職業婦人通信
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2002年04月15日(月) モーレツ新人教育 その2

6年前の研修の話の続き。

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新入社員20余名は、M湖の駅前でマイクロバスに乗せられ、研修所へ到着した。
湖のほとりの研修所ということは、多少はステキな景観が楽しめるのではないかと期待していたが、
実際研修所についてみると、

超山奥。(湖全く見えず)

しかも周囲にはコンビニはおろか、自動販売機すら見当たらない。おいおい、こんなトコで1ヶ月以上も住むのかよ・・・

戸惑う我々新入社員に一枚のプリントが配布された。
「皆さんにはこれから入社式の練習をしていただきます」
プリントには社歌が書かれていた。

そしてそれから6時間にわたって社歌の練習ですよ。
「声がちいせぇ〜っ!!もっと腹から声を出せ!!」なんかわかんないけど、もういきなりスパルタ。
同じ歌を6時間にわたって歌いつづけるのは地獄以外のナニモノでもない。声も枯れよ、喉も破れよとばかりに
大声で社歌を怒鳴りつづける二十数名の若者達。会社って・・・会社ってこおいうものなの?

社歌の練習をはじめ、入社式のリハーサルを終えたのが22時、
翌日の入社式に備えて眠りについたのは23時であった。

部屋は個室どころか6人相部屋。2段ベッド3つが押し込まれた狭い部屋で眠るのだ。

「イソジンが欲しい・・・」初日の晩、眠りの淵へ落ちる前、最後に思ったのはうがい薬のことであった。
喉が痛い・・・

そして入社式の朝は6時に起床。朝食もそこそこにもう一回社歌の練習とお辞儀(角度とタイミング)の練習。
練習のかいあって、入社式は比較的スムーズに執り行われたが、研修所で行われる入社式はどこか
「過疎地帯の小学校の卒業式」のような哀愁をともなっていた。
しかも研修施設の中での入社式ゆえに、全員スリッパ履き。新入社員答辞をスリッパ履きで読み上げる
同期の後姿はなんだかマヌケで疲れがにじんでいた。

入社式後、インストラクターを名乗る先輩社員がおもむろに研修生活の説明をはじめた。
「みなさんにはまず『ショータイ』に別れていただきます」
ショータイ???何それ?正体?招待?

インストラクターは淡々と話を続ける。
「昔、当社は軍隊式のスパルタ教育を新入社員に施してきました。今では当時ほどは厳しくはありませんが
当時の名残りとして、今期の新入社員を『○○期大隊』と呼び、その中で小グループに別れていただいて
それぞれのグループリーダーの名前を冠した小隊を作ります。では小隊の編成を発表します。
ではまず山田君、真田君、小泉君、羽田さんの4名で小隊を組んでください。リーダーは小隊の中で相談して決めてください。
次に渡辺君、山口君、伊藤君、永野さん。それと・・・・」

延々と発表される名前。そして小隊ごとに机を分けられた我々は困り顔でリーダーの選定に入った。
千代子「なにこれ?小隊なんて言葉、平和な現代にあっていいわけ?」
本多君(同じ小隊の同期)「しょうがねぇだろ、こんな山奥じゃもう逃げらんねぇしよ」
平君(同じ小隊の同期)「リーダー決めろってよ、どうする?」
中泉君(同じ小隊の同期)「千代子、お前やれよ。こういうのは女の子がやったほうがいいよ」
千代子「ぜっっったいイヤだかんね!だいたいなんで女だからってそんなのやんなきゃダメなのさ?」
中泉君「グループ単位で叱られる時、リーダーが女のほうが甘く叱られるだろ。女はお前一人しかいないし」
本田君「いいじゃんかそれで」
千代子「やだよーーーーーっ!」

結局押し切られた千代子は小隊長に選ばれ、千代子の所属する小隊は「中原小隊」(千代子の苗字が中原だから)、
千代子は「中原小隊長」となった。

こうして我々の研修生活は幕を開けたのであった・・・。



千代子 |MAIL
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