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2002年08月14日(水) lesson de ラ・パレット、その後…

4日に行なわれた北川先生の公開レッスンを受けた二人の生徒のその後について、ご報告します。

正直な所、レッスンを受けたその時には良くなったように見えても、1週間経ったらどうなのかしら…という風にも、ちょっとだけ思っていたのですが、その心配は杞憂に終りました。
二人とも意識が高まり、指摘された点はモチロンですが、ピアノ全体への意欲も高まり、北川先生のレッスンの影響力の大きさを、改めて感じました。

けれども、公開レッスンに対する二人のスタンスは、全く違うものになりました。

一人は、次の公開レッスンを楽しみに、北川先生を驚かせたい…と、練習に励んでいます。
もう一人は、レッスンは受けたいけれど、知らない人がいて物凄く緊張したので、公開形式ではイヤ…という意志表示をしています。
参加する生徒の年齢が低い事を考えると、もう少し、工夫が必要だ…という事を、私のほうが教わる事になりました。

しかし、音に対する意識の持ち方、ピアノを弾くことに対する意識の高まりなどには目を見張るものがあり、本物に触れる事が、どれだけ子供に大きな影響を与えるか…というのを目の当たりにした思いです。
これから、2ヵ月に1度のレッスンを受けることや、他の生徒さんとの交流を通じて、どのように成長してくれるのか…を、見守っていきたいと思います。


2002年08月05日(月) lesson de ラ・パレット…

少し前からお知らせしていたlesson de ラ・パレットがいよいよ動き出しました。
28日には、興味を持ってくださった先生方にお集まりいただき、北川先生に、この試みの趣旨についてお話していただく機会を持つことができました。

時間をかけて焦らずに育てていくこと、大人が変わらなければならない部分、指導者のあるべき姿勢…など、レッスンに直接関係ある事から、子供たちをとりまく社会環境や大人の価値観など、お話は多岐に渡り、刺激的な時間となりました。
素晴らしいピアニストである北川先生が、レッスンを受ける生徒について、
「上手下手は問いません」
とおっしゃってくれたのは、街のピアノ指導者の一人として、とても嬉しく、希望を感じるものでした。

第1回となった8月4日には、私の教室から小学5年生の二人の生徒が参加して、デモンストレーションレッスンを行ないました。
スタインウェイのB(セミコンサイズ)を2台使っての贅沢なレッスンで、タッチの指導を受けると、普段指導をしている私が驚く位ハッキリと演奏が変わっていきます。
はじめの演奏を聴いて、先生が最初におっしゃった事は、日頃のレッスンで私が悩んでいる事でもあり、改めて、北川先生の視点の鋭さに感動しました。
生徒たちも、偉い先生…というので、緊張していたようですが、北川先生の口調は始終穏やかで、でも、指摘される内容は的確で絶対的である…というのが、子供にもわかるものでした。

レッスンが終って、子供の指導にどのような教材を渡したら良いか…というお話では、近代現代の音楽を学ぶ上で、ミクロコスモスが不可欠であること、他の教材ではどのようなものを使ったら効果的に子供の興味を引き出しつつ指導ができるか…などをお話くださいました。
ミクロコスモスの指導法については、公開レッスン形式で取り上げる…というのが、指導者にとっても、一番わかりやすく学べるスタイル…なのだそうです。

また、この活動を公開レッスンに留めず、ソルフェージュ教育の実践方法や、古典舞踊(バロックダンス)の勉強会、本当に子供のことを考えたコンクールに変わる研鑚の場などを作っていく土台にしたい…なんていう、実現したら素晴らしい話もでていて、これからの活動がますます楽しみになっています。


2002年08月01日(木) 上杉春雄さんのコンサート

インターネットをはじめてから、まだ3年の私ですが、ネットの威力というのは素晴らしく、非常に多くの、ネットをしなければ出会えなかったであろう方々と出会うことができました。
日本で最初の医師ピアニストである上杉春雄さんも、その一人です。
上杉さんを通じて、尊敬できる方たちと出会う事ができ、ご縁の不思議さ…というものを感じているこの頃です。

で、その上杉さんのコンサートが、27日の土曜日に、とあるサロンで開かれました。
2年前にも同じ場所でコンサートが開かれ、モチロン足を運び、それを機会に親しくお付き合いさせていただいている方も大勢いらっしゃるのですが、こちらのサロン、日本クラシック界のそうそうたる面々がいらしていて、客席にもなかなか緊張感があります。
土曜日にも、今、人気のピアニスト、イリーナ・メジューエワさんがご夫婦でいらしていました。

コンサートのプログラムは以下の通りです。

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   ラヴェル:水の戯れ

   ラヴェル:夜のギャスパール


   ドビュッシー:映像第1集

   メシアン:「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より
        第15番 幼子イエスのくちづけ
        第10番 喜びの精霊のまなざし

   (アンコール)
   フォーレ:ノクチュルヌ第1番
   バルバストル:ロマンス(手回しオルガンのための)

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最初に演奏された、“水の戯れ”は、以前、上杉さんのお宅に伺った時にも聴かせていただいたことがありました。
でも、ご自宅のプレイエルでリラックスした雰囲気で演奏されたものと、コンサートの聴衆の中で第1曲として弾かれたものは、やはり、少し雰囲気が違います。
とはいえ、それはラヴェルらしい透明感に満ちた魅力的な演奏でした。

次の『夜のギャスパール』は、“オンディーヌ(水の精)”“絞首台”“スカルボ(地の精)”という、オカルティックな(?)3曲から成る曲集です。
第1曲の“オンディーヌ”では、先の“水の戯れ”にも通じる透明感がありながら、ドラマティックな演奏で、解釈も私にとっては納得できるものでした。
第2曲の“絞首台”は、おどろおどろしげな静寂と、胸をえぐるような不気味さを感じる演奏でした。
そして、第3曲の“スカルボ”の何とも言えない気持ち悪さと、滑稽さが表現されていて、興味深いものでした。
超絶技巧を要するラヴェルのこの曲集で、こういった1曲1曲の性格を表出する演奏には、実は、なかなか巡り合えなかったりするものです。
お医者様という、決してヒマな筈がないお仕事をされながら、ここまでの演奏をされる上杉さんに、改めて、尊敬の念を感じてしまいました。

後半のはじめの『映像第1集』は、“水の反映”“ラモーを讃えて”“運動”の3曲からなります。
“水の反映”は、先のラヴェルの水にちなんだ作品との対比も感じられ、同じ演奏家が同じ時に演奏するのを聴くのは、興味深いです。
ラヴェルの水が清冽で、実際に触って冷たさを感じるようなものだとしたら、ドビュッシーのこの作品では、水面に小石を投げ込んだ時の変化や、水面に映る光の変化を描写しているような気がします。
調律のせいか、高音が少し固かったのが残念に思いましたが、それでも、上杉さんの演奏からも、そういったものを感じました。
“ラモーを讃えて”“運動”の2曲も、それぞれに、曲の雰囲気が伝わる、素晴らしい演奏でした。
何よりも、ふとした瞬間に、心の中まで音楽が入ってくる…、その感じが、聴いていて心地よかったです。

どの演奏も、とても楽しめるものでしたが、最後に演奏されたメシアンの2曲は、格別でした。
メシアンは20世紀を代表する作曲家であり、ピアノの為の作品も沢山残しているのですが、演奏されてからの歴史が浅い事と、どの曲も難曲である事…などから、私にとって、とても分かりにくい印象がある作曲家でした。
それなりに興味があり、CDも何枚かは持っていますし、コンサートでプロによる生演奏を聴いた事も、何度もあるのですが、メシアンの薫陶を受けた方、メシアンと親交のあった方の文章に時々出てくる、『メシアンの音楽の素朴さ』というものを、実際の演奏から感じたことがなくて、自分の感覚に自信をなくしていたりしたのです。
でも、上杉さんの演奏を聴いていると、その素朴さや、原始的なエネルギーのようなものを自然に感じ取る事ができて、演奏を聴く喜びを感じました。
メシアンの演奏によくある、頭の良さを感じる演奏ではなく、その先にあるものを表現している演奏なのです。
上杉さんが知り合いだから…ではなくて、上杉春雄さんというピアニストの演奏が素晴らしいから、メシアンをもっともっと演奏して欲しい…と、心から思いました。

14年前に、元祖Jクラシック(?)の騎手としてデビューした上杉さん、14年ぶりに、CDをリリース、来年は、2月東京、3月大阪、4月札幌…と、リサイタルも予定されているそうです。
友人として、そして音楽を愛する一人として、これからも、できる限り応援していきたい…と思っています。


2002年06月26日(水) 敬愛するピアニスト…

私が敬愛するピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダ先生が今年も来日されます。

私が、ルイサダ先生の演奏に初めて触れたのは、1985年のショパンコンクールのドキュメンタリーでした。
その直後に来日された時から、ずっと、来日される度に演奏会に足を運び、1996年には、とうとう、ルイサダ先生のレッスンを受けるチャンスを持つ事ができました。
この経験は、私にとって、とても大きなものになりました。
敬愛するピアニストのレッスンを受けられて幸せだった…というだけでなく、自分の未熟さが痛いほど分かり、その後の勉強に繋がる手掛かりを得た…という意味でも、大きな大きなものでした。
その後、縁あってルイサダ先生と同門だった先生に巡り合うことができ、勉強を続けるにつれ、ますます、その演奏の素晴らしさがわかり、敬愛の気持ちは深まるばかりです。

ルイサダ先生の演奏の魅力は、数多くありますが、一番の魅力は、音楽のあたたかさと生命感でしょうか。
難しい顔をして聴くクラシックではなくて、聴いていると思わず微笑んでしまうような、聴く人を幸せにする演奏なのです。
さりげない旋律でも、まるで、音楽そのものがその場で生まれたかのような活き活きしていて、その為、心の奥深くまで入り込んで来ます。

また、音の美しさも格別です。
明瞭で、透明感があり、それでいて冷たさは微塵もない…。
理想的な音色です。

そして、レガートの天国的な美しさ。
ピアノって、ここまでレガートで弾けるものなのだ…と、聴くたびに新鮮な驚きと喜びがあります。

生の演奏を聴くたびに、音楽に包まれる幸せを実感します。

今年になって発売された、ハイドンのピアノ協奏曲・ピアノソナタ、モーツァルトのピアノ協奏曲・ピアノソナタ、そしてヴァイオリンとのデュオによるフランスの名曲の数々など、定評のあるショパンだけに留まらず、幅広いレパートリーも魅力です。

今年の秋の来日では、東京、名古屋、大阪での公演をされるようです。
今のところ、リサイタルが東京だけなのが残念ですが…。

興味がある方は、是非、足を運んでみてください。
詳しい情報は、下をクリックしていただくと見られます。

ジャン=マルク・ルイサダ来日公演


2002年06月18日(火) 『ゆびのたいそう』

『ゆびのたいそう』1〜3 田丸信明編 (Gakken)

導入期というのは、覚えること、身につける事が沢山あり、指導者にとっても生徒さんにとっても、なかなか大変な時期です。
音符(これにも音高と音価の両方があります)は読めるようにならなくてはならないし、鍵盤の位置も覚えなくてはならない。
指番号も覚えなくてはならないし、指が独立していないこの時期には、動かすだけでも大変です。
そして、手の形や姿勢に気をつけて両手で弾くためには、手元を覗き込まずに弾くブラインドタッチのテクニックも身につけなくてはなりません。
どれか一つでも大変なのに、その全てを指導しなければ…と考えると、導入の指導には気が遠くなってしまう方もいらっしゃるかも知れません…。

そこで、導入の教本に併用して、この『ゆびのたいそう』を使用していくと、これらの問題が、かなり楽に、しかも、各々の生徒さんの能力に応じてクリアできるのです。
一つ一つの問題について、具体的に、書いていってみます。

《音符を読む・鍵盤の位置》
導入期に音符を読むというのには、二つの側面があるように思います。
一つは、どの音符が何の音を表しているのか…というのを覚えるという事。
もう一つは、音符を次々に読むことが苦痛でなくできるまで定着している事。
そして、この定着が大変なために、導入期の上達に苦労する…というケースは、多いような気がします。
その点、この『ゆびのたいそう』1・2では、短い課題が数多くありますので、それらを順番にクリアしていくうちに、音符を読むことが当たり前になってきます。
同じような課題が沢山あるので、一つの事をクリアするのに、時間がかかるお子さんでも大丈夫です。

1巻では、左手が中央ド、右手が高いドを最低音とした5音によるポジション。
2巻では、左手が低いド(ヘ音記号)、右手が中央ドを最低音とした5音によるポジションからはじまり、後半の数曲では、ハノンのような平行移動の課題も出てきます。
すべて片手の練習ですので、生徒さんへの心理的負担は、ほとんどありません。
階名唱しながら弾くと、譜を見ながらピアノを弾く時の頭の働きが、自然にできるようになります。

《指番号》
指番号については、予備練習が必要です。
指番号を言ってその指を動かす練習、同じ事を眼をつぶって行なう練習…などで、指番号に慣れておきます。
その上で、楽譜にかかれた指番号を見ることが当たり前になるのに十分なだけの課題数が、このテキストにはあります。
特に、平行移動する際、同じ指を使う…という事が当たり前にできるようになるだけの課題が、3巻に用意されていて、この課題をこなしてからハノンに入るのと、そうでないので、指の動きのスムーズさには、大きな違いを感じます。

《指の独立》
指の独立が必要なのは、主に3〜5指である訳ですが、それらの課題が、ごく自然に繰り返し出てくるので、生徒はおそらく、あまり難しさを感じないうちに、それらの指を動かしていることになると思います。
最初の頃からそうして、自然に指の独立を促すことで、教則本の難しさを、緩和できる面もあります。

《手の形・姿勢》
指先を丸く、掌も丸くして、手首の高さも適切にして、良い姿勢で力が入らないように…というのは、ピアノに触れて間もない子供にとっては、とても大変なことです。
でも、先々の事を考えて指導していく我々としては、なるべくはやく身につけてもらった方が、表現に様々な可能性が出てくる…という点でもあります。
しかし、レッスンの際に余りしつこくそればかり言うと、ピアノそのものが嫌いになってしまうかも…と、注意するのを躊躇されている先生もいらっしゃるかも知れません。
でも、このテキストでしたら、片手の短い曲ですから、小さいお子さんでも、自分で気をつけて取り組む事ができます。

《ブラインドタッチ》
手元を見ないで弾く…というのは、指の独立が不完全な時には、非常に不安で、分かっていてもなかなかできないようです。
でも、片手でポジション移動がなく、短い、このテキストの課題でなら、不安を解消して、ゲーム感覚で、ブラインドタッチを身につける事ができることでしょう。
具体的には、片手で2〜3回弾いてもらった後で、手元を別の楽譜などで隠して、手を見られない状態にして弾いてみます。
姿勢や手の形に慣れて、弾く時に、手が左右にぶれなくなった頃が、ブラインドタッチの練習をするのに適したころでしょうか…。

《課題の与え方》
1,2巻では、課題が多いので、生徒さんに負担がない場合は、1ページに2曲づつ出ている課題のどちらかを、生徒本人に選ばせています。
3巻では、リズム変奏も出てくるので、ハノンでのリズム練習にもスムーズに入ることができます。
リズムは、難しいものもでてきますが、言葉を当てはめる…などすると、小さいお子さんでも、難しく見えるリズムで自宅の練習ができるようになります。
要求の度合いとしては、音の読み方ができるようになるまでは、姿勢などはあまり厳しく言わず(「足を台につけてね」位)、音符を無理なく読めるようになったら、徐々に、細かい指摘をしていくのが、良い様に思います。


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