いやあ。 東京公演、終わってしまいましたね。デストラップ。 なんか隔日で観に行っていたので、ちょっと疲れてもいたのですが、やっぱり終わってしまったと思うと淋しいな。凄いどっぷりその世界観につかって、シドニィとクリフのことばっか考えていたから、もう観ることができないのが淋しくてたまらない。ジャニ主催の芝居はスカパーとかではやらないからさ、毎回いってることだけどDVDとかなればいいのにね。
というわけで、四回目観ました。三回目と四回目の間にネット環境につなげなかったので、順番飛ばしてますがそれはともかく。 四回目でなにより強く思ったのは、クリフの気持ち。 シドニィから殺されそうになったのをかわして、シドニィを手錠で拘束してから一連の彼の感情を、「怒り」だと感じてその気持ちが痛くて泣きそうになりました。 まさかこの芝居で泣くとはね。そういう芝居じゃないと思ってたのに、そうじゃないことに楽日で気付いた。 だってさ、空砲にうろたえるシドニィを、嘲笑するようにヒステリックな笑い声をたてるクリフは、怒ってた。 地位とか名声とか、世間の目とかそんなのばっか気にして俗物すぎるシドニィに苛立ってた。
「この糞野郎ッ」 「その台詞、マイクの前で言える!?」
このやり取り、プラスをマイナスに変えればクリフは泣いてしまったんじゃないかというのは単なる邪推ですが。 クリフはさあ、ガンポイントで使ったという拳銃のなかみを空砲に変えて、色々画策しておきながら、本当にシドニィが彼を撃つその瞬間までシドニィがまさかそんなことはしないだろうって信じていたんじゃないかと思いました。シドニィが撃ったのは空砲だったけど、目に見えない弾がクリフの身体ではなく心を撃って、二人の築いてきた絆を再起不能なまでに叩きのめしたんじゃないかと。 私は、クリフが持ってた拳銃に実弾が入っていたか否か懐疑的なんですよ。結局撃ってませんしね。どうだろ? 大体、シドニィと違ってクリフにはシドニィを殺す気はなかったんだし、はったりの可能性は高いと思います。 あ、それから手錠。 三回目も四回目もやってたので確信してしまいますが、クリフはシドニィにわざとフーディーニの手錠を使わせてますね。 うわー、これ、私好みの解釈をするなら。 クリフは、消極的な自殺を謀ったのではないかと。 未必の故意といいますか、半ば捨て鉢な気分。 シドニィの財布からお金を取ったり、ことさらに卑しいことして、厭らしい言葉を吐いて、シドニィを煽って。 シドニィの抱いていた愛が、事成った後に名誉欲や世間体を憚る気持ちに押し流されてスライドしていったのとは反対に、クリフの気持ちは青年らしい潔癖さと純情で、その二つは並び立っていたんじゃないかって思う。 成功への願望は本当。 だけどシドニィとの関係が大切なのも本当。 だから、クリフはシドニィを陥れたくてそんな芝居を書いていたわけじゃないし、むしろ喜んでもらえるとすら思ってた。それが、予想外の反発を受けて、その反発の根底にあるシドニィ(大人)の汚らしさに気付いて、クリフは怒ったんだよ。 子どもみたいなきれいな気持ちで。 多分クリフは、賢さほどには擦れてない。
閑話休題。 シドニィさんのこと。クリフへの気持ち。 これは三回目に気付いたことなんですが、シドニィさん、マイラにキスされたあとくちびる拭ってました! なんだかんだでシドニィさんも貞操観念といいますか、クリフのこと愛してはいるんだなーってその仕草で思った。そしてひどいオトコだと思った(笑) 四回目に気付いた、というか楽ステスペシャル? 二幕、ポーターが訪ねてきてクリフが出ようとしたのを、いやいいよ君は芝居を書いてなさい、というシィン。シドニィさん、玄関へ行こうとクリフの横を通り過ぎるとき、なにげなくクリフの腕に触れてました。 アドリブじゃないかな、これ。クリフ反応してなかったし。 シドニィは極端に世間というものを懼れる人間だけど、そんな人間がそれでもクリフを愛した、ということをクリフはもっと汲んであげるべきだったんじゃないかなって思いました。 逆に、シドニィも、クリフの潔癖な精神をもっと思いやってあげて、対応を考えるべきじゃなかったかなって思う。 どっちもうまくできなかったから、二人は最悪の階段を転げ落ちてしまったんだろうな。或いは最高、といえなくもないけど。 だって愛した人間と同月同日に死ねたんだよ? この世に未練なんてたくさんあっただろうけど、一方で少しの安心とともに、完全に不幸なままでは二人とも死ななかったと思うのが、せめてもの慰めかな。あの芝居の。
デストラップは、一言一言が全て解釈可能な台詞ばかりで、観ていて飽きることがありませんでした。 計四回、金額は月々の家賃の半分に相当しましたが損したとは全く思ってません。 いやあ、楽しかった。 坂本さんの舞台申し込みが今月中にきたら、まず申し込み無理だけど、全然後悔ないね。うん。
あ。 楽ステなのにカーテンコールのこと書いてなかった。 カーテンコールね。 まず、健さんが博さんに抱きついてました(笑) でもちゅうはしてなかったの、博が逃げるから。 なんか…、あの、よこしまに期待していたからガッカリ、というのとは別にちょっと気になった。 なんかね、フォーティンのときにも思ったんだけど、博さんてトニ舞台以外だとピンじゃないですか? よくいえば冷静。わるくいえば乗り切れてない。 んと、極端な例を出すと、芝居で恋愛として絡んだ相手を本当に好きになってしまう、みたいな原始的な感情移入を彼はしないよね。 だから、長野さんの芝居はどちらかといえば職人芸かな、て思う。感性で演じてるのは、坂本さん、かなあ?私、彼の舞台(フットとか雨傘とか)観てないからなんともいえないのですが。 長野さんて、焦ってても焦ってるように周囲には見せないことで定評があるじゃないですか。その冷静さと客観性って彼の尊敬すべきところではあるのですが、いやあ…長所って短所にもなってしまうというか。 長野さん、人当たりの良い人見知り、とちょっと言いたくなってしまう感じかな。 番組みてるぶんではスキンシップが嫌いな人格にも見えないのに、カーテンコールのあれは…、少し心配になってしまいました(苦笑) ってーか、博さん、役者なら相手役に本気になってみろよ!噂たてられるくらいにさあ!! 今回多分長野さんはクリフォードをそういうふうに役作ってないだろうってのは、トップステージとか読んだらわかりますけど、なんかね…逃げてない?(笑…えないね) 微妙にピンに見える長野博さんに「うわー」って思ってしまった私でした。や、別に某S氏に操立ててるってゆー笑える結末でもいんだけどね(爆) で。 カテコの話でした。 一回目二回目全員で(一回目は健さんが博に…なにしたっけ忘れた、二回目は健さんが走りインして博に抱きついて/笑)、三回目が博さんのみ、というとこまではいつも通りで。 そのあと+三回やりました。 っていうか、客が拍手をやめないので(笑) 五回目六回目は、照明さんが(多分ブースのなかで苦笑しつつ、出て来い主演!とか思ってたんだろーなー)明転してから博が「まさか…」という感じで出てきてました。五回目以降は玄関口から出てきて…、帰り際にアタマの取れた斧(ソファの陰においてあった)を持ってなんかネタやってました。 六回目出てきたときは、「何回やるんだよっ!」って(笑) 「ホントに! どうも、ありがとうございましたっ!!」って、もう帰れといわんばかりに(笑) やあ、私としては健さんつれてこいよって気分で拍手してたんですけどね。無理でした(衣装メイク外してるんだったりして) 博さんの最後の台詞。
「武道館で待ってる!!」
うひゃあ(笑) なんで不特定多数にはそうやって愛ばらまけんのに、隣の健さんはだめなの?とちょっと思いつつ笑った。
いやあ、楽しかった。 次は関西公演、がんばって欲しいですね。 博さんが何気に舞台向いてると思う理由は、やっぱり彼は声を潰さないからっていうのが大きい。咽喉よわいと潰しちゃうし、公演最終の方で掠れちゃうのは、色っぽいけどつらそうで見てるほうが安心できないし(坂本さんとか…) あのセット(と照明)が関西ではどうなるのか、気になるところですが観にはいけないので残念です。
|