リリーフランキー著 扶桑社
前評判がかなり高い本なので、どんなもんかな〜と用心して読みましたがよい読み物でした。 テレビ出演やイラストで多少知っているだけの作者について、突然、詳しい人になってしまう物語。
作者が人と出会うたび、何かが起きたり、起きなかったりの時に感じる気持ちや 過去のそれらに対する今の視線などが、面白く、切ない。 そして、どう考えてもお母さんが素敵な人です。 世の中の母に、この作者の母の明るさが乗り移ったら、もっとしあわせな子どもが増えるんじゃないかと思う。 でも、こんな素敵な明るい女性でも、嫁姑問題は難しいものだったのだと知ると、その関係の底知れなさが怖いと思ったり。 話しの筋とは無関係で気になったのは、 お母さんが息子の友人たち、仕事関係者に食事をふんだんに出すのですが 概ねの人が、喜んで相伴に預かり、母のファンになっていく中、 どうしても食べない、想像がつきやすい女性の描写があるのです。 当然、作者はそういう人をバッサリ斬っています。
作者の視点にたつと出されたものに全く手をつけない。なんて失礼な、ダメな人なんだろうということになってしまうのだけど 成人するまでは、他人が作る料理(とくにおにぎりとか無理だった)を食べることができなかった私には少しヒヤリとする話でした。 1人暮しを始めて、友人たくを泊まり歩くようになったら、あっという間にそんな癖は消えたのですが 学生時代の自分の神経質さを思い出してしまいました。
同世代なので、作者の辿ってきた文化や世の中の流れなど懐かしくなったりもします。 話し運びがスムーズではないし、寄り道も多いのに、最後まで読みたいと思わせる面白さがありました。
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