少し気持ちを落ち着けて部屋の中を見渡す。 一つ一つ片づけながら、この数カ月自分がいかに色々な事に無関心だったかに気付き愕然とする。 当たり前のことが当たり前に出来なくなっていた生活。 一体何がそうさせていたのだろう。 自分を形作るものとは一体何だろう。
子供は立派な一個の人格である。しかし母は? 母性とは一体何なのだろう。 私にはそれが欠けているのだろうか。 母性とは純粋な本能なのだろうか。それともある程度は理性でコントロールされるべきものなのだろうか。 いくつも答えを出しては否定する。
懸命に生きても一生、無為に生きても一生。 無為に生きて来た時間は取り戻せるのだろうか。 取り戻さないまでも、マイナスを経験に変える事ができるのだろうか。 これから自分の織り成す時間は見えない。 見えなくても目を開いて歩いて行くより他に道はない。
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