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エンピツユニオン



読んでね。
『影のオンブリア』
(パトリシア・A・マキリップ)


冒頭の抜粋(英語)
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2004年07月02日(金)
Ascension(Kara Dalkey)@8/16章

●読書中:Ascension : Water Trilogy 1(Kara Dalkey)@8/16章
 ≫Excerpt
なかなか面白い。タイトルの"Ascension"は辞書には(上昇;即位)と書いてあるけど、これは話の中に出てくる人魚の国アトランティスでの儀式の名前らしい。

海の底の人魚の国、アトランティス。遠い昔地上にあったというアトランティスには、今や何層にも積み重なった巨大な人魚の国があり、永い発展を続けていた。国を動かす中枢である"Avatar"に空位ができたので、一族(Clan)ごとに代表を選出して、その地位を競う"Ascension"が行われることになった。Bluefin Clanの人魚ニア(Niniane ニニアン 16才)はBluefin Clanからの候補者に選ばれることを切望していた。ニアの祖父Dyonisが"Avatar"をしている関係で、ニアは幼い頃から"Avatar"になりたいと夢みていたのだ。"Avatar"に即位すると"Farworlder"と呼ばれる、遠い海から来たという不思議な能力を持った生命体とペアになって、国の中枢を担うことになる。
ニアは自分と周りの候補者たちの能力から見て、自分が一族の候補者に選ばれるだろうと思っていたが、驚くべきことに代表に選ばれたのは従兄のGarun(17)だった。"Ascension"の試練をくぐり抜けて"Avatar"の地位を獲得するには、高い身体能力と頭脳が必要なのに、学者でおとなしい性格のGarunがふさわしいとは到底思えない。なぜ? ニアが"Avatar"になりたがっているのは祖父Dyonisもよく知っているはずなのにどうして、と納得のいかないニア。
ニアは恋人のCephanに連れられて、国の一番下層にある「監獄」を訪れる。Cephanはここの看守の仕事をするようになったというのだが、そこは誰も行かない、水の流れもよどんだ果てにあり(*1)、唯一ここに拘留されている罪人が元"Avatar"とその"Farworlder"だと知って驚くニア。国の中にこんな場所があったなんて。この国には自分の知らない暗い秘密がある・・・。
両親はそろってGarunの訓練に協力するのに夢中で、ニアのことは忘れられたよう。たまに何か言ってきたかと思えば、ニアのキャリアや、恋人のCephanに文句をつける両親が信じられなかった。両親のスノッブな趣味も本当は理解できない・・・。Bluefin Clanの宮殿の一番上層にある祖父Dyonisの部屋を訪れても(*2)、Dyonisは「ニア、お前にはすまないことをした。お前が"Avatar"になりがっているのはよく知っているが、今回求められている"Avatar"にはGarunのほうが相応しいから、Bluefin Clanの代表は彼になった」と言うばかり。自分になくて、Garunが持っている能力って一体何? そんなもの、あの愚鈍な従兄にあるのかしら?
そして"Ascension"の日が近づく。恋人CephanもStingray Clanの代表に選ばれている。Bluefin Clanの誇りと自覚も大事だけど、Garunが"Avatar"になって威張りくさるのを見るくらいだったら、Cephanが選ばれて欲しい、と思うニアだったが・・・。
*1:人魚は新鮮な水の流れがないとえら呼吸ができない
*2:DyonisはBluefin Clanの長のような位置にいるらしい。

こんな感じで"Ascension"と人魚の国の様子を描きつつ、Dyonisたち"Avatar"が隠している国の秘密が明らかになっていく。なかなか面白い。人魚の生態や国のことを描くのが主体みたいで、説明する文章がとても多いけど、しっかり設定されてて興味深いし。