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2016年04月22日(金) 日本はグループB3位か――W杯アジア最終予選

日本サッカー界にとってたいへん重要な2つの国際大会のグループ組合わせがすでに発表されている。ひとつはリオデジャネイロ五輪(本年8月3日〜20日)、もうひとつはW杯ロシア大会アジア最終予選(日本は、本年9月1日〜2017年9月5日まで)である。前者からみてみよう。

リオ五輪――日本は予選敗退か

リオ五輪のグループ分けは以下のとおり。

■グループA
ブラジル(南米)
南アフリカ(アフリカ)
イラク(アジア)
デンマーク(ヨーロッパ)

■グループB
スウェーデン(ヨーロッパ/33位)
コロンビア(南米/4位)
ナイジェリア(アフリカ/67位)
日本(アジア/57位)

■グループC
フィジー(オセアニア)
韓国(アジア)
メキシコ(北中米・カリブ海)
ドイツ(ヨーロッパ)

■グループD
ホンジュラス(北中米・カリブ海)
アルジェリア(アフリカ)
ポルトガル(ヨーロッパ)
アルゼンチン(南米)

レギュレーションはシンプルで、各グループ上位2チームが決勝トーナメントに出場できる。日本はいわゆる「死のグループ」といわれるグループB。勝点を上げることすら厳しいと思われる相手ばかりだ。決勝進出は1位コロンビア、2位スウエーデンの2チームと予想する。

南米勢は先のW杯ブラジル大会で証明されたとおり、ブラジル開催の大会ではホームの感覚を持っているようで強い。これを「南米開催理論」と仮称する。この論で行けば、コロンビアの1位は鉄板となる。

2位予想が難しい。同グループ2試合が行われるマナウスは高温多湿地域だから、ヨーロッパよりもアフリカが有利とする考え方もある。もちろん筆者も迷ったうえでの選択である。五輪チームはU23にオーバーエイジ(OA)3選手を加えた混成チーム。しかも、日本は五輪を重要視するがヨーロッパは関心が低く、各クラブは帰属選手の代表招集に応じる必要がない。よって、FIFAランキングはあまり参考にならない。予想のポイントは、コンディショニング維持を図れる組織性・近代性及び規律、そしてフィジカルの強さではないか。その観点から、アフリカ(ナイジェリア)よりヨーロッパ(スウエーデン)を選んだ次第。

アジア予選では健闘したU23日本代表だが、気候風土が厳しい地域でどうだろうか。日本A代表は、W杯ブラジル大会では最下位で予選敗退(勝点1)だった。五輪チームもこの道をたどるように思われる。

各グループの上位2チームを予想しておこう。

■グループA=1位ブラジル(南米)、2位デンマーク(ヨーロッパ)
■グループB=前出
■グループC=1位メキシコ(北中米・カリブ海)、2位ドイツ(ヨーロッパ)
■グループD=1位アルゼンチン(南米)、2位アルジェリア(アフリカ)

グループDも同Bに劣らず「死のグループ」。1位アルゼンチンはコロンビアと同様、「南米理論」を適用した。ポルトガルかアルジェリアか迷うところだが、直観でポルトガルを落とした。

W杯ロシア大会アジア最終予選――日本はグループB3位か

組合せは以下のとおり。レギュレーションは各グループ上位2カ国が無条件でロシアに行ける。また、各グループの3位に入った2カ国がホーム&アウェーの2試合を戦い、その勝者は北中米カリブ海の最終予選で4位なった国との大陸間プレーオフで、ロシア行きの切符を懸けて対戦する。日本としては、すんなりグループ2位以内に残りたいところだ。

■グループA
・イラン(42位)
・韓国(56位)
・ウズベキスタン(66位)
・中国(81位)
・カタール(83位)
・シリア(110位)

こちらは、1位イラン、2位韓国、3位ウズベキスタン、ですんなり決まりそう。

■グループB
・オーストラリア(50位)
・日本(57位)
・サウジアラビア(60位)
・アラブ首長国連邦(UAE)(68位)
・イラク(105位)
・タイ(119位)

1位オーストラリア、2位UAE、3位日本となるのではないか。日本は3位同士のプレーオフでグループAのウズベキスタンと戦うことになるだろう。その根拠は――

(1)「初戦ホーム引分け理論」

FIFAランキングから見れば、オーストラリア、日本が突破すると予想するのが妥当。ところが、日本の問題点は、第一に先のアジア杯でUAEにPK戦で負けていること。その相手と初戦(9.1)でホームとはいえ、試合をする。初戦、しかもホームは緊張感から思うような試合ができないことが多い。現に2次予選のシンガポール戦は日本ホームでありながら、超格下のシンガポールに0−0で引き分けた苦い経験がある。この「初戦ホーム引分け理論」を適用すると、日本はUAEと引き分ける可能性が高くなる。中東勢はホームで実力以上の力を発揮するので、UAEから勝ち点3以上を奪うことが難しくなるかもしれない。

(2)初戦引分けなら、中5日で猛暑のアウエーでのタイ戦が鬼門

最終予選の日程を見ると、特段厳しいものはないものの、前出のとおり、かりに初戦、UAEと引き分け、なか5日の2戦目(9.6=猛暑のタイのアウエーゲーム)で引き分けるとなると、日本は難しい立場に立つ。序盤の2試合で日本が勝ち点6を上げられないことになると、同グループは混戦となる。

(3)公式試合に長期間出場しない本田圭佑

加えて、日本が序盤で躓く根拠となるのが、日本のエース本田圭佑の状態の悪さ。彼はACミランの監督交代の余波を受けて、ここにきてベンチ要員。おそらくリーグ終了(本年5月半ば)までベンチとなろう。2016−17シーズンはミランを離れている可能性が高いともいわれている。

イタリア・セリエAは概ね8月後半開幕する。本田がイタリアの別のチームに移籍するしないにかかわらず、セリエAのシーズン序盤、本田が先発出場しているとは考えにくい。つまり、<4月から5月半ば(シーズン終了)まで>+<ブレーク(閉幕期間)>+<16−17シーズン序盤=W杯予選が始まる8月末>=約5カ月間、本田の公式戦出場はない。ヨーロッパのどこか別の国のリーグに移籍して試合出場している可能性は残されているが、本田が、W杯初戦(UAE)、第2戦(タイ)で調子を上げて試合に入っていけるとは思えない。つまり、日本のエース本田ともども、日本代表も相当厳しい予選開始後2試合となる可能性が高い。

(4)サウジアラビアに不覚をとると

日本が序盤に躓いたうえで、次なる問題点となるのがサウジアラビアの存在。かつて日本が苦手とした相手だが、近年は代表チーム強化に失敗し続け、W杯出場から遠ざかっている。

ところがここにきて、育成、代表チーム強化が、代表監督ベルト・ファン・マルワイク(オランダ人)の手腕の下、軌道に乗り始めたといわれている。サウジは中東勢ながら、アフリカ系選手を「輸入」して強化を図ってきた国。フィジカルの強さと高さには定評がある。日本がサウジのパワープレーに屈すると、思わぬ展開に陥る可能性が高い。ファン・マルワイクが日本の弱点(空中戦に弱い、フィジカルが弱い)を、ロングボール、ハイボールで執拗についてくると、日本のDFが混乱して失点する可能性はある。11.15ホームのサウジアラビア戦で勝点3を日本がとれないと、日本は予選中盤で焦りが出てくる。

オーストラリアと互角で終わっても、UAE、タイ、サウジに苦しめられると、日本が予選序盤〜中盤にもたつき歯車が狂い、日本の予選3位という悪夢が現実のものとなる。

ウズベキスタンとのホーム&アウエーの2戦は日本が勝つだろうが、大陸間プレーオフは相手がどこであれ難しい試合となる。北中米カリブ海といえば、アメリカ、メキシコ、コスタリカが強豪国。ホンジュラス、トリニダードトバゴ、カナダ、ジャマイカなどが控えている。いやらしい相手ばかりだ。

■最終予選日程

2016年9月1日(木) 日本 vs UAE
9月6日(火) タイ vs 日本
10月6日(木) 日本 vs イラク
10月11日(火) オーストラリア vs 日本
11月15日(火) 日本 vs サウジアラビア
2017年3月23日(木) UAE vs 日本
2017年3月28日(火) 日本 vs タイ
2017年6月13日(火) イラク vs 日本
2017年8月31日(木) 日本 vs オーストラリア
2017年9月5日(火) サウジアラビア vs 日本


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