人生事件
−日々是ストレス:とりとめのない話 【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】
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| 2003年03月07日(金) |
それは、誰のせいでもなく |
みぞれ交じりの雨にけぶる、沈丁花の香りの中で。
同期の女性の、実父が63歳の若さで亡くなられた。昨年末に検査入院と名目で病院に入り、以来一時退院以外は外に出られぬ闘病の末の死だったようだ。彼の最期は限界がすでに見えており、彼女は仕事帰りに毎日、決して近くはない病院に会いに行っていたという。
彼女は自分の弱さを身内にしか見せたくないというタイプであったのか、職場では彼の状態が危ないということはまったく匂わせなかったようだ。彼女と同じ職場にいる同期が、毎日面会に行くなんて状態は普通でないということを気づけなかった…とうな垂れる横で、医療職者やそういう状態を味わった人でないと分からないよ、と私は静かに思っていた。
あいにくの天候で、彼の見送りは冷たい雨の中になってしまった。存在を失ったことを確認する意味もある、死者と別れる儀式が、皮膚を刺すような寒さの中、とても物悲しかった。親の死を、間近で感じ、わけもなく不安を感じたりして。 涙をこらえきれずに感情を表出している妹さんよりも、表情なくお辞儀を繰り返す喪主である彼女に自分の姿を重ね、私はことばがかけられなかった。
生を受けたものは、いつかは朽ちて喪われていくと知ってはいるけれど。「まだ若いのにね」と言われる年齢で生命を失われるということは、喪失感が深くて。 人を看取るのがいやで看護師の路を閉ざしたというのに、結局、私は今の職でも人生の中でも避けきれずにぶつかり、訳もなく傷つき。
そして、生きていることで慰めを受け癒されているのだ。
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