一度だけの人生に
ひろ



 東京

今、東京に住んでいる

40年の人生であるが、地元を離れるのは
大学時代の4年間と今回だけ

しかし、東京というのは不思議な町

毎日、同じ時間の同じ電車に乗っていても、
見た記憶もない人達が大勢いる。
過去に見たかも知れない。初めて見たのかも知れない。
それもわからない。

つまり、何ら私の人生に、生活に、毛ほどの記憶も
残せない人達、昨日会ったかどうかも思い出せない。
逆を言えば、私もそうだ。

毎日のように会ってるのに、今日ありて、明日無くても、
毛ほども感じずることなく通りすぎて行く

そんな人達と過ごす毎日、
人が多過ぎて、ホントに寂しすぎる

寂しがりの僕は、みんなにあだ名をつける
「‥ちゃん、今日も下を向いてあるいてるね」
「‥くん、そのジャケットは似合わないよ」
「‥ちゃん、今日も決まってるね」
心の中で思う。

そう思って、過ごしてても、実際、話しかけることなんかない。

みんな平気そうに見えるけど、ホントに平気なのかな?と思う
寂しくないのかな?と思う

そう思ってるのは俺だけかなと思って、なお寂しくなる

朝の電車で、
「オッサン、今日も二日酔い?大丈夫か?」って
私を見て思ってくれてる人がいたら、嬉しいな

2020年12月10日(木)
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