--> + rat rhyme +





+ rat rhyme +



    







無遠慮な春がまた来る
急速に失速する希望が
光のもとに晒される


冬の冷たさゆえに
火のぬくもりを知る
暖かな春は
その何もかもを鈍らせる


春の光の中で
わたしは少しずつ錆びを身に纏う









    






キミとわたしを隔てる線を
みずから引いたというのに
あまりにキレイに引けたから
キミと一緒に眺めたくなる












    









あのとき きみと
強いふたりになれていたらな


ぼくが持っていた凶器を
すっかりきみに見せてしまっていたらな


そうしたらぼくは
その重さに耐え切れずに
へたり込まずにいられたのかな


そうしたらきみは
この重さを
少しだけ肩代わりしてくれてたかな


弱さを見せられないのが
ぼくの弱さだったから
たとえまやかしでも
強いフリをしなきゃいけなかった


理由なんてないのに
理由なんてないのに











    







薄暗い足元を照らす灯火に
手を翳す
でないと
突風に吹き消されてしまう


この火が消えてしまったら
あたしはもう
ひとたまりもなく
呑まれてしまう


あたしの中に眠る闇を
指でなぞったりしないで
声で揺さぶらないで


翳した手の中の火よ

どうか

消えたりしないで








    






もう 確めたいことなどなにもない
きみの放った言葉が残した
傷跡も痛みも
なかったものにしてしまえるから


だけど きみの口癖が
もはやすっかり僕のものになっていて
消せない時間を
その言葉の中に
時折見たりするんだよ











    









たいせつなものを
捨てたと同時に出来た空洞が
また別のなにかで埋まってゆくので
捨てきることができないのです


あたしの中にあるものは
いつだって
それに代わる何かなのです


それはあまりに深く大きい空洞なので
いろんなものを埋めずにはいられないのです


そこにあるものは
いつだって
それに代わる何かだからこそ
完全に捨て去ることなど
永遠に出来はしないんです


あたしが消えてしまわぬ限りは








    







キミがくれた
小さな紫の花は


もうすっかり枯れて
触れれば今にも
散り落ちてゆきそう


あの時 
ぼくの心に生まれた
あたたかでささやかな気持ちは
少しも消えてはいないのに









    






ゆっくりと 肺に吸い込まれてゆく煙が
あたしの中の全部を通って
まるで何もなかったかのように
すぅーっと静かに吐き出されてった


あたしの全部を通ってったくせに

そんな静かに出て行ったりしないでよ













    








ぬかるんだ世界に足を取られて
何もかもずるずる引き摺ってる


汚いことをたくさん考えちゃうから
いまにも溢れてしまいそうだよ


溢れ出したものが
ぼくの大切なひとたちまでも
汚してしまわないうちに
あの光を手繰り寄せよう


ぬかるんだ世界より
もっとぬかるんでたのは
ぼくのほうだったのさ


止まないと思い続けていた雨は
もうとっくの昔に止んでいて
虹さえ覗かせてくれてたのにさ










    







ため息の封印が
知らぬ間に解けていた


キミのことを考えた途端に


どうやって抵抗すればいいのさ
気づかないうちに
スルスルと封印を解いてゆくキミを
どうやって警戒しろっていうのさ










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