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No-Mark Stall *




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あかあおみどり。 | 2008年06月04日(水)
アニティアの瞳は赤い。
けれどもそれは炎のような猛々しさとも血に似た鮮烈で戦慄するような強さとも違う、芳醇な香りを放つ葡萄酒のように美しく深みをもった、見たものの意識を惹きつけ酔わせるような色だ。
無言でじっと瞳を覗き込まれ、さすがに居心地の悪さを感じたのか、アニティアは困ったように眉を下げた。
妖艶さを湛える色に宿る光はひどく稚く、苦笑して視線をそらす。

シアシェの瞳は蒼い。
ただそれは遠く突き抜けるような晴天の青とも海のような慈しみに溢れた青とも異なる、たとえるならば誰もが見惚れる西の黄昏の、その裏側にいる静かな東の空のような美しく寂しげな藍色だ。
不思議そうに瞬きを幾度か繰り返した彼女は、自分を見つめる双眸を同じように見つめ返した。夜が訪れる直前に満ちる静謐は、何も暴くことはないが何もかもを知っている。
覗き込むつもりが覗き込まれそうで、そっと眼差しを落とした。

クリスの瞳は翠色だ。
芽吹いたばかりの双葉のように瑞々しく、初夏の陽光を浴び微風に揺れる若葉のような、澄んだ明るい色をしている。
見られることに慣れているのだろう、視線を平然と受け止め、彼女は少しばかり不機嫌そうに睨み返す。
若い美しさは加減というものを知らぬ。豊穣と希望の翠に燃やし尽くされそうな錯覚を覚え、目礼を返して視線を外した。


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眼の色の話。外見に関する形容が大仰というかきらきらしい感じだとああ耽美だなーラノベだなーという気がします。
written by MitukiHome
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