夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2002年04月22日(月) 裏切り

 今だから言えること。俺、今公演の稽古、ものすごく辛かったんだ。そんなこと、演出や共演者、あるいはスタッフの方々にはバレバレだろうけど。
 でも、皆さんのおかげで本番を迎えることができました。本番になって、俺、楽しくてしょうがないんだ。実際本番になってすごく変わったし。きっと周りは驚いているんじゃないだろうか。別に欺いていたんじゃない。稽古では無意識のうちに躊躇してたんだと思う。結果として周囲を裏切り、自分自身をも裏切る形(いい意味で)になったのではなかろうか。これからまだまだ後半戦も控えている。どんどん周りを、そして自分自身を裏切っていきたい。
 裏切るということでは、もう一点。今回、俺はぐいぐい押していく芝居ということで通してきた。ある意味でテンションの高さでしか勝負していないとでも言おうか。そのことを評して菱田さんが確かこんなふうに言った。「ああいう芝居はpH-7では許されるが、『ジャブジャブサーキット』などでは許されないだろうな」。俺、実は『ジャブジャブ』の芝居も結構好きだったりするんだ。いつかはしっとりした芝居もやってみたい、なんてことを考えていたりもする。今はあまり深く考えずに、ある意味で一つの方向でしか演じていない、とは思う。でも、その点においても今後俺は周囲を裏切っていきたいと思っている。「曽根って不器用だとばかり思ってたけど、意外とあんな芝居もできるんだ」なんてことを、いつか菱田さんに言わせてみたい。
 まあ、とにかく後半の5ステージを見応えのあるものにしていきたい。

 ところで、「しゃおりんの日記」の最新ページ読んだけど、おいおい、何だよ、あれは。「曽根さんは疲れるとため息しかつかなくなる」って。「アザラシ、てめえ、余計なこと言うなっつったろ〜」。



2002年04月21日(日) 何事もなかったかのように

 4月公演の前半が終了し、ホッとひと息。いい感じで後半につなげそうだ。
 家路につく私の前にラーメン屋のだしの匂いがしてきて、誘われるかのように暖簾をくぐった。店内に入ってみると見知った人間は一人もおらず、ましてや「もしや曽根攻さんではないですか?」などと言って近寄ってくる者もいない(いるわけねえだろ)。日常に戻れば全く無名の人間だ(別に、演劇の世界で有名、と言いたいわけではないが)。明日になれば、職場の日々の仕事に追われることになる。
 でも、これでいいのだ。日常と非日常の世界を行き来しながら、バランスがとれればそれでよい。夢幻のごとく通り過ぎていく時間のなかで、私は自分さえ知り得なかった自分というものに出会うことになるのだ。何事もなかったかのように時は儚く過ぎ去っていく。
 考えてみれば、人生にしたところで、永遠の時間の流れのなかでは夢幻であり、とるに足らないものであろう。それでも、私は一瞬一瞬をかけがえのない時間ととらえ、輝いていきたいと思う。



2002年04月20日(土) 嵐を呼ぶ男

 公演初日は何とかなったものの、自分としてはガチガチだったし、反省点は多かった。でも、初日が明けて、ホッとできたことはよかった。
 で、今日は公演2日目。しかも2回公演だ。とにかく最初からボルテージを上げて飛ばしていくつもりだった。昼公演では、後先考えずに飛ばしまくった。終わってみると息も絶え絶え、でもすごく気持ちよかった。菱田さんからは駄目出しもあったけど、それは課題として肯定的に受け止めることができた。
 昼公演直後は体もきつかったけど、1時間ほど間をおいて疲労回復。しゃおりんに「もうため息はつかない」と宣言し、臨戦態勢に入った。夜公演も絶対にテンションを下げたくはなかった。夜公演では、余分な力が抜けてよかったと感じた。テンションも下がってはいなかったと思うのだが、どうだろうか。

 今日は、昼・夜ともに知り合いが見に来ていた。あらかじめ予約してくれた人の他に、当日精算券を渡しておいた人が見に来てくれた。私の職場(福祉施設)にボランティアで来てた人だったが、本当に見に来てくれるとは思っていなかったので非常にうれしかった。しかもプレゼント(クッキー)付きで。あ、誤解なきよう言っておきますが、プレゼントとかさ、あまり気を遣っていただかなくても、公演を見に来ていただけるだけで十分ですからね。まあ、気が向いたら花束など持ってきてくだされば・・・。
 私の知り合いは皆、異口同音に「普段の曽根さんとは全然違いますね」と言っていた。そりゃそうだろ、九条みたいなやつが福祉施設の職員だったらホントに困っちゃうからな。日常との落差があればあっただけ楽しいってこともあるね。
 
 さてさて、明日もまた2回公演だ。明日の公演よりも私ゃ、明後日の職場への出勤のほうが心配だ(果たして疲れを残さず出勤できるのか)。だからと言って決して手を抜くことはない。明日もまた、アトリエに嵐を呼ぶぜ!
 



2002年04月19日(金) ゴングは打ち鳴らされた

 闘いは、始まった。公演初日は無事終了。明日の昼までしばしの休憩だ。
 ボクシングの試合で言えば、1ラウンド終了。コーナーで丸いすに腰掛けながらセコンドの指示にうなずいている、ってところか。
 セコンド(?)の菱田氏が言う。「お前、今日テンション高いな」「2ラウンド以降息切れしないようにな」。俺はほくそ笑み、心の中でつぶやいた。「な〜に、心配には及ばねえ」「2ラウンドは猛烈なラッシュをかけて、泡ふかせてやるのさ」。
 1ラウンドで感覚はつかまえたから、どんどん調子に乗っていくぜ。判定勝ちなんてケチなことは言わねえで、KO勝ちを狙っていこうじゃねえか。完膚無きまでに打ちのめしてやるのさ。
 すぐに第2ラウンドのゴングが打ち鳴らされるだろう。その前に、ラウンド・ガールよ、出て来やがれ〜。



2002年04月18日(木) 燃え尽きるまで

 明日は、公演初日。
 とにかく今の自分が出せるだけのものを出し切って勝負するよりしょうがない。明日は半日休みを取ったことだし、気分を盛り上げて万全な態勢で小屋入りしよう。もうここまできたら、演ずることが快感と感じられるようにするだけだ。緊迫したボクシングの試合のように、10ステージを完全燃焼して見応えのある舞台にしていきたい。
 「明日」がもう「今日」に変わろうとしている・・・。



2002年04月17日(水) 待ったなし

 今月中にある程度区切りをつけなければならない仕事がある。それと同時並行的に4月公演もあるというのに。それらをうまくさばいていかなくてはならない。幸い仕事のほうは自分一人がうまくペース配分していけばよい類のものである。それでも期限が切られているのは辛い。とはいえ、期限が切られているからこそ仕事になるのだとも思う。
 仕事も、公演も、待ったなしだ。この難局をどう乗り切るかが問題だ。
 ぜひとも、ゴールデン・ウィークを明るい気持ちで迎えたいものである。



2002年04月14日(日) 芝居を楽しむ余裕

 公演初日まで5日というところまで来た。
 正直に言えば、今回の公演に向けた稽古はほとんど苦しいことの連続であった。何もかもがうまくいっていないと感じていたし、そのことに関してどうしてよいのかもわからない有り様であった。考えれば考えるほど悪循環に陥っていくようでもあった。
 それが昨日くらいから何かが吹っ切れたかのように楽になった。たぶん技術が向上した等ということではないのだろう。芝居を楽しもうという意識が自然に出てきた感じなんだ。 
 今でも駄目出しはあるし、自分でもよくないと感じる場面はある。でも、本番に照準を合わせて、よい流れをつくっていきたいと思っている。本番までの残り少ない稽古、そして本番を実のあるものにしていきたい。



2002年04月13日(土) 曽根攻的小宇宙の構築を

 社会福祉の仕事を選んだ段階で、俺は「役者になる」という選択肢をはずしたつもりでいた。実際20代の間は仕事に追われ、「役者」をやろうなどと考えも及ばなかった。現在の職場に移ってから(約2年前)、何とかやりくりしながらでも芝居をするための条件はととのった。芝居の稽古をやってると正直言ってしんどいことがほとんどだ。でも、なぜだろう、やめられないんだな。今後の人生の中で何が起こるかは予想もできないが、いかなる状況に置かれても「役者修行」は続けたいと思う。
 菱田さんにはよく「曽根って真面目そうでいて結構変だよな」などと言われるが、その「変」というのはきっと誉め言葉だろうと勝手に解釈している。
 そうだな、「大根役者」ならぬ「ニンニク役者」を目指そうかな。嫌いな人にとってニンニク臭さってのはたまらなく嫌だろうけど、ニンニクによって料理に深みができたりして、あれがたまらなく好きって人も多いはず。きわめてニンニク的な自己主張をしてみようと思っている。

 それから俺、今度の公演済んだら作家の道も志していきたいと考えている。曽根攻的小宇宙を、外の世界に向けて発信していきたいのだ。
 いくつもの自分が、俺の中に存在し、時々刻々とその形を変えていく。昨日も今日も何も変わらないようでいて、実は一瞬一瞬違った自分を生きているのだ。
 俺にはまだまだ夢がある。夢は果てしないが、一つひとつ実現に向けて歩き出していこう。
  



2002年04月12日(金) サーカス

 今日、職場の行事の一環で「木下サーカス」(於:ナゴヤ球場)を見に行った。サーカスって、あの幻想的な空間とか非日常的な時間の流れとか、何かワクワクさせられるよね。
 例えば、大がかりなマジック・ショー。大きな透明な箱のなかに美女が入り、布が被せられる。次の瞬間、布を取り去ると箱のなかにはトラが現れる。え〜っ、どんな仕掛けになってるんだ。考えている間もなく、舞台は転換していく。今度は、空中から吊られた二本のロープを女性二人がつたってある程度の高さまで上っていく。と、片足をロープに巻き付け、宙づりになりながらくるくると旋回を始める。お〜っ、すげえ。思わず口をあんぐりと開けてしまう。
 目の前で展開される世界を見ながら、私は空想をどんどんふくらませていく。例えば、こんな芝居があったら面白えだろうなあ、なんてね。オープニング、暗転明けで(檻に囲まれた)舞台上にライオンが登場、咆吼を残して舞台奥に消えていく。とともに、象にのって役者が舞台に入ってくる。物語が展開してしばらくすると、轟音を立てて、球状の檻の中をオートバイが暴走する。そのボルテージのまま、クライマックスへと突き進む。いよいよラストは空中ブランコだ。観客の興奮が最高潮に達したところで暗転。暗転明けとともに満場割れんばかりの拍手、そして、スタンディング・オーべーション。観客は帰ろうともしない。興奮は冷めるどころか、高まる一方だ。劇場全体(この場合、テント公演か野外公演だろうな)が異様な空気に包まれる。なんてね、私たちの舞台も、お客さんの気持ちを思いっきり揺さぶるようなものにしたい。
 公演初日まで1週間。もう後戻りはできない。悔いることのないように、あらんかぎりの力を出し尽くしたいと思っている。



2002年04月10日(水) 俺は今怪我するわけにはいかない

 今日は職場でちょっとヒヤッとする出来事があった。施設利用者のIさんらととも少し重たい荷物を運んでいた。Iさんがあまりに重たそうにコンテナをかかえていたので「おろしていいよ」と声かけした。すると、支えきれなかったのだろう、荷物がいっぱい詰まったコンテナが私の足元まで飛んできた。あと数センチずれていたら、私の足を直撃していたであろう。
 本番まであと10日を切った今、私は絶対に怪我するわけにはいかないのだ。

 そう言えば「ぴあ中部版」の最新号に我々の公演の情宣写真載ったね。思わず同僚に見せびらかした。新規の職員にも見せたんだけど、彼らは、写真に写る私と目の前の私とを見比べて、驚いたようにこう言うんだ。これホントに曽根さんですか、カッコいいじゃないですか。写真のほうがカッコよくて別人みたい、って言うんだよ。う〜ん、確かに職場では疲れた顔してるもんな、きっと。
 前回の公演(河童塾との合同公演)を観に来てくれた同僚のひとりは、「曽根さんを見には行きたいけど、内容が恐そうだから一人では行けない」「だから何人かを誘って行く」とのこと。チケット販売も大詰めだ。
 とにかく無事に初日を迎えられ、公演が成功裡に終わってくれたら、と思っている。

 役者修行、作家志願(この意味はいずれまた)。 


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