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■ 逆にそっちの方がすごい
奥ゆかしい。その言葉を体現していると、見る者は勝手に思い込む。誰もがそう思っていた。ところが、そんな思い込みは当人にとっては知らず存ぜぬ、だ。しっかり者で気丈な姫が、深夜訪ねて来たことをルカから聞いた時は、意外な積極性に驚いたものだ。迎え入れたこちらだって、その十倍は驚いた。はっきり言って心臓が止まりそうだった。 想像してみてほしい。真夜中、遠慮がちなノックの音。眠りかけていたところなので無視を決めこむかどうか迷ったが、ふとした気の迷いから面倒くさい気持ちを押しやってドアを開けてみると、ほらそこには。
「アイムがいたの」
もっと詳細に言うと、寝間着で枕を抱え、小さな体をさらに小さく縮こまらせて、申し訳なさそうな顔をした、アイムが。
「私、どうしようかと思って、もう」 「どうって、どうすんだよ」 「マーベラス! どうしてそういう質問するの!?」 「俺たちは子供番組なんだぞ。ルカも、少し控えろ」
その日は、そっと招き入れて一緒に眠った。それだけだ、と言うとルカは肩の荷が下りたのか一気に飲み干した。 聞かされた方は、余計な荷物を小分けにして背負わされた気分だ。
「でも、どうしてルカなのかな?」
至極真っ当なハカセの質問に、三者三様の答えが一斉に飛ぶ。
「アイムを連れてきてから献身的に世話をしたのは、ルカだろう」 「ま、そりゃアンタたちに細かいところまで世話させる訳にはいかないからね」
船内での暮らしを教え、早く新しい環境に慣れる手助けをすることはできる。戦闘中に気を配ってやることもできる。しかし、主に生活面と看病面で付きっきりだったのはルカだ。それだけは誰もが認めざるをえない。
「しょうがねぇな。こればっかりは、お前に譲ってやる」
悔しそうに言う船長は、カードで負けた時のように腕を組んで難しい顔をしていた。
「それだけで?」 「あとは―」
全員一致で、宙を見上げながら一言。
『好み?』
欲しけりゃ掴め。海賊なら命懸け。夜空を見上げると、遥か頭上に少し前までいた宇宙が見える。下手な口笛を吹く。上がってきたルカが反対側で酔いをさましているのか、黙って風に吹かれていた。 なんでも好きに手に入れる。それができるのが海賊だ。叶えたいことがあるからここにいる。
「それで、お前どうするつもりだ」 「さぁ、ね」 「空いてんなら、いただいてくぞ」 「そんなこと言ってないでしょ」 「……だろうな」
思い通りにならないことの方が、多いのだとしても。
同性で付き合っても全然普通、な価値観だったとしたら……ほらあの人たち、宇宙人だから。 姫はガチでルカが超好みなだけで、しかも態度がはっきりしてるから押しまくってるんじゃないか? と。むしろルカの方が、可哀想に思って世話してるうちに懐かれちゃって戸惑ってるのでは。 船長は姫が結構好きなので内心悔しいんだけど、姫の意志ならしょうがないかと、欲しいものを我慢しない船長なのにぐぐぐっと抑えてたらいい。仲間の意志は尊重する船長。
ま、なんで一緒に寝てるのか理由が知りたいなぁってことです。
2011年05月29日(日)
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