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沙夜



 もう傷付きたくない

もう傷付きたくない。
人の顔色を伺ってビクビクするのは嫌だ。


だから彼に対して心を閉ざし、甘えるのをやめた。
すると傷付かないかわりに、気持ちはどんどん冷めていくのだった。


表面的にはそれほど変わらなかっただろう。
ただ、Hくんのメールを読む度に、幸せなそうな二人が羨ましくなり
そのうちメールの返事が書けなくなってしまった。










彼に問われて、ひとつ話してしまうと、それまで言えずにいたことが
堰を切ったように次から次へと溢れ出した。


彼は「話してくれてありがとう」と言った。
私はすっきりするどころか、ひどい自己嫌悪に陥り、話したことを後悔した。


「ごめんなさい」


泣きながら、やっとの思いでそれだけ言うと
私は電話を切った。



2003年09月13日(土)
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