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2003年11月06日(木)
原文で味わう新しいアメリカの短編小説(15)

◆「原文で味わう新しいアメリカの短編小説」講座第15回
テキスト:「The Jewbird」/Bernard Malamud (1963)

<1914-86>
ユダヤ系ロシア人移民の子としてニューヨークに生まれ、ニューヨーク市立大学、コロンビア大学を出た後、大学の教師となり、かたわら創作を目指す。今日のテキストの「The Jewbird」(邦訳─「ユダヤ鳥」)は『The Magic Barrel』(1958─全米図書賞)に次ぐ第二短編集『Idiots First』(1963)から。長編には、強盗に入った店で贖罪の意識から手伝いとして働き、ついにはユダヤ教に改宗するイタリア系青年を描いた『The Assistant』(1957)、帝政ロシア時代、無実の罪で長い投獄生活を送った修理屋を描いた『The Fixer』(1966─全米図書賞、ピューリッツァー賞)などがある。最初の小説『The Natural』は、ロバート・レッドフォード主演の映画「ナチュラル」の原作。
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19世紀から20世紀初頭にかけて、帝政ロシアからユダヤ人がアメリカに移民。ニューヨークのLower East Sideに、そういったユダヤ人の住む貧しい地域がある。1940年代頃から、そうした移民の子孫からユダヤ系の作家が出てくる(ソール・ベロウなど)。50年代から60年代にかけて、ユダヤ系や黒人の作家が注目されるようになり、その中にマラマッドも含まれる。20世紀前半にはユダヤ人はマイノリティーであり、60年代くらいまでは、世界中に反ユダヤ主義があふれていたが、現在、力の上ではユダヤ人はマジョリティーである。

今日のテキストの「The Jewbird」は63年発表なので、当時はまだアウシュビッツの記憶も生々しく、反ユダヤ主義に対する内容は、今よりも深く響くものがあっただろうと思われる。60年代頃までは、いかにユダヤ人が迫害されていたかということを生々しく描いている作品が多い。またアメリカで生まれた新しい世代と、古い世代のユダヤ人同士の確執も描かれている。現在のユダヤ系の作家の状況はこの頃とはだいぶ違っており、ユダヤ系作家は山ほどいるし、イディッシュ語も使わない。マラマッドの作品は、テーマは深刻だがコミカルな描写も多く、どこかに幻想的なものや寓話を取り入れるといった特徴がある。

<インタビュー集>
Talking Horse: Bernard Malamud on Life and Work/Bernard Malamud (著), Alan Cheuse (著), Nicholas Delbanco (著)

※イディッシュ語(Yiddish語)─ヘブライ語を簡単にしたもの。発音をアルファベットにしたもので、日本語のカタカナ表記のようなもの。
<参考>
『The New Joys of YIDDISH』/Leo Rosten
『The Joys of Yinglish』/Leo Rosten


※個人的にはマラマッドはとても気にいっている。今回のテキストだけでなく他の短編も読んでみたが、文体も好きだし、短編として結末も鮮やかなので、十分納得できるものばかり。こういう作家こそ、真の「短編の名手」と言うのだろうなという感じを受けた。現実のテーマは重いが、幻想や寓話を取り入れていることで興味をかき立てられ、すっとその世界に入り込んでいけるのがいいのだろうと思う。


◆次回のテキスト
「Snakes' Shoes」/Ann Beattie (1975)


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