晩飯が再びうなぎだった。
確かちょっと前、土用の丑の日に食べたではないか。
「土用の二の丑なのよ」
「なんだそれは。初耳だ」
嫁の解説によれば、どうやら土用の丑の日ネタで
もういっちょうなぎを食わせようという、うなぎ業界の
一粒で二度おいしい謀略らしい。
「丑の日のうなぎは中国産だったの。今日のは国産。
そしてワタシは…奥さん」
「おまえ…」
「はい」
「出直して来い」
「ヒイイイ!」
暑さのせいか嫁は僕の駄洒落癖が伝染ってイカれて
しまったようだ。ともかく、出された物はありがたく
食べるので、うなぎが続いても別にいいのだが
困ったことがある。
「うなぎを食べると僕はものすごく精力がついてしまう。
それを君は受け止めてくれるかい?」
「できません」
なんたることだ。嫁、精力つけさせっ放しジャーマンの
放置プレイ。
「まあそう言わずに、僕のうなぎだって国産だよ!
こっちの味も試してみてよ」
僕はうなぎのようなものをちょいと顔を出させたのだが
「そこだけ中国産だったら変でしょ!」
と嫁に反論され、なるほどそれもそうだよなあと
慌ててしまいこんだのであった。それが論点のすり替えである、
ということに気付いた時には嫁は既に寝ていた。
「二の丑」によって、うなぎ業界が「二匹目のうなぎ」を狙う。
ならば僕も「二の丑」を利用して「二人目の子作り」の機会を狙う。
嫁だけ二の丑を踏んでいるようである。
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今日もアリガトウゴザイマシタ。