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2007年07月15日(日) オーストラリアの悲劇

日本が属するBグループ、ベトナムvsカタールが引き分けに終わったことで、日本にとって好もしい展開となった。ベトナムが勝てば勝点6で予選通過が決定的になる。カタールが勝てば、カタールが勝点4となり、当然同グループで日本より優位に立つ。日本にとっていやらしい存在のカタールがこの引分で勝点2にとどまったため、日本に余裕が出た。

そんな中、日本がUAEに3−1で勝ち、勝点4でベトナムに並んだ。UAEの予選敗退が決まり、このチームが、最終戦であるカタール戦をどのような気持ちで臨むのか興味が残る。最後に意地を見せるのか、それとも、アラブの湾岸同士、カタールを助けるのか。つまり、八百長とは言わないが、UAEの無気力試合によって、日本がベトナムに勝たなければ、1位通過できない可能性も残されている。

準々決勝で当たる相手となるグループAは、筆者が2位通過と予想した開催国タイがオマーンを破り、ベスト8に進出しそう。筆者が1位通過はもちろん、決勝で日本と対戦すると予想したオーストラリアがイラクに破れたため、最終試合がホームのタイだけに、苦しい立場に追い込まれた。オーストラリアの予選敗退が濃厚となった。日本のベスト8を賭けた相手方は、イラクかタイということになる。日本にとっては、タイの方がありがたい。

さて、当コラムで書いたとおり、初戦のオマーン戦、オーストラリアの調子はおもわしくなかった。不調の要因として、東南アジアの気候に順応できていないこと、欧州リーグに渡った各選手に疲れが残っていること、監督の指導力不足、ドイツW杯以降の新戦力が育っていないこと・・・を筆者は挙げた。

いまのオーストラリア代表は、日本が日韓大会終了後、当時のジーコ代表監督が新戦力の発掘と登用をためらい、代表チームを弱体化させた現象と酷似している。スポーツに限らず、成績が良かったため、そのチーム(組織)を受け継ぎ、必要な改造をためらいがちになる傾向がある。日韓大会後の日本、ドイツ大会後のいまのオーストラリアが、まさにそれにあたる。

日本代表の場合、危険なシグナルを察知した一部のサポーターとジャーナリストがジーコ更迭を主張したが、前回のアジア杯で日本が優勝したため、ジーコ監督更迭の主張がかき消されてしまった。もちろん、Kキャプテン、A新聞等のジーコ支持派にとって都合の良い結果となったわけだが、結果的には、日本はドイツ大会で予選リーグでの未勝利敗退の憂き目を見た。組織論の常識として、小さな勝利や成功が、大きな成功や最終目標の達成に対して、マイナスに作用することもあることを心得ておこう。


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