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2005年04月18日(月) ショートショート週間だうのちゃんでーす♪

こんばんは、るるです。
あゆがショートショートを書き、ゆみながそれを受けて股掻きました。
はっ!また書きましたでした。
ゆみなも言っているように、あゆは以前HPでショートショートを書いていました。
ワタクシもファンの一人として、読んでおりました。
ゆみなも、やはり自分のHPでショートショートを書いていました。
ポエムも書いていました。
ええ、ワタクシはゆみなの作品も好きで、やはり読んでおりました。
そんなワタクシはと言えば、時々伸びることはあっても常にショートヘアを通してきました。
今もつくしんぼのような頭です。
ショート違いでした。
当時、ワタクシは自分のHPで子育て中の毎日を日記に書いていました。
かけがえのない日々を記録しておきたいという思いからでした。
ショートショートを書くあゆ、ポエムを書くゆみな、子育て日記を書くワタクシ、
この3人が集まってできたのが、こんなサイトです。
どんなと言われたら、ごらんの通りと言うしかありません。
そんなわけで、ワタクシも意を決して今日はショートショートを書こうと思います。
どんなわけだと言われたら、特に理由はないとしかありません。
感化されただけです。
ま、ワタクシの場合、リレー小説を泣きながら書いた経験しかないので、今日は号泣しながら書くことになると思いますが、しばしお付き合いの程お願いいたします。
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              ふれあい

マスカラを塗り、チークを塗り、グロスを丁寧にひいたところで、電車は目的の駅に着いた。
時間配分ピッタリだ。有希は満足した。
耳にはMP3から流れる英会話の教材しか聞こえない。

満員電車で通勤するなんてゴメンだ。
上司に気を使うのもゴメンだ。
だからフリーで仕事をしている。いつかは有名デザイナーとして海外で活躍したい、そんな野望をもっているが
いまのところはチャンスが巡ってこないので、ショップの店員をしている。
バイトと言ったほうが正しいのだろうが、目的もなくお小遣い稼ぎにバイトをしている人と一緒にしてほしくないので、
有希は「フリーで仕事をしている」と言うことにしている。
仕事は大しておもしろくもないが、他人に干渉しない店長と黙ってよく働くバイトの子のおかげで居心地は悪くない。
立地がいいおかげで、特別努力しなくても売上はそこそこだし、お給料もまぁまぁだ。
何より自分の好きなようにディスプレイしたり、客にすすめたりできるのがいい。
自分の感性を仕事に生かしてるって感じ?クリエイティブって感じ?
店長たちと、仕事のあとに付き合う必要がないのも好都合だ。

就職して職場のグチを言ってばかりの友人とは自然と疎遠になった。
結婚して子育てに追われている友人とは、会う気もしない。
子どもの学校の話や、しつけの話、旦那のグチにつきあわされるのはまっぴらだ。
なんで、みんな自分を大事にしないんだろう。有希は心底不思議だった。
一度きりの人生なんだから、自分の好きなように生きればいいのに。
なんで我慢なんかするんだろう。

少子化?関係ない。私一人生きていくぐらいのスペースはあるだろう。
誰にも迷惑かけてないし、私は自立している。
一人暮らしをしているマンションは、会社経営をしている父親が税金対策に買ってくれたものだけれど
一人娘の身を案じての親心を尊重してあげるのも、孝行のひとつだ。

恋も30を過ぎてからは、駆け引きするのも面倒くさくなった。
どうせ傷ついたり傷つけたりするだけのこと。
だいたい「結婚して」と言われるんじゃないかとビクビクしている男ばかりで、バカらしくなる。
こっちは、結婚なんてしたくもないのに。

女友達も信用できない。上辺だけ仲良くしてつるんでるなんて、小学生時代で十分だ。
ショップに買い物にくる女性客が、バカに見えて仕方がない。
なんでみんなと同じ格好をしたがるんだろう。
なんで自分が着る服を買うのに他人に相談するんだろう。
夫にも彼氏にも友達にも頼らないで、私は自分でなんでも決断してなんでも一人でやっていける「自立した女」なんだ。
そう有希は思っていた。

有希は小さい頃から一人でなんでもやってきた。
忙しい父に愛想をつかしたのか、母が家を出て行ってからは、本格的に一人だった。
一家団欒?なにそれ、の世界だ。
ごはんは一人で食べるもの。違うの?
食事のマナー?なんのため?誰も教えてくれなかった。
一人でおなかいっぱいになるために食べるのに、マナーもへったくれもない。
箸が上手に使えなくて困ったことは一度もない。
誰かに迷惑かけたこともないはずだ。
栄養はサプリメントでカンペキに摂れている。

一人暮らしを始めて何年になるだろう。
引越しだって一人で全部やったのだ。
パソコンで業者を調べて予約をして、家具類もすべてネットで購入し取り付けてもらった。
インフルエンザにかかった時だって、病院を検索して受診し、ネットスーパーでレトルトのおかゆやスポーツドリンクを注文して配達してもらった。
仕事も自分で探した。今までに人間関係が原因で2回職場を変わったけれど今の職場はけっこう長い。
貯金も少しずつしている。このマンションに住み続けるにしても、一人で生きていくためには備えが必要だ。
年金だってきちんと払ってる。
掃除も洗濯もするし、たまには料理もする。
自己管理がちゃんとできていること、これも「自立」の証拠だ。
何も不便なことはない。何も我慢することもない。
誰も頼りにしないかわりに、誰にも頼られないで済む。
有希は満足していた。



その日、フリーの仕事から帰ると一通のメールが届いていた。
父の会社の弁護士からだった。
訝しく思いながら読み進むうちに、有希は全身から血の気が引いていく感覚に襲われた。

父親の経営する会社が不渡りを出して倒産し、父親は全ての財産を失い自己破産した。
有希の住んでいるマンションも当然のことながら手放した。
じきに関係者が立ち退きを求めにいくだろう。
父親の消息は不明。

そんなことが無機質な言葉で連ねられていた。

どういうことよ、これ。。




ドンドンドンドンッ




ドアを荒っぽくノックする音で我に返った。
ドアチェーンを外すと、数人の男たちが何か大きな声で言いながら入ってきて
家具や液晶テレビ、パソコンにまで「差し押さえ」の紙を貼りだした。

「ちょっと待って!なんなんですか!」
「この部屋の所有権が移りました。今すぐ出て行ってください。」
「出て行けって言われても、、、」
「誰かいるでしょう?友達でも誰でも。」


有希はそう言われてはじめて、誰も思い当たらない自分に愕然とした。
男たちが冷酷に動く様子をまるで他人事のように見つめながら、有希は心の中で力なく繰り返していた。



「誰か、、、誰か、、、、、、」


   −了ー
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最後のシーンのBGMは、中村雅俊の「ふれあい」でお願いします。
「ひーとーはみなーー、ひとりではーーー、いーきーてーゆーーけなーいもーのだーかーらーー」






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