はる、
また はるのいろが こくなった
思考の波がふと 途切れて
あめのにおいのする くらいそらに
しろいはなが うかんでいる
あれはわたしのつばさ
いやあれは木蓮ではなく コブシの花ですね
思考には雑音
はるのよるは静かすぎる
迷いもなく あるく足元が どこかあやうい
ひとつ すり減っていた歯車を落として
経路を軽く したつもりが
早送りの日々を毎日を足早の一日をつなぐようになり
どこへ行くつもりもなく流れるような
気配もなく息を殺し朦朧とするような
いつからか
時計の音がしなくなった
わたしはただ途切れない区切れない時間をおろおろとしながら見つめ
アキレスと亀のようにいつまでも今日を追い越せないでいる
誰かがある日ネジを回してくれるのを待っている
足音はもう
耳元のそこに
ふるえているのに
境界は痛み
きょうはきのう
きょうはあした
はるかな遠くはいつの間にかきのうになり
むかし見た夢の痛みだけが残っている
あの日
ただかばいながら逃げた走ったわたしの愛憎を
もう補えないことがただ
にぶく いたむ
はるは おもさ
さえざえとするぬくみ
あれはわたしのつばさ
見えぬ場所へ沈むための錨
いつか見たことばのよすが
でもあれはゆめのはなし
ことばにならない愛憎のはなし
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