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■私、松葉。いつまでも松葉。
2017年03月12日(日)
僕と息子・タク(小5)でランニングしているコースは、ゴールが「トキワ荘跡地」であった。

手塚治虫・藤子不二雄・石ノ森正太郎・赤塚不二夫といった昭和の代表的な漫画家達が住んでいたマンガの聖地・トキワ荘。藤子不二雄A先生の「まんが道」を読むとその頃の様子をうかがうことができる。現在、トキワ荘は現存しないが、

松葉
「まんが道」で藤子先生たちがよくラーメンをうまそうに食べる食堂「松葉」は今でも営業している。

松葉
お店の入口にもそのマンガが誇らしげに貼られていて、ここが間違いなくその松葉だということが分かる。

このマンガのページは、トキワ荘に引っ越してきた藤子先生達へ、引っ越し祝いとして先輩漫画家・寺田ヒロオ先生(テラさん)が松葉に出前を取ってくれたシーンである。

僕も子供の頃このマンガを読んでいたが、松葉のラーメンがとにかく美味しそうであり、いつか実際に食べてマンガの通り

「ンマーイ!」

と叫びたい、そう思ったものである。

トキワ荘を目指してランニングしていたら必ずこの店の前を通るわけで、目ざとくこれを見たタクが

「パパー、今度ここでラーメン食べてみたい」

と言うのであった。

「いいけど、たぶんここは昔ながらの食堂だから、ラーメン食べるんだったら○○とか××(好きなラーメン屋)の方がおいしいぞ」

と釘を刺すと

「わかってるよ!そういうことじゃなくて、ボクはマンガみたいにこのラーメンを食べたいの!」

タクは「まんが道」は読んだことはないけれども、小学校の図書室から手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎といったトキワ荘ゆかりの漫画家達のマンガ伝記をよく借りて読んでいた。だからタクなりの聖地巡礼なのだろう。小5ながらもののあはれを分かっている。じゃあ行くべか、ということになった。

行けるのは土曜の昼間。嫁は仕事なので行けないが、あとは娘・R(中1)が行くかどうか。

「タクの希望でこのお店にラーメン食べに行こうと思うんだけど君も行く?」

とぐぐった店の画像を見せてやると案の定

「えー」

という反応だった。お年頃のRは、失礼ながらこのお店のような古ぼけたところを嫌う。そして

「ラーメンならこういうとこより○○とか××とかのほうがおいしいでしょ」

聞いたことがあるようなことを言った。だがひとり留守番するのが嫌だったのか渋々付いてきた。

そんなわけでお店に到着。

松葉
お店の入口には先程の画像の他にもマンガのページが貼ってあった。藤子A先生、どうやらラーメンだけでなく可愛い女の子店員にも興味があったようである。

松葉
こんなシーンも。おごってくれたのは寺田ヒロオ先生で、ベレー帽でスクーターで帰るのはつのだじろう先生である。タクはこのシーンを見て、

松葉
「シャバシャバって何?ラーメン食べるのにそんな音する?おかしいよ!」

と細かいツッコミを入れたが

「まあまあ、何十年も昔のマンガだから…」

このままだといつまで経っても店の中に入れないので適当に誤魔化して暖簾をくぐった。

先客はビールをチビチビ飲っている初老の男性がひとり。厨房の中からおかみさんが出て来たので注文をする。タクはラーメン、Rはワンタンメンを食べたい、と。じゃあ僕はゴハンものにしようと思い、焼肉定食にした。あとギョーザ。

調理はおかみさんワンオペなので出来上がるまで時間がかかった。

松葉
待っている間店内を見渡してみるとさすがマンガの聖地、サインがたくさん貼ってある。おお、「まいっちんぐマチコ先生」に、「鈴木先生」に、「ブラックエンジェルス」。

松葉
おっ。ジャストミートゆでたまご!

松葉
実際のトキワ荘住人であった藤子不二雄A先生・水野英子先生・よこたとくお先生、ラーメン大好き小池さんのモデルとなった鈴木伸一さん、トキワ荘出身漫画家を育てた編集者・丸山昭さんのサインは額縁に入っていて特に大事にされていた。

サインを見ながらRとタクにもそんな説明をしていたが、さすがにだんだんと空腹の限界が来たRとタク。

「お待たせしましたー」

松葉
しかし最初に運ばれてきたのは僕の焼肉定食だけであった。それはそれとしてこれは趣のあるおいしそうな定食である。しばし見惚れていると飢えた狼状態のRとタクの視線が痛かった。

「食べていいよ」

ふたりに分けてやると

「おいしい!」

ガツガツと食べ始めた。

松葉
さらに10分ぐらいしてからようやくラーメンとワンタンメン、ギョーザが到着。子供達が食べる前に写真を撮ろうと思ったけれど、未だ飢えた狼状態だったので恐ろしくて出来ず。

すぐさま麺をすすり始めて

「おいしい!」

いや、R、違うぞ。

「ンマーイ!」

松葉
タク。それをそれを聞きたかった。そして僕もひとすすり…。

「ンマーイ!」

自分でも言ってみたかった。さすがにイマドキのラーメンと比べるのは酷だが、タクの言うとおりこの場でこのラーメンの味わうことがよいのだ。程なくして残さず食べきった。

「もしかしたら、マンガに出てた女の子があのおかみさんかもよ?」

「まじか?」

「えー?まさかー?」

などとRとタクとヒソヒソと話したりして。「まんが道」ゆかりの雰囲気が気に入ったので、また来て

「ンマーイ」

と言いたいものである。おかみさんが厨房から出て来たところで

「ごちそうさまです」

とお会計を済ませた。出した千円札の枚数は、

ニマーイ。

なんちて。

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今日もアリガトウゴザイマシタ。

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