銀の鎧細工通信
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ひたひたと夜の庭園を歩いて副長室に向かう。 皆寝静まり、尚且つ人の気配が充満する屯所だ。 隊士以外が入る事は滅多に無い空間、銀時はお化け騒動の際に入ったが、 それでも目新しい空間である事は確かだ。 きょろ、と周囲を見回し月明かりに照らされた庭を見る。 くるり、と前方を見返ると月明かりに土方の黒髪が照らされている。
土方は無言でひたひたと歩いている、銀時が植え込みに突っかかることしばし ながら土方はすいすいと植え込みや石灯篭を避けて歩いていく。 「自分の庭」なんだということを改めて感じさせた。
「多串くーん、暗いんだけど」 無言の土方につい声をかけさせられる息苦しさ、彼の領域。 すると土方は銀時に顔を寄せて「静かにしろ、皆寝てるんだ」と ぼそりと云った。 その囁きに土方の箱庭に自分は侵入したのだという実感が込み上げ、 銀時の背筋がざわりと泡が立った。
こいつは此処で生きているのだ、此処だけが自分の場所と信じて。
通されて入った部屋はこざっぱりとしていながらも、文机の上には書類が積まれ、 衛門掛けに隊服がきちんとかけられている。 しかれた布団が乱れているのを見る限り、土方が眠れずにごろごろしていたのが よく分る。布団と少し離れたところに吸殻満載の灰皿が在るのを見ると 土方が本当に転がりまわっていたことが伝わってくる。 「多串くんの部屋、広いね」 「てめーのせまっ苦しい店兼用部屋よりかはマシかもな」 「でもうちはこんなに煙臭くねーよ」 「ハッ、余計なお世話だ」 幾分落とし気味の声に、穏やかな表情。彼の安心感が空気を和らげる。
黒犬、こんなに無防備にねぐらに侵入させて良いのかよ、銀時は思った。
土方を見ていると自分の攻撃性が時折呼び起こされる。 この事実は、この関係性は何なのだろうか、自分が去った場所の爪痕を 彼に感じるのだろうか。それは感傷に過ぎないだろう。自嘲する。 「茶はださね−がコイツはあるぜ」 そう云いながら土方は酒瓶を出してきた、それと湯飲みを二つ。 「サービスいいねえ、どうしちゃったの多串くん」 にやにやと薄ら笑いを浮かべて揶揄してみる、土方はそれにぎらりと赤い目を 瞬間光らせて口角を上げた。その仕草にはいつもの土方の「壁」を 感じさせないのを銀時は感じた。 煽ったのは土方だ。常態ならぬ彼。
酒をふたつの湯飲みに注ぎ、土方は何も云わず口にした。 銀時も習って口にする、対して上物ではないが辛口の味の後に優雅な香りが漂う。 文机の横の行灯に日を入れ、それに照らされた土方は輪郭がぼやけていた。 あわあわと照らされた土方を、酒をすすりながら眺める銀時は行灯の赤く 柔らかな光に照らされて銀髪が暖かな光を放つ。 二人の影が壁に大きく写る。土方は無言で酒を舐めるように呑み、その横顔は 黒と橙のコントラストによく映えた。睫毛の影が淡く土方の顔にかかった。
銀時はぼんやりと眺め、自分が土方に何故構うのかを考えた、 考えながらちびちびと杯を重ね、他愛ない話をとつとつと交わしたりもしたが、 恐らく其れはお互い気にもとめない雑談だった。 酒に血行を良くした土方の唇が赤い、そういえば二度もこいつと口付をしている。 銀時は回らなくなってきた頭で土方の顔に手を伸ばした、黒くしなやかな 髪をすくと土方は銀時のほうを向きなおる。 土方はじっと見詰めた後に銀時に顔を寄せた、静かに口付けた。 目は閉じないまま。
今夜はあからさまに土方が飛び込んできている、銀時の領域に。 銀時を箱庭に侵入させ、その代わり銀時の領域をさらせと暗黙に急き立てる。 静かな夜にぎらぎらと二人が探りあっている。 行灯に照らされた土方の眼が血のように赤く照らされたかと思うと、 銀時は布団に押し倒されていた。土方の髪が鼻先をくすぐる。 早い鼓動と暖かい体が生々しさを伝えて、銀時は眩暈がした。
こいつは何を探り出そうとしている?
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銀さん視点からの続編です。二人の歩みよりです、ああもうじれったい。 いえ本当はもっとじれったくてもいいんですが。ぶっちゃけ。 単にそこまで書く力量と余裕が無いのです。 銀土の関係性ってのは難しい・・・気になるアイツ同士でしょうか。 銀さんがやたら絡むのも土方ですよね。馬鹿にしてるのは云うまでも無く、 花見の時とか蚊の天人の時とか露骨に絡んでますよね。 そういう無骨な、でも引き寄せられる関係性を書きたいです。
とか云いつつ色々アルコール摂取しているので私自身がぽあっとしてます。
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