生存報告―目指せたくまし道。 〜こっそりひっそり編〜
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母には友達がいない。 昔からの友達とか、学生時代の友達とか 見たことないんだ。
私が幼稚園のときの友達Sちゃんのお母さんとだけは たまに連絡を取ることもあるみたいだけど それも何年かに1回あればいいほうで、他は全然。
彼女の性格を考えれば、 友達がいなくても不思議ではないんだけれど。
専業主婦なのに、友達がいなくて 夫とも一緒に住んでいないっていうのは 新聞かテレビとしか会話しない日があったり、 起きて、食べて、寝るだけでも過ごせる日があったりすることで。
私は外に出れば別の場所があるけれど 母にはそれがないってことで。
母は、結婚してからもずっと 祖母の面倒を見に実家に通っていた。 今だって、ほとんど寝たきりの祖母を ずっと一人で面倒みている。
肉体的にも、精神的にもとても辛いことなのに進んでそれをする。 基本的に世話焼きな性格なのもあるだろう。 成人した私たちのこともよく見てくれている。
自立した生活がしたいと私が言うと もうちょっと世話させてあげなさいと父は言う。 そんなこと言うんだったら 自分が一緒に暮らせばいい。 でも夫婦の間に長年で出来た溝がそうはさせてくれないらしい。 それはもう 絶対に取り返しのつかないものが。
いつだったか旅行でもなく私が何日か家を空け 帰ったとき 母の機嫌は悪かった。 というより、 母はとても 悲しんでいたんだ。
二人の娘はいつかよそへ行ってしまう その現実を予感したみたいに。
ここじゃない場所のほうが居心地がいいんでしょ、と。 私のほうを見ずに母はそう言った。 怒ってるって聞かれた人が怒ってないって言うような、 あの感じで。
そう、いつかは別れなきゃならないんだ。 そんなこと考えたくないけど。 刻一刻と近づいているわけで。
私は、物心がついてから 近しい人が亡くなった経験がない。
だから、本当に怖いんだ。 人がいなくなるってことが。 もう生きていなくなるってことが。
だから だからね この生活を 私大事にしたいんだ。
仕事で疲れているのに祖母や姉の愚痴を延々言われても 一緒に生活している中でお互いに怒りをぶつけ合うことがあっても
私 全部飲み込むよ。
愚痴だって、他に言える人がいないんだもの ね。 女性のそういう話って言うのは、 ただ誰かに聞いて欲しいから言ってしまうもので。
だから私は、聞き流して、相槌を打って まともに聞いたら自分に溜まってしまうから 一生懸命、聞いてるふりで聞かないでいるんだ。
私に対する愚痴は、姉に聞いてもらって。 それ以外の愚痴ならさ、何でも聞くからさ。 どんなにぶつけられても大丈夫。 私を産んでくれて、今まで育ててくれて 全然足りないくらいだよ。
去年一緒に芝居をした仲間がね、結婚するんだって。 付き合ってるのも子どもが出来たのも知らなかったけど 二人の笑顔が浮かぶんだ。
女の子の方はね、 あまり話してないしどういう人か知らないんだけど とても綺麗で物事に積極的な人で。 男の子の方はね、 役者とは付き合えないと言ってる私が この人だったらいいかもって思えるくらい優しくて真面目で 下ネタなんか一回も言ったこともない紳士な人で なんだかうらやましいくらいなんだ。
夫婦が頼りあって生きられたらいい。 信頼が変わらなければいい。 愛なんて目に見えないものを感じられることがあったらいい。
二人が幸せになるといい。
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