一度だけの人生に
ひろ



 何億もの赤の他人の中で

「時間というのは、自分が生まれて
死ぬまでの間のことです」坂口安吾

この世界も、自分が生まれてから、
死ぬまでの間のことです。
世界とは、自分が生まれて死ぬまでの
間の世界のことで、あなたもそうです。

生まれてきたら一人ぼっちだ。
ある程度の年齢になったら、
みんなが気づく。
自分の世界の中で、自分が中心の
はずの世界の中で、自分が何億分の1で、
いてもいなくても良い存在であることを。

とるに足らない存在で
何も特別じゃなく
愛されるべきなにかも無い。

気づくときは簡単に気づくけど、
受け入れがたい事実で、
そこからが耐えがたい毎日の始まり

そこから悶え始める
なんとか、特別でありたいと悶える
努力しても行き着くのは、とるに足らない
何億分の1であることを実感するだけ

孤独
誰からも特別必要とはされず
誰から見ても代替のきく存在であることの
苦しみ。

そんな苦しみから、一時でも解放される瞬間が
まさに恋で。
恋に落ちてるときは、必要とされてると思う
寂しくなく、暖かいところで生きていくには
あなたが必要と思う。
あなたにとって世界で一番必要な存在であると
感じることができる。そんなときは幸せ
そんな気持ちをお返しする
それで幸せと感じてくれたら、こちらも幸せ

ほんの一時のことで、すぐにとるに足らない
存在に戻るんだけどさ。錯覚なんだけどさ。
この自分が中心の世界の中で、しかも何億分の1の
世界の中で、そう思える瞬間だけが、
幸せ



2017年07月06日(木)
初日 最新 目次 MAIL