良かったです。もう本当に良かった。
ドラマのあの空気そのままをスクリーンで見れて本当に幸せでした。
正直玉山鉄二と、イケメンな男の子を予告でみたとき「ハゲタカにはこういうのは必要ないんだけどね」と思ってました(厭らしいくらい上から目線
大きな間違いでした。
玉山鉄二はあの俳優達の中でもちゃんと存在感があったし、イケメンの男の子は純粋に上手いと思った。
あと松田兄弟はどっちも興味なかったんだけど、映画で猫を撫でている手つきが慣れていて、猫も本当に気持ち良さそうに身体を松田兄に預けているのを見てファンになりました（それだけで
鷲津さんは一体何カ国喋れるの？というツッコミをいれたり、映画館には私を含めて４人しかいなかったり（…）そのうちの一人が声をだしてあくびをするし、ビニール袋をガサガサさせるし、そして４人しかいないのに何故か同じ列で近いし（「魔法にかけられて」の時もそうだったな…）そういえば鷲津さんの足は…だったし、法廷シーンって結局削られたの？だったし、玉山鉄二は凄く良かったんだけど顔がイケメンすぎてつい邪な妄想に花が咲いてしまったりと、とにかく大変でした。
ＤＶＤが出たら間違いなく買ってしまうだろうな。
男達それぞれの生き様が良いなあ。皆信念を持っている。
ちなみに私が一番憧れる生き様は中尾彬です。ドラマで柴田恭平に「お前の生きかたは正しいし、カッコイイよ。だがな」から続く言葉が私のハートを鷲掴みです。

以下ネタバレ含むので隠します


鷲津さんはドラマでは最後自分の過去と向き合えて終わりだと思っていたので、映画をみて改めてこの人の抱えるものの重さを感じました。
少しずつ彼の中の何かが壊れていっているような錯覚に陥ります。
達成感を感じる事って生きていく上で大切な事だと思うのですが、その事が彼にとって苦痛にしかなっていない気がします。
勝利も敗北も、とにかく何か苦しそうなんだよね、鷲津さんは。
玉山が金にも命にも勝利にも並々ならない執着をみせていたのだけど、鷲津さんはどこか金も命も勝利にも希薄な気がするんです。
もう三島工作所に通っていた銀行員の頃の彼には戻れないんだろうなあ…って事を改めて思い知らされました。
過去の罪に向き合えてそれで終わりではなく、その重い十字架を背負ってただただ無味乾燥した所を歩んでいくしかないとこの人は思っていそうです。
中延さんはそれをわかっていて、どこまでも付いていこうと思っていそうです。中延さんは良い人だ。

ただ鷲津さんを霞ませてしまう玉山鉄二の生き方に涙、涙です。
イケメンのモリヤマ君が玉山鉄二の差し出す金を跳ね除けた時に、みせたあの表情に…
そして後から知る彼の壮絶な過去を知ると、日本の中の「貧乏」という言葉がどこかまだ甘さというか、軽さというものを含んでいて。
それではダメだという事をあれでモリヤマ君に教えたんだと私は解釈しました。
その演出の尺が少し長い気がしましたが、二人ともなんとも言えぬ空間を作り出していて、色々考えさせられました。
最後のモリヤマ君の表情とあのアイテムを考えると、玉山鉄二の思いは彼に伝わったんだなあ…と…
クールで表情を変えなかった玉山が「お前は誰だ」と鷲津さんに尋ねられた時にみせた表情が忘れられないです。

あと玉山鉄二が「日本」に寄せる思いに…
愛情が深ければ、絶望も深くなり、それが憎しみにもなり、でも愛する気持ちを捨てられずにいる。
ちょっと色々考えてみました。



良い映画でした。

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