◆ ◆ ■_教壇日報ナイショ版_■ ◆ ◆

2006年09月29日(金) **課題**

1学期の成績に1をつけた生徒は、前の日記に書いた通り、私が来るようにと言っていた日には課題を取りに来なかった。でも、後日、取って行ったらしいことは新学期が数日過ぎてから知った。たまたま廊下ですれ違った時に、彼女が声をかけてきたのだ。

「先生、課題、今やってるから待ってて。なるべく早く出すから」

本来なら新学期が始まってから最初の日に出してしかるべきものなのだけれど、出して来ないので、やっぱり持って行かなかったのだと思っていたのだ。私の机の上に置いておいた課題が残っているかどうかで、持って行ったか持って行かなかったかがわかりそうなものだけれど、机の主が不在の時は他人が勝手に使っているというのが私の職場の悪習で、机の上に置いておいたものは、その際に本棚の上にまとめて置かれてしまってそれっきりになるか、またはなくなってしまうということになることがよくあるのだ。なので、生徒との課題のやりとりに非常に迷惑するのだけれど、このことはまた後日。
とにかく、私が机の上に置いておいた課題がなかったので、また誰かがどこかに置いてしまってなくなったのか、ちゃんと持って行ったのかどちらかなのだが、本人が持って来ないのでなくなったんだと思っていた。なので「あーあーホントにどうしようもないなあ」と思っていたのだ。だから、今やっているという言葉は、ちょっと遅いけれど、まあ良い材料として受け止めた。そしてそれから3週間。待てども待てども出ない課題が、ようやく提出された。

「どうだった?面白かった?」

この課題は実は高校受験のための復習用の教材なのだ。なので、この範囲だったら考えこむこともなくスラスラと解けて楽しくやれるだろうという意図で選んだ。

「今までのよりは解きやすかったけど、でも、難しいところもありました」

そうか、どれどれーと昼休みにおにぎりを食べながらチェックしてみた。

−−−このレベルでもダメなんだ…

語順整序なんて本当にメチャクチャで、主語しか合ってない。動詞とか目的語とか全く理解していないということがよくわかった。高3になって初めて受け持った子なので、まさかここまで理解できていないとは思わなかった。よくこんなレベルでここまで上がって来たものだと、過去の担当者のワザに感心した。きっと、進級できる最低限の得点分の出題箇所を教えてそこだけ覚えさせて点を取らせるという荒技に出たのだろうなあ…。
問題はこれからだ。今度は卒業がかかっているので、何が何でも得点してもらわなくてはならない。小テストも行っているけれど、この子の得点率は、良くて2割、平均1割というところ。この小テストは前回の内容をそのまま出題しているので、丸暗記で得点できるものなのに、この有様だ。しかも使っているテキストは語法問題が中心なのでとにかく暗記して知識を増やすという性格のものなので、やればとれるの典型なのにだ。せめてこういうところで努力を示して他の先生達の理解を得て平常点を大盤振る舞いして得点を取らせるしかないと思うのだけれど、その材料もない。仕方ないので、せめて毎回、毎回、大量に課題をやらせるしかないなあ…と気が重い。この子に対してだけは特別対応しなくてはならないっていうのは、はっきり言ってかなり面倒だけれど、やらないわけにはいかないし。
でも、何をやらせればいいかがまた問題で、もっともっと簡単なレベルというと何があるだろう…。中学2年生くらいのレベルだと思うのだけれど、いっそのこと中2の教科書でも覚えてもらって文章構造に馴染んでもらおうかとも考えている。でも、そもそもこのレベルの子を卒業させてもいいのだろうか…と、非常に根源的な疑問が生まれてきてしまって、本当に頭が痛い。


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by  シェディル



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