会社から帰ると嫁が興奮していた。
性的に興奮しているのかと思い、やったるでーと
迎え撃つ覚悟でいたら違った。
「Rが一人で『立っち』したのよ!」
嫁がずい、と見せてよこした携帯電話のディスプレイには
娘・R(1才)がひとりでピョコンと立っている姿が
写っていた。Rは1才2ヶ月になるがまだ立って歩けないのだが、
今日いつのまにかひとりで立っていたのだという。
歩けはしなかったらしいがそれでも嫁は大喜びだった。
娘、1才にして立つ。
「今日『立っち』できたから明日は歩くよきっと」
「そんな急に出来るわけないだろ」
なかなか歩くことが出来ないRに嫁は少し劣等感を
持っているだけに浮かれまくっていた。
立っただけでこれだけ喜ぶとは…。
じゃあ…と僕は思った。
「僕の息子も立ちまくってるんだが、それも喜んでくれるかね」
お茶目に嫁を誘ってみたら
「なりません。いけません」
ぴしゃりと断られてしまった。夫、三十にして勃つ、であるのに。
「なんでよー。僕も『立っち』してるんだよ!かまってくれよ!」
「おなかがずっと下りっぱなしなのよ!」
嫁は月曜日ごろから腹の調子が悪いと訴えていた。
まだ直らないらしい。日曜日のお祭りに行った際に
屋台で買い食いしまくったからだと思うが、変な
ウィルスでも食らっちゃったんじゃないのか…?
Rが立ったら大喜びでも、僕が立ったら近寄ってもくれない嫁。
立っち、立っち、ここに立っち。
あーなーたーかーらー、タッチ
…してほしい。
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