・、まさか、映画の葬式シーンでもこうなるとは・・・。

 それにしても、ここまで涙腺が崩壊した夫を見たことがなかったので、あーー、本当に驚いた。映画が終わり、館内にが明るくなると、あからさまに目を赤くしたフランス人がたくさんいた。どうやら、とりあえず成功なんでしょうなぁ、この映画、西洋人をここまで泣かせたのだから・・・・・・。




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