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2015年06月17日(水) やっちまった、ハリルホジッチ

サッカーロシアW杯2次予選E組、日本代表(FIFAランキング54位)はホームで初戦の相手シンガポール(同154位)に0−0の引分け。勝ち点1にとどまった。格下と思われたシンガポール相手にまさかの引分けに、関係者、代表サポーター等の間に衝撃が走った。

決定力不足は永遠の課題か

試合展開については省略する。すでにマスメディアに多くが報道されているとおり。ハリルホジッチ監督は、試合後のインタビューで「このような試合展開は自分の経験の中ではきわめてまれな出来事だ」というような意味のコメントを発していた。もし、ハリルホジッチのコメントが本心ならば、日本及びアジアのサッカー事情を知らなすぎる、あきれたコメントといわざるを得ない。この試合を見た人(TV観戦を含む)の中には、「やっぱり」という感想を持った人も少なくないのだから。日本のサッカーファンには見慣れた光景なのだから。肝心なところで得点力(決定力)のない“わが日本代表”をなんとか鍛えなおしてほしい、というのが偽らざる心境なのだから。

日本はほぼベストメンバー(左SB長友が欠場)を組んで初戦に臨んだ。ブラジル組を主軸として、国内組の新戦力が“上積みされた”布陣といえる。前出の左SB大田、右SB酒井宏、CB槙野、CMF柴崎、FW左S宇佐美が新戦力。ブラジル組は、GKの川島、CBの吉田、CMFの長谷部、トップ下MFの香川、FW右Sの本田、CFWの岡崎――という色分けになる。この11人が混然一体となってニューパワーを発揮する、誰もが期待に胸を膨らませたことだろう。

ところが予想と期待は見事に外れた。試合内容は、これまでの日本代表とかわらない、「自分たちのサッカー」そのものだった。「ハリルジャパン」は負の遺産を忠実に受け継いで劣化している。ハリルホジッチの情熱指導のかいもない。負の遺産とは、▽決定力のなさ、▽工夫、創造性のなさ、▽パワーのなさ、▽選手層の薄さ(同じタイプの選手ばかり)、▽闘争心の欠如…といったところか。

多様な戦術を駆使できるような練習が必要

ところでハリルホジッチは、日本代表監督に就任して以来、チームに速くて、手間をかけない攻撃の意識を植え付けてきた。この問題意識は当然であり正しい。しかし、その一方で、相手に引かれた場合の戦い方については、あまり注意を向けなかったのではないか。たとえば、練習方法において、相手を15人にして戦ってみるとか、ハーフコートで細かい攻撃パターンを何通りか構築して、それを徹底的に練習するとかだ。セルジオ越後氏が、フットサルを例示していたけれど、それもアイデアとしは“あり”だろう。サイドからのクロスに合わせるパターンも基本。ただし、この場合、だれをターゲットにするのかが明確でなければならない。前半、0−0で打開策が見つからなかったこの試合のような場合、CFWに長身でフィジカルの強い選手を入れ、その選手に合わせるパワープレーも有効となる。ペナルティーエリアのこぼれ球からシュートチャンスが生まれるかもしれないし、相手DF陣のOGやPK獲得のチャンスも生まれる可能性も高い。つまり、空中戦で相手の規律を揺さぶる攻撃、プレッシャーを与える攻撃である。

アジア相手に有効な空中戦を放棄するな

いまの日本代表にクロスの受け手となる選手はいたのだろうか。原口か?大迫か?いずれも「ノー」。Jリーグ、海外組を含めた日本人選手の中では川又、豊田の2人がその資質を備えているが、川又は選考されたが故障で辞退、豊田は選考されなかった。アジアのチームを相手とする場合、長身CFWを交えた攻撃パターンは不可欠だと筆者は考えている。空中戦という戦術を放棄する必要はない。


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