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■誕生日の嫁と、まだ誕生日もないお腹の子と。
2005年06月05日(日)
嫁の誕生日であった。

しかし誕生日を祝う前に午前中は産婦人科の定期健診である。
嫁は妊娠6ヶ月目。嫁は今まで助産院に行っていたのだが、
今日はそこと提携している産婦人科に行けということなので
初めてなのである。

僕は例によって付き添い+娘・R(1才半)のお守。
電車で約30分かけて着いた病院は古くて小さな産婦人科。

「ちょっとトイレ行ってくるね」

ばたん、と、嫁がトイレに入ってしまってもRは以前の様に
泣き叫んだりせず、待合室で大人しくしていた。成長した
ものである。Rはそれから何が楽しいのか知らないが、延々と
下駄箱を開けたり閉めたりしていた。成長したというよりも
根暗になったのかもしれない…。

ようやく嫁の名前が呼ばれ、僕とRも一緒に診察室に入った。
先生は60を越えた位の初老の男性だった。まず、嫁が現在の
状態や過去の妊娠・出産経験などを聞かれる。

「過去の妊娠経験回数は…」

「重い病気の経験は…」

先生は不審尋問の警察官よりも無愛想でボソボソとした
口調で喋る。しかし看護婦さんが診察室に入ってくると

「君!ちょうどよかった!血圧を計っておいてくれたまえ!」

急にでかい声で指示し、ダダダッと部屋を出て行ってしまった。
すわ嫁の体に何か、と一瞬焦ったが、先程嫁がトイレに入った時の
ドアを閉める音と同じ音が聞こえた。

「…先生、おしっこですか」

僕が看護婦さんに聞いてみると

「は、はあ、我慢してたんですかねえ」

何とも情けない表情でしゅこしゅこと血圧を計っていた。
やがて先生は何事もなかったかのように戻って来て嫁をベッドに
寝かせてお腹を診察する。しかしちゃんと診てるのかよ、と突っ込みを
入れたくなる程の簡単な触診のみで

「………健康………順調」

命の灯が消える直前のような震えた小さな声で喋るので、僕は
先生の健康が順調なのかどうか心配になってしまった。

次に先生はお腹の中のエコーの投影を始めた。エコーの画面は
白黒で、あやしげな心霊写真のように分かりにくいのだけれども、
これまでの先生なら

「ここが頭で…あ、今、手を振ってますね」

などと解説してくれるので、我が子の成長が確認出来て嬉しい
ものである。しかしこの老先生は、10秒ほど投影しただけで

「………はい」

終わりかいーーーーーーーーー!

結局ごくごく普通の通り一遍の診察だけで終わってしまった。
いくらか心配が残る僕と嫁。帰り道、話しながら歩いた。

「なんか、ものすごくおざなりな診察っぽかったね」

「でもあの先生、評判いいのよ」

「あれで?でもまあ順調で何も異常がなかったから
 簡単に終わったんだろうね」

「そうかもねー」

そう思うことにしよう。「案ずるより産むが易し」だ。

「でもね、初診料6,000円も取られちゃった」

「ええっ。高っ!」

案ずるより産むが易し。だが安くはないようである。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。

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