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2005年04月21日(木) 嫁姑バージョンまんじろう

いつのまにか始まってしまった新企画に驚きを隠せないるるです。
あゆは、ほんとにすごいですね。
何の相談もなく、いきなり新企画を始めてしまうんですから。
そこかよ。
恨んでるんでしょうか。
久しぶりに、不協和音説浮上でしょうか。
いえね、ワタクシ、本当にあゆの文才には脱毛してますの。
脇野房子です。久しぶりの登場です。
ワタクシはあゆに、「あれ、いきなり書くの?それとも構想をあたためてたの?」と聞きました。
あゆは「あれは駅から帰る道でだいたい考えた」と答えました。
驚きましたよ、ワタクシは。
何の相談もなくいきなり新企画を始めてしまうことに。
あ、これは違いました。
やっぱり根に持っているんでしょうか。
駅から帰る道は、夕食の献立しか考えていないワタクシですので、本当にあゆはすごいなと思ったのでした。長女なき今、余りもののパンで夕食を済ますことも難しいあゆ家だと言うのに。

ワタクシ、先日始めてショートショートに挑戦しましたが、
ふざけないで文章を書く事がこんなに難しいとは思いませんでした。
それなのに、昨日のゆみなはどうでしょう。
あんなにふざけてばかりの文章というのも、なかなか書けないものです。
あれだけきれいな作品を、パロ化しろと言うあゆにも驚きましたが、
あそこまでバカな内容に書きかえるゆみなは、天才的だと思います。
いったい誰が「もう会わないわ」を「もう泡ないわ」にすると予想したでしょう。
まさに、サイコーのサイテー、天才バカボンなのです、ゆみなは。

うぅぅぅぅ、、、、
指令によれば、今日はワタクシが「静心なく花の散るらむ」を「嫁姑バージョン」にするらしいのですが。。
ええ、やってみたんですよ。
でもね、嫁姑という普遍の粘着テーマだけに、どう書いても文と文の合間から
底意地の悪さがにじみ出てきてしまうのです。
どんなに、ほのぼのとしたホームドラマ仕立てに書こうと思っても
どーーしてもネチネチとした陰湿なものになってしまうのです。
フィクションのはずなのにっ!

そんなわけで、あゆの作品「静心なく花の散るらむ」橋田壽賀子バージョン、いきます。
どうぞ、先に原作 をお読みください。
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  「静心無く花の散るラムだっちゃ!」

どういうつもりでこんな時間にやって来たのかしら。
姑は心の中でつぶやいた。
そして、あわてて大福を隠しながら、向かい側に座っている嫁の顔を伺ってみる。
今まで嫁が自分から、掃除する時以外に姑の部屋を訪ねてくることなどほとんどなかった。
しかも、美味しい大福をこっそり一人で食べている時に来るなんて。
今時の嫁には珍しく、息子との結婚と同時に同居することを承諾し、
気が利かないけれど、口答えをするわけでもない、おとなしい嫁だ。
姑が煎れたお茶の湯気の向こうを
ひとひらふたひらと綿ボコリが舞い降りていく。
それを見つめながら姑はぼんやり思った。
まったく、ちゃんと掃除してるのかしら。
毎日雑巾がけしろってあれほど言ってるのに。
それに、孫の顔はいつになったら見られるのかしら。
嫁にとって25才で嫁いできてから6年間というのは長すぎるんじゃないかしら。
そろそろ子どもを作ってもいいころじゃない。
だが、姑からそれを言い出すのは少しためらわれた。
情がこれっぽっちも移っていないことは否定できない事実であるが
姑が嫁をいびり倒してきたという自負もあった。
自負かよ。
突然、嫁が立ち上がり、こっちを見てほクソえんでいる。
例によって、「クソ」だけカタカナだ。
やわらかな陽光を受けて、
見慣れているはずの嫁の顔がやけに勝ち誇っているように見えた。
もしや、赤ちゃんができたの?
やっと孫の顔を見られるの?
姑はシワシワの手を嫁に差しのべた。

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「今日に限って、お茶菓子を切らしちゃって、、」
嫁は、落ち着きなく口のまわりの粉をぬぐうそのしぐさで
姑がまた一人で大福を食べていた事を容易に見抜いている。
大福なんて欲しくもないが、いつも美味しいものを自分の部屋に持ち込み
食べきれなくなった挙句、カビが生えてきてから
「あげるわ」と恩着せがましく持ってくるのだ。
今まで子どもが授からなかったのをすべて姑のせいにするほど、嫁は愚かではない。
かと言って、この先この姑との同居に堪えながら子育てをしていく自信もない。
午前中、病院に行ったのは賭けだった。
姑が孫の顔を見たがってるなんて話は
嫁には関係のないことだった。
しかし、時々見せる姑の無邪気な笑顔が
却って嫁の決心を鈍らせている。
「女はこういうのを食べるものよ」
腐ったみかんを転がしながら姑が言った言葉をはずみにして嫁は立ち上がり、
用意していた言葉を涙をこらえてつぶやいてみる。
「もう、皮ないわ」
みかんは腐乱がすすみ、皮が溶けていた。
やはり、これは普通じゃない。
「今日、病院に行ってきました。」
嫁は、一瞬姑の目に喜びの色が浮かんだのを見逃さなかった。
そこで女の賭けは終った。
「痴呆の症状がだいぶ進んでいるようなので入院なさったほうがいいそうですわ。」
嫁は姑の差しのべた手に、入院手続き用紙を手渡したあと
姑を背にして歩き始める。
春の日差しの中、舞い上がる綿ボコリを靴下で吸い取るように、ゆっくりゆっくりと・・・



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こ、こ、これは、フィクションですっ!!
が、が、願望でもありませんっ!!






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