池ポエム
ハンス



 卵とにわとり

「ゆかちんが見たら怒るだろうなー」
「怒るっていうか、ショック受ける?」
「あぁ〜。顔がね」
「そ、顔がね、きっと『こんなん』になると思う」
『こんなん』な表情を作りながらも、食べる手は止めない。るみさん、さすがです。ていうか、やっぱりるみちゃん、ベースはSだよね。ほら、人間、優れたSである人は優れたMでもあるっていう、上手い人はどっちも上手いみたいな話。
「そっかなー」
「どっちがいいの?」
「え?何、今度は津田ちゃんが聞くんだ?」
「だってあたしが尋問されてばっかなのも、不公平じゃない?」
「そう?あたし津田ちゃんになら尋問されたい。拷問は・・・ちょっと厳しいかも」
「しませんよ、てか尋問もしないから。るみちゃんじゃないんだから」
「え〜、あたしだって津田ちゃん以外に尋問なんてしないもん」
「あたしにもしないでください」
「またまた〜」
「最近、ほんとゆずこ分が増えてきてるよね」
「どうする?これが地になっちゃったら」
「役に乗っ取られるのも役者としては本望なのかなぁ」
「・・・」
「干しバウム、食べきっちゃいそうだね。後でおんなじの買い直そっか」
「・・・あ、うん」
干しバウムって、本来ふかふかのふわふわであるはずのバウムクーヘンが哀れにも干からびているという奇妙な一品。その見た目に反して、すごくおいしい。グミみたいな、干し芋みたいな絶妙な食感がたまらない。たまらないので、本来ゆかちんにあげる用だった物を二人で食べ尽してしまったわけで。
「・・・何か考えてる?」
「え?」
「るみちゃんがゆずこでもちなつちゃんでも、あたしはどっちでもいいよ」
SでもMでもどっちでもいいのと同じで。
「他の別の役でもいいし、何の役でもないるみちゃんがあたしの知らないどこかにいたとしても、それでもいい」
私たちは仕事を通じて知り合った。子供の頃や学生時代からの友達ではないし、恋人?っていうかどうかもよくわかんない。だから仕事の時の気持ちがはみ出てるような形で、相手に特別な気持ちを抱いているのかもしれない。でもそれって、そういう仕事だから。自分じゃない人や者の気持ちを、自分のことみたいに考えてみる。それが自分の気持ちか、役としての気持ちか、明確に分けることはできないんじゃないかな。
人に寄るかもしれないけど。少なくとも、るみちゃんはなんか特別。
「ゆかちん、もしかしてこれ知ってるかもね」
「あ〜そうかも。世界中のバウムを味わってるだろうから」
「ね。ドイツ行ってるぐらいだもん、これ蒲田だよ?」
「蒲田・・・ドイツより全然近い」
「もっと珍しいもの探してこよっか?」
「そうだね」
20歳を迎えたバウムマイスターのために、次の収録の時に珍しいバウムを渡して驚かせたい。そうそう、そんな趣旨だった。でもなぁ、20歳になったゆかちんは、今までと変わらずバウムを最上の物として愛せるだろうか。もっとおいしい物を知っちゃったら、それはそれで悲しい。ゆかちんが大人になっちゃった、とみかしー辺りは泣くだろう。
「お酒おいしいって言い出したりとか?」
「じゃあもうバウムって呼べないじゃん」
「JDバウムあらためJD酒」
「それあかんやつや」
「うん、ダメな感じするわ」
「・・・津田ちゃんが結衣先輩じゃなくなったとしても」
「え?」
「変わらないことってないじゃん、私たちだって。ゆかちんほどじゃないけど、まだ若いし。これから成長してったり、退化?してったりするし」
「退化はしないんじゃないかな」
「でも、私は結衣先輩より」
「うん」
「唯ちゃんより」
「うん?」
「津田ちゃんが好き、かも・・・」
「え」
「ほ、本体の方がね」
「それは、眉毛じゃなくて?あたしの顔見て言ってる?」
「言ってる、今日はちゃんと顔見てる。死ぬほど恥ずかしいけど」
「あたしも死ぬほど恥ずかしいです」

これは誰の気持ちなんだろう。
仮初めの言葉に色をつけて、己の声で口にする時。その時、他人事は濃い意識となって、吐き出した分だけ体に入っていく。吸い込んだ気持ちは、元々自分だと思っていた部分を勝手に染めていく。もう、前の状態には戻れない。

(今度、聞いてみよう)
先輩とか、後輩に。みかしー・・・でいいか、まずは。

2013年06月13日(木)



 津田ちゃんが寝てるだけ

朝だ、朝が来たぞ。
あ〜、一人寝は寂しいな〜って昨日の夜散々ごねたのに、誰も乗ってくれませんでした。バウムさびしい。と、いうわけで私たちはいつも誰かと一緒に寝てるわけでもないんです。
現在私、大坪は一人で目を覚ましました。
頼んでないのに私のこと触ってくれるみかしーはお仕事でいないし、るみちゃんも朝早くお出かけ。私は学校があるから泊まりの仕事が多い大人三人と比べると家で留守番率がなんか高い。べっつに〜、さびしくなんかないも〜ん、家で一人で上海とかやる時間もほしいし〜。って、こんな風にすねてみせるとみんながバウムとかお土産に買ってきてくれるんだよね。へへっ、大人はチョロいなぁ。
さてさて、今日のスケジュールは・・・津田ちゃんはお休みかぁ。
こりゃあちょっと、前々から気になってたアレを確認する時かもしれないねぇ。え、アレって何かって?津田ちゃんに何かするとはけしからんって?いやぁまさか、大坪を信頼してくださいよ。アレってアレだよ?朝弱い津田ちゃんがどんな風に寝てるのかな〜って、気になっちゃって。みんなも気になるでしょ?
私だってさー、そろそろみかしー以外の寝顔見たいよー。みかしーは見飽きたって言ったらこの前本気でへこんでたなぁ。もちろん、その後フォローはしたよ?
昨日津田ちゃんに一緒に寝よっていったら、「ガチで寝るから一人で寝かせて」って言われちゃって。ガチって、津田ちゃんいつもちゃんと寝てる方だと思うんだけど。寝付きが悪くて四苦八苦してる私からすると、睡眠優等生って感じ?マスクもしてるし。だから今日は起きてこないんじゃないかなぁって思って。
ちょっと潜入してみることにしました。

多分ほっといたら昼まで寝る気満々だろうから、今入ってったら爆睡してるはず。マスクとかとっちゃおっかなー。寝顔写メ撮ってみかしーに送ろっかな。お仕事終わって携帯見たら津田ちゃんの寝顔メールが!うわ〜、超癒されるわ〜。たまには私もみかしー孝行しないとね。
津田ちゃんは長い眠りにつくために・・・って、なんか違うわ。これじゃ死んじゃってるみたいだ。そうじゃなくて、しっかり寝るために今日はみかしー部屋で寝てる。ドアとカーテン閉めるとかなりの密室度で、一回私も半日こもってみたらかなり外出たくなくなった。あの時はやばかったなー。
みかしーってたまに一人でこの部屋にいるんだけど、何してるんだろ?ネットでなんか調べてるのかなぁ。
さて、と。
案の定しっかりカーテンが閉められていて、朝が来たって気付かない感じ。津田ちゃんは、おお!・・・寝てる。すっごい寝てる。しっかり潜って、マスクもずれてなくて。絶対に起きませんて感じ。強固な意思を感じますぞ。
大体津田ちゃんとるみちゃんの二人部屋って、私も気になってたんだよね。何話してるんだろう。何してるんだろう。私とみかしーはどっちが先に口を閉じないか、みたいなおしゃべりの耐久レースができるぐらい二人でいる時は話題が尽きない。それと比べると二人は、話さない時は余計なことは話さないというか、黙ってても寄り添ってるみたいな印象。大人っぽいんだよね。あ、みかしーが子供っぽいって訳じゃないよ。ああ見えて私に合わせてくれるし、甘えさせてくれるし。・・・本人には言わないけどね。
そんな大人のお姉さんな津田ちゃんがだらっとしてるとこ、見てみたいじゃない(じゃない!) 一人で間の手入れちゃう程度には見てみたい。るみちゃんも見てみたいけど、それはまたの機会に。みかしーのリラックス状態はこの間の相部屋の時に見たからもういいとして。私?私はそんなだらっとはしてないけど、いろいろ私物とか津田ちゃんに見つかっちゃって、私生活半分以上バレ気味なのでドンウォーリー。てか、ドンマイ私。
「ん〜・・・ゆかちんそこでなにしてるの?」
やばっ!一人で騒いでたらバレた。
「つ、津田ちゃん朝ごはん食べる?」
「・・・もうちょっとねてる」
「超おいしそうにパン焼けたんだけど」
「あとでたべる・・・zz」
ありゃりゃ、全然目が覚めてないや。ちょっと大げさに起こしてみる作戦に出るか。
「つーだーちゃーんー、起きてー」
「・・・」
「いい朝だよー、こんな日は散歩にでも行こうよー」
「・・・まだねむい」
「おとーさーん、遊園地連れてってー」
「あとでね・・・」
むう。突っ込んでこない。ツッコミを放棄した津田ちゃんなんてただの津田ちゃんだ。ていうか、お仕事中じゃないんだからここで今寝てるのはただの津田ちゃんなのか。・・・そっか。
しばらく静かにしてたら、津田ちゃんは布団をかぶり直して再び夢の中。みかしーみたいにオリジナリティはないけど、寝息が穏やかでかわいい。時々ふにゃふにゃ何か言って。一回だけるみちゃんの名前呼んでたけど、そのことは心の奥深いところにそっとしまっておこう。
「津田ちゃん、起きたら一緒に遊ぼ」
子供の約束みたいなこと言ってるって、我ながら思ったんだけど。
もし、私が同い年に生まれていたら、もう少し違った風に見えたのかもね。津田ちゃんのこと。

その後、パンを食べながら半分寝てる津田ちゃんがおもしろいので速攻●RECしたのは言うまでもない。

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<おまけ:るみるみも寝てるだけ>

「るみちゃーん、起きてー」
「zzz」
「何してんの、みかしー?」
「あ、津田ちゃん・・・るみちゃん姫を永き眠りから救い出したいの」
「永眠!?」
「暇だからるみちゃんと遊びたいなぁと思って」
「あぁ、そういうことね。でもるみちゃん起こすのは至難の業だと思うよ」
「そうなの?三上の情熱をもってしても?」
「情熱の内容にもよると思いますけど」
「んー・・・じゃあお姫様を起こすのはやっぱり王子様のキ(ふがっ!)」
「くすぐってみたら?」
「(ふがふが)ふかひん、はなひてほー」
「ゆかちん、ありがとう」
「おやすい御用です」
「くすぐるのかぁ・・・るみちゃんくすぐったこと、ないなぁ」
「なんかさぁ、ちょっと『禁断』って感じするよね」
「またおっさんみたいな発言を」
「だって、だってるみちゃん痩せてるから、なんか触っちゃったら触っちゃいそうじゃない?」
「いろいろぼかしすぎでしょ、その発言」
「ぷはっ!じゃあ三上、一番手いっきま〜す」
「えぇ!?みかしーはオチでしょ」
「みかしー・・・ついにそこまで堕ちるとは」
「・・・んぅ」
「あ、るみちゃん」
「ご、ごめんね。うるさくしちゃって」
「・・・津田ちゃん」
「ん?私?」
「ほら津田ちゃん、るみちゃんがご指名みたいだよ」
「ご指名って」
「るみちゃんがめっちゃあっちいけっていう目で見てるから、私とゆかちんは向こう行ってるね」
「後で呼びに来るね」
「あ、うん。ありがとう」

「最近忙しかったみたいだから・・・ゆっくり休んでね(るみるみの頭なでなで)」

2013年05月29日(水)
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