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2006年03月15日(水) 直樹の熱に溺れてしまう



あたしは何をしてるんだろう。

アメリカに来てまで何をしたかったのかよく思い出せない

どうしてこんなに苦しいのかわかんない。

直樹があたしをせめないことが今は痛くて仕方ない。

1時間。直樹はあたしの手を握って離さなかった。
指先から伝わる熱に、ひどく泣きそうになった。
あたしの手が冷たいって言い合った。
俺があっためるからって握ってくれた熱が心にしみて今も離れない。
ランチの前にロッカーで抱きしめてくれたことも
やっとさわれたってつぶやいた言葉も
あたしはこの先一生忘れないんだろう。

直樹の気持ちに答えてもあげられないくせに
あたしは何を望んでるんだ
直樹にあたしを1番に愛して欲しい
彼女でもないくせに
なんて醜い独占欲
それでもいいと言った直樹
どんな欠点があってもそれでもやっぱり俺は唯が好きだと言った
その言葉に
直樹の熱に
現実を忘れてしまいそうになる

あの子を傷つけてまで欲しいものなんかなかったはずなのに
あの子の大好きな男の子を奪ってまで
あたしは何をしようとしてるんだ

唯が好きだと言われるたびに
あたしは切なくて泣いてしまう
このままじゃだめだよ
あたしは直樹の優しさと愛におぼれてしまう
ひとりでがんばれなくなっちゃう
助けて欲しくなる
誰かに頼りたくなる

あの子を傷つけてまで欲しいものなんかなにもない
直樹なんかいらない
直樹に、あの子のことを1番に考えてあげてほしいと言った
直樹は、好きな子の事を1番に考えられないのは辛いって言った

あたしは

あの子のことも直樹のことも守りたくて
ふたりが大好きで

でも

いつの間にかあたしは

あの子だけでなく直樹まで傷つけて

気が付けば

3人の場所さえ無くしてしまった




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