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■初恋の人。
2001年11月04日(日)
先月嫁と実家に帰った。

「香織ちゃんって知ってる?」

実家で嫁とくつろいでいると、母がいきなり尋ねてきた。
僕は心の臓をいきなりわしづかみされたように動揺した。

知らないも何も香織ちゃんとは…

僕の初恋の相手である。

あれ…2番目だったか…?まあいいや。

とにかく、小学校3年からクラスがほとんど一緒だった
僕と香織ちゃんは、

お互い隙あらば、
僕はまいっちんぐなスカートめくりを繰り出し、
向こうは一撃必殺のカンチョーを放ってくるという、
日々是バトルな大変緊張した関係だった。

だが学年が上がっていくにつれ、なんとなく仲良しムードに
なったりして、どっか遊びにいったり、チャリ2ケツで
下校したりしたりし、

僕はおぼろげな恋心を抱きつつも
そんなへなちょこなスタンスを続け、
結局それ以上の関係には発展せず中学卒業した後は
全然会わなくなってしまったという…


…なんだか恥ずかしくなってきた。

「直美ちゃんさ、今、和菓子屋のT屋で働いてるんだよ。
 知ってんべ?T屋。こないだ、たまたま買いに行ったらさー
 ばったり会っちゃってびっくりよ。
 なんだか随分と痩せちゃってたよお」

母は栃木弁でまくしたてる。

「そんでさ、香織ちゃんの名札見たら苗字が違ってるんさ。
 結婚したんかなーって思ったんだけどさ、
 聞いて見たら違くってさ」

オバサンの特権。それはプライベートなこともズケズケ聞けること。

「親が離婚して、母方の姓にしたんです…」

香織ちゃんはそう答えたそうだ。
そういえば、あの子のお母さんは片足が不自由だった。

親が離婚して…まだ独身かあ…。
そんで痩せ細っちゃって…。
ん〜。

「苦労してんのかね〜。
 お前もT屋行ってみな?
 香織ちゃんいるよ、きっと」

会いたい、行きたい…と思った。しかし
横には嫁がいて、この話を聞いている。

もし会いに行ったとしたら、勘の鋭い嫁のことだ、
何らかのニュアンスをすぐ嗅ぎ取ってしまうだろう。

結局香織ちゃんには会わず仕舞いだった。
別に彼女を苦労人のイメージで固めるつもりは
ないんだが、

僕らも幸せになるのに必死なのだ。
今日もアリガトウゴザイマシタ。

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