妄言読書日記
ブログ版
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2002年12月03日(火) 『懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1』(小)

【筒井康隆 新潮文庫】

読書好きの少年少女が、星新一・筒井康隆を読むのは当然の流れとしてあるのは知っていたのですが、へそ曲がりの上に、我が道を行く私は、両氏とも読まずにここまでやってきてしまいました。
私は当時、阿刀田高でした。どちらかと言えば(どちらでもないじゃないか)

まあ、そんなわけでほとんど初めてです。
ただ、なんとなーく作風は知ってましたけど。
ちょっとくらいなら、読んだことありましたし、「世にも奇妙な物語」好きでしたし。

ツツイを読まない人生なんて、と帯に書かれちゃあね。読まないと。

「走る取的」「乗越駅の刑罰」
最初の、この二本を読んだ時、読まなきゃ良かった・・・と心底思いました。
もう、この本ギブアップしようかな、と。
だって、怖いんですもん。
理不尽に唐突に迫り来る恐怖。
なんでだ?なんでこんな目にあっているんだ??わからないが怖い。
なぜ、バーで目が合ってしまっただけ、ちょっと笑っただけの、取的に死ぬまで追い掛け回されるのか。
なぜ、ちょっと料金を払い損ねただけで、ここまでの責めを受けなければならないのか?
その理不尽さも、主人公がどんどん追い込まれるにつれ、考えるのが嫌になり、あとはもう、怖いから早くこの話終わってくれ、と思うばかり。
猫が汽車から降りてくる、シュールだかナンセンスだかわからないオチにも、なんでだ、とツッコむよりも先に、ようやく終わったよ・・・という憔悴が残るばかり。
ああ、嫌だ。苦手だよ。この手の怖さ。

「懲戒の部屋」
前の二つと同じ、理不尽に唐突に訪れる恐怖、だか不幸だか、なんだかわからないが、恐怖。
男性は大変ね。
満員電車では両手を上げていましょう。

「熊の木本線」
前の三つみたいな話ばっかりだったら、悪夢に悩まされるところでしたが、これはそういう怖さは無い。
いや、怖いことは何も無い。
ただ、なんだったんだろうなぁ、と主人公と共に思ってしまう。
ようやくほっと一息つかせてくれました。

「顔面崩壊」
大槻ケンジが解説で、気持ち悪くて最後まで読めなかった、というから身構えてしまいました。
大丈夫でした。
オチの方は最初の方でわかりましたけど、別にオチはどうでもいいんでしょうね。ツツイ氏は。
むしろ、読者を気持ち悪がらせたいだけという、稚気を感じます。
これくらいなら平気だもーん。

「近づいてくる時計」
読み終わってから、数瞬考えてしまいました。
でも、こういう雰囲気好きです。
夢で毎回行く場所ってありますよね。

「蟹甲癬」
「かにこうせん」って聞いたことあるなーと思ったら、それは小林多喜二の「蟹工船」でした。読んでませんけど。
これも、気持ち悪くて読めなかったと、大槻ケンジが言っていた話ですが、そうでもない。
脳みそだったというのは、ちょっとぞっとしましたが、切ない仕上がりです。
ただ、一瞬ああ、切ないな・・と思った後、でもなんだか切ないとも違うよな、と思い直す話でした。
なんとも言えない。

「かくれんぼをした夜」
子どもの頃のこうした遊びというのは、何か別のところに通じているように、今思い返せば思えるものです。
同じ遊びを今やってもダメなんです。
かくれんぼは特に、そう思えます。
ええと、作品への感想じゃないです。これは。

「風」
こういうの好きです。

「都市盗賊団」
すいません。
よくわからなかったです・・・・
雰囲気は好きです。

なかなかうまく、厳選し構成された本でした。
さすが、ご本人自選なだけはある。
しかし、2も読むかどうかはわからない。
だって、やっぱり怖かったんだもん・・・。苦手だよ。理不尽な暴力的な恐怖は。



蒼子 |MAILHomePage

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