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■ 雪化粧
僕の生まれは新潟です。 雪国。僕が小学生くらいの頃までは、 家が埋まってしまうほど、雪が降ったものです。 雪国出身のものは、特に新潟くらいの豪雪地方の者は、 他県の人からスキーやスノボが上手いのだろうと言う 推測をされやすいですが、しかし、僕はスノボは勿論、スキーも 一度もやったことがない。 あまりに雪が身近過ぎると、かえって、 雪の中で遊ぼうなんて気も起きないものです。 雪なんて少しも、珍しいものじゃない。
昨日(これを書いているのは11日なので10日) 僕の今、住んでいる地方も雪が降りました。 新潟ほどではないけれど、ここもかなり降る地方です。 昨日一日で、30センチくらい積もりました。 上記のような男ですから、僕は特に雪が積もったからって、 感じることもなく、それよりも道路の消雪パイプが やたらに水を出しているのが、イヤだなぁと思いました。 歩行者には水を出されることの方が、よっぽど 迷惑だと思います。
昼の三時頃にアパートを出て、 学校に行き、公務員試験の勉強をしたり、 合間にネットをやったり、日記を書こうとして、 書いたり消したりしながら結局、深夜四時頃まで 学校にいました。基本的に関西系の人間の多いうちの大学は 雪のせいで、もうその頃には誰も学校にいませんでした。 図書館に返す太宰全集、太宰随想集、葛西善蔵集、石川淳全集を 抱えて外に出て、図書館の前まで来たら、 思わず息を呑みました。
一面の雪化粧。 全く、誰も手を付けていない雪景色。 自分一人。音も、無い。
新潟にいた頃の方が、これよりも ずっと壮大な雪景色を見たことがあるはずなのに。 と疑問に思いましたが、それはきっと新潟の雪景色は 壮大過ぎるからだと思いました。 少しくらい足跡をつけても、わからないくらいに・・・。
大学構内の街路灯に照らされた雪化粧をした木々は 本当に綺麗でした。消雪の水で不自然な形で積もっている 雪も、綺麗でした。
手すりに積もった雪を落とすのも、 ひどく悪い、いけないことのような気がするほど、 全体として一つの美しさのように思えました。
そして、あまりに綺麗で、やりきれなくなりました。
たまらなく淋しい、美しさ。そんな感じでした。
急に淋しくなって、とっても淋しくなって、 逃げるように家路を急ぎました。
帰る途中、子どもの頃のことばかりが 頭に浮かんで来ました。 もうほとんど泣きべそをかいているような 状態でした。
アパートの近くにある河川敷の道路。 そこに行くと、川越しに市の中心部が見える。 きっと雪で光が反射して、綺麗に見えるだろうと思ったら それを見たくなって、雪をかき分け、かき分け、 河川敷を登った。二度ほど転んだ。 転ぶたびに、フフッと笑った。
見えた景色は、なんて事はなかった。 風が強くて、イヤだった。淋しかった。 車のライトの光が見えたので また、逃げるように、うつむいて、 涙をこらえて帰った。
2002年12月10日(火)
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