1/25(火) さよなら、S。
ところでSが来てからというもの、一切仕事はしておりません。
というのも、この極狭な部屋に二人でいると、仕事どころじゃないのよな、やっぱ。
スペースがないというのももちろんあるけど、そもそもそういう気分になれなくて。
かといって、Sを養ってる以上、支出は今までの倍だから、このままじゃヤバい。
で、どっちみち二月か三月には引っ越しを考えてたから、
予定を少し早めて、いっそこの機会に引っ越しすっかと。
引っ越して仕事を再開すれば、収入も元に戻って、生活も安定するだろうと。
んなわけで、ここ最近は毎日物件探しに奔走中でして。

で、日曜も二つの物件を見て、Sの待つ部屋に戻ったところ、
物件探しでテンションの上がってるオレにSが一言。
「俺、大阪でやっていける自信ねぇ・・・」
えぇぇ !? ここに来て今さら自信喪失 !?
ついこないだまでは、頑張ってバイト探すぞ、なんて張り切ってたのに !?
もういきなりオレのテンションも急降下ですよ。
どうやら特大級の鬱がやってきたようで、
新生活への自信喪失や大阪で働くことへの不安、
北海道で待つ母が持つ病気への心配やオレに対する申し訳なさなど、
いろんなネガティブ思考が一気に頭を駆け巡り、
一時は死にたいとすら思ったとか(!)。
そんな状況で、母親と電話で相談して、
いろいろ考えた挙げ句、北海道に帰ろうかと思ってるとのこと。
オレはそれを止める権利もないし、むしろホッとすべきところなんだろうけど、
そこは金八イズムが顔を出し、ついつい余計な説教を始める始末。
「まだ大阪で何もやってないんだからさ、結論を出すには早計じゃねぇ?」
しかしそう簡単に立ち直れないからこそ鬱なんであって、
オレの言葉は馬耳東風で、次はSの母親と電話で話す羽目に。
「娘さん・・・いや、息子さんの考えを一番尊重すべきで、赤の他人の僕に何も言う権利はありませんが、
言わせていただくならば、大阪に来たのも何かの縁ですし、
ここでもう少し頑張って何かを残した方が、彼の自信に繋がるかとも思うのですが・・・」
そうは言ってみるものの、やっぱ第三者に過ぎないオレの言葉なんて空虚でさ。
向こうからしてみりゃ、馬の骨が何を偉そうに御託並べてやがるって話でしょ、やっぱ。
そんなこんなで、結論はS自身が朝まで考えてみるってことに落ち着いて就寝。

翌朝、Sは開口一番、「俺、やっぱ今日帰る」と。
そこまで言われるとさ、オレにはどうこう言うことは出来ないし、
たった十日間といえども偽兄弟として一緒に生活してただけに寂しさもあるんだけど、
ここは手を振って送り出してやるのも兄貴としての役目なのかなあと。
しかし、だったら引っ越しを急ぐ意味はどこに・・・買ってやった自転車っていったい・・・。

ま、いろいろと納得出来ないこともあれど、
とにかく今日帰るってことで、急ピッチで荷物をまとめて実家に送り、
帰りの飛行機や空港までの移動の手はずを整えて、
最後に一緒にメシでも、ってことで近所のファミレスへ。
帰り道、Sが「これあげる」と言って、小さなカッターナイフをオレにくれたのな。
よくよく見ると、カッター部にわずかに血痕の跡。
「リスカに使ってたんだけどね。これを俺だと思ってさ」と冗談を言うS。
これは、もうリストカットは止める、ってことをオレに伝えてくれてるのか。
そう思って、最後に少しジーンときたオレなのでした。
・・・ま、気持ち悪いんですぐに捨てましたが(笑)。

こうして、オレらの同居生活はあっけなく幕を閉じました。
そして今、もうオレの部屋に彼はいなくて、
帰宅して「ただいまー」と言っても返ってくる言葉もなく、
メシを食いながらつまらない話をする相手もなく、
狭い部屋だけど、ひさしぶりに一人になってみると、案外広い部屋じゃん、なんて。

そんなオレが、今一番思ってること。
「これでやっと安眠出来る!」
そう、あいつ寝相が無茶苦茶悪かったんだよ!(笑)

最後にSよ、世界は窮屈だろうが達者で暮らせよ。
グッドラックであります(ケロロ軍曹)。


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written by オレ 

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