妄言読書日記
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2003年12月25日(木) 『ラストサムライ』(映)

【監督:エドワード・ズウィック アメリカ】

なんで日米合作映画にしなかったんだろうか・・・。
見終わってから色々と考えたんですが、この映画は、生き方を見失った男がジパングにやってきてサムライと呼ばれる人々を知ることによりブシドーに触れ異文化交流を果たすという話だったと思う。
そう考えれば概ね納得できるような気がする。
決して、日本の侍の話ではない。
ファンタジーだと思えばいいのか。
あの風景の嘘臭さはどうしたものか。

全体的にツッコミどころ満載なんですけれど、まあ、ハリウッドにしてはがんばったな、というレベルがまた微妙で、胸にしこりを残します。
あからさまに変、だったらまだ笑えるんですが。
あからさまに変、なのは忍者ですかね。
どうして忍者出てくるか。
忍者違うし。
NINJAなんだな。あれも。

今回しみじみと、親日家ってのは厄介だと思います。
キル・ビルの方がまだ割り切れるかも。
観てないんですけどね。

映画全体が冗漫です。
トム・クルーズが捕虜になっている期間の描き方がいまいちなのかな。
殺陣もあるようでない。
何しろ、鉄砲隊と戦うので、ほとんど刀同士の殺陣はない。

侍魂とか武士道とか、いまいちど我々日本人も再考すべきなのかもしれません。

なにが気に食わないって、大村がただの腐れ官僚であったところですね。
彼が近代化へ向けての篤い志を持った男ならばよかったのに。
ただの悪い奴。
これじゃあ、まるで近代化が悪のようじゃないか。

まあ、サムライをとにかく撮りたかったんでしょうけれど。
せめて大村が最後に、侍魂を甦らせるとかさぁ。
そういうの期待してたのに。
ハリウッド映画って敵にいまいち魅力が欠けていると思う。

文句たらたらですけれど、ここは正直に告白しておこう。
最後には号泣していたと。

私はあまりサムライ側に共感できなくて、名も無い鉄砲隊のみなさんに感情移入してしまいます。
刀で向かってくるサムライたちに、銃を向けるのは絶対に辛いと思うの。
ラストの戦いはそればかりが見てて辛くて。
死ぬ方は名誉の中で死んだでしょうけれど、そうじゃない方はこの先どれほど辛いのだろうと思うとね…。
我慢したんですけど、アイツが泣くからさ。
大村の横にいて隊に命令を出す人。
射撃をやめさせた人。
お前の気持ちが痛いほどわかる
私も所詮凡人なので、時代に流される人々の方寄りになります。

そして泣きながらも私は、写真家のおっさんが、ドランクドラゴンの片割れに似ていると気がついてしまいました。
ああ、似ていた…
彼、ハリー・ポッターの次回作にも出るみたいですね。

渡辺謙と真田広之は素敵です。
小雪も好きなんですけど、最後までようわからんキャラでした。
あれは日本女性じゃない。
小雪の演技が悪いんじゃなくて、キャラ設定でしょうな。

そして多分、一番私が侍魂を感じるのは、福本清三ですね。
役じゃなくて彼の生き方。
私は彼の死に様をしかと観ましたよ。
40年以上斬られ役をやり続けてきた彼の死に様。
撃たれる
せめて斬ってあげて欲しかった…。

あとは子役たちの殺陣が上手いですね〜。
それと弓を射る人の射形がきれい。

日本語と英語が入り乱れると、日本語が日本語に聞えなくなるのがなんとも不思議です。
一生懸命字幕を追っていたら、英語の字幕で、その字幕を必死に訳そうとする自分。
聞き取れるだろうに。
この間『戦場のメリークリスマス』を観ていても同じ現象が起こりました。日本語が聞き取れない、っていう。
あと、勝元は今際のセリフくらい日本語で言わせてあげて欲しい。
「パーフェクト」って…。
勝元、オールグレンに優しすぎよ。そこまで彼に合わせなくても母国語でしゃべっていいのよ。
うっかり天皇にまで英語で話し掛けちゃってる、最後の大村とかおかしかったです。
「エンペラー」ってさぁ。
もうてんぱっちゃって、言葉がわかんなくなったんでしょうね。大村は。

まあ、トムが満足した映画って感じでしたね。
黒澤映画を大スクリーンで観たいなぁ、と思いました。



蒼子 |MAILHomePage

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