強い人が好き

私は、後ろ向きな人が苦手だ。
私が短絡的過ぎるのかも知れないが、友人とかに相談された時、


「彼氏と別れたい・・・でも別れられない・・・」
そんなに思いつめてるんだったらもう嫌いって事だよ。早く別れろよ。


「今の仕事やめたい・・・でもやめられない・・・」
いやいややってても仕方ないよ。お金の方が大丈夫だったらとっととやめて早く次の仕事探そうよ。


「いつもは優しい彼が好き・・・でも、彼が浮気して悲しい・・・私には、彼しかいない・・・」
とっとと別れて回り見渡せばいい男死ぬほどいるってば!


とか。
まぁ、口で相談されたって、こんな事思うんだから、ネット上で文章で後ろ向きになってる人見たりすると、ますますその人の詳しい事情やら背景やらが見えなくてイライラしてはウィンドウを閉じたりする。


私は楽観的過ぎるのだろうか。
私は悩み事を、あまり人に話さない。
話すとしても、自分の気持ちが90%決まってから、
「こうしようと思うんだ」
と宣言するだけである。
結局、アドヴァイスされたって、自分の思った通りにしかしない性格なんだ。
失敗も多いけど、別に死にはしない。


確かに、世の中には不幸な人が沢山いるけど、「不幸な自分」に酔って、ますます不幸になってる人が多いんだと思う。
不幸な自分に酔うのは楽しいのだろうか。
実は、私も、不幸な自分に酔った!今酔ってたよ!と、実感した事がある。


中学校2年か3年の頃だろうか。
その日は夜、ママンは仕事で、私は家に一人でいた。
で、何かを探して、ママンのタンスの引き出しを探っていた。
すると、引き出しから、一通の手紙が出てきた。
父親からだった。
離婚してもう十何年も経つ父が、わざわざ手紙でなんの用だ、と、嫌な予感に苛まれながら、手紙を読んだ。
あて先は、私と、ママンになっていたから、私にも読む権利があるはずだと思って。
中には、衝撃的な事が書いてあった。
こんな事が自分の身におきるなんて、と、ショックだった。
・・・内容は、あまりこういう場で書く事じゃないので、割愛させて貰うが。
とにかくショックだったんだ。
で、
「ああ、こういう時、ドラマとかだったら、声も出さずにほろほろと泣いたりするんだろうな」
と思ったら、そのとおりに泣いていた。
「そんで、壁に背中つけて、ずずず〜っと座り込んじゃうんだ。」
と思ったら、そのとおりに座りこんでいた。
パーフェクトに不幸を演じてる。
しばらくそうしていて、ふと、
「あほくさ。」
と思い、手紙を元通りに直して、TVを見て、笑った。
一瞬、黙っていたママンを恨んだが、まぁ、ママンもママンなりに、思春期の私に、衝撃を与えまいとして黙っていたのかもしれないな、と思い、手紙を見た事は黙っていた。


不幸に酔っている自分をバカらしいと感じた、貴重な瞬間だった。


私は、それから、「自分に酔う」という事に敏感になった。
プラスの方向で酔っている分には、それが過剰でない限り、健康的な事で結構じゃないかと思ったが、マイナス方面で酔うのだけはやめようと心に誓った。
恋に破れて酔う事もあったが、そういう時はいつも自分で自分を気味悪く思っていた。


だから、恥ずかしげもなく不幸に酔っている人を見ると、身もだえしてしまうんだ。見てるこっちが恥ずかしいよ。
私は強い人が好きだ。
プラス思考の人が好きだ。
プラス思考の人は見ていて清清しい。
私は優しくないから、不幸な他人に優しくなんて出来ない。
そんな余裕私にはないんだ。
友人や身内ならまだしも。しらない人の不幸なんて、気が重くなるだけだよ。



余談だが、私が成人になった頃、ママンが、その手紙の話をした。
「うん、知ってたよ。偶然読んだから。」
と平気な顔していう私に、ママンは目を丸くしていた。
「あんた、大丈夫やったん?」
というママンに、
「うん。だって、あれはパパの事であって、私自身の事ではないもん。パパは私のパパで、大事な人だけど、パパの人生と、私の人生は別のものだもん。」
というと、
「あんた、悟り開いてる人みたいで気味悪いわ。いっつもボーっとしてるくせにな。」
とママンは爆笑した。
いい母を持って幸せだ。あはは。
2003年03月04日(火)

宝物 / リカ

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