ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2004年07月31日(土) 天使の提案
 天使様とくらしはじめて三日目の朝。天使様は唐突にこう云った。
「あったしさー、今日中に帰らなきゃ駄目みたい。天国に」
天使様が唐突なのにはもう慣れた。でも、今回ばかりは勝手が違う。
「はあ?」
「あんた、はあ、って云いすぎ。不快。でも、とにかく、今日の夜中には帰るから」
「あたし、救ってもらってないんですけど」
「だから焦ってるんじゃない。今日中にジュンコ、あんたを救わなきゃいけないの」
今日中に、救う?んなもの無理に決まっている。だいたいあたし、別に今不幸じゃないし。
「救いますよー。はーどっこいどっこい」
「何そのノリ」
「駄目かあ」
「天使様、あんた頭おかしくなってるよ。正気に戻らないと」
「そうね」
「とにかく、あたしは今日休みだから一日家にいる予定だから」
天使様は閃いたらしい。ぴんぽーん、と軽快に云った。
「今日は出かけましょう!そして今までおせわになった人たちに会って、救われましょう!」
「嫌だよ、そんなの。誰に会うのさ」
「両親とー、親友のトモヨさんとー、あんたをふったヤスシさん!」
「まじ無理。勘弁」
「両親は隣町に住んでるのよね。リサーチ済みよ。さ、いくわよ!」

 と、いうことで天使様と過ごす最後の一日、天使様いわく、「みんなにありがとデー」が始まったわけです。はー、どっこいどっこい。

2004年07月30日(金) 天使のうそ
 天使様、とあたしはごく自然に呼んだ。
「天使様、なんか証拠とかないの?あんたが天使だっていうさ」
天使様は微笑んだ、かのようにあたしには見えた。
「ほら、金髪でしょ?天使らしいじゃない」
馬鹿云え、とあたしは突っ込んだ。
「そんなプリン頭のどこが天使の金髪なのよ。ぜんぜん見えないんですけどー」
天使様はちょっとくやしそうに続ける。
「あたしって生まれつき黒髪の天使なのよ。珍しいの。だから染めろって云われて、染めてるんだけど、ま、しょうがないでしょ」
そんなことあるわきゃーない、とあたしはまた突っ込んだ。
「あるのよ、そんなことが。あたしだってあの人に云われなきゃ染めないわよ」
あの人って?とのあたしの問いに天使様はごく自然に、それこそさっきあたしが「天使様」と呼んだときみたく自然に云った。
「神様に決まってるじゃない」
「神様あ?んなわけないない。んじゃ訊きますけど、さっき、あたしを救う、って云ったよね?それってどう救え、って神様には云われてんの?」
「あなたが救われた、って思えばそれで終わりよ」
あたしはよくわからなかった。でもまあ聞いていた。
「あなたが、ジュンコさん、あなたが救われたって思うときが必ず来ます。それは保証します」
「ジュンなんですけど?」
「あれえ、ジュンコって聞いてたんだけどな。あれあれ?」
「誰に?」
「そりゃあ、あの人よ」
「またうそついて」
「沢田ジュンコじゃないの?」
本当は沢田ジュンコであってる。でもあたしはうそをついていた。なんとなく。
「違います」
「そっかあ。失敗したなあ」

 その日から、あたしは家に帰ると天使様にその日あったことを報告して、一緒にご飯食べて、寝る(寝るときは別の部屋)、という生活を送り始めた。

2004年07月29日(木) 天使との遭遇
 人間、暑くなるとやけくそになるもんだなあ。
 あたしはやけくそになって、飛び降りよう、と思った。マンションの最上階から。でも飛び降りるというのはなかなか勇気のいる行為だ。あたしはぼーっとしていた。何も考えていないわけではない。

 すると、エレベーターから一人の女の子、あたしより年下だ、が降りてきて、あたしの肩をたたいた。それはそれは軽快に。ぽん、と音だってなった気がする。
「飛び降りようと思ってるんでしょ」
ずばり云う。あたしは答える。
「そうだけど、あなたには関係ないんじゃないですか?」
あたしはすばやく女の子を観察する。金髪だ。でも明らかに染めた金髪。だって、頭頂部が地毛で黒い。プリン、ってやつだね。安っぽいワンピースにつっかけサンダルを履いた少女はどう見ても十六、七だ。少女は云った。ずばりとね。
「あたし、天使なのよ。あなたを救いに来ました」
あたしは驚いた。驚いたって云うよりあきれた。そんなばかな、って思った。
「はいはいそうですかさようなら」
あたしはその場を去った。階段を走って駆け下りた。そして一人で暮らしている部屋に戻って電気をつけた。頭の中から飛び降りのことは完全に消えていた。灯りをつけると、さっきの少女がいた。
あたしはたいそうびっくりした。まじかよ、とひとりごちた。
「だって、天使だもーん」
「そんなことないでしょ。どうせあたしが階段下りてる間にエレベーターで下りて、待ち伏せしてあたしが鍵をかけてないのをいいことに入り込んだんでしょ」
「違うよ、信じて」
「信じるわけがない」
「そんなこと云われても、あなたを救うまでこのうちにいますから」
「はあ?」
「だって」
あたしは遮った。
「天使だもん?うそつかないでよ。そんなのいるわけないじゃない」
自称天使は開き直った。
「じゃあ、家出娘をかくまうとでも思ってよ。なんでもいいから、居候させて」
あたしは考えた。最近振られたばっかりだし、さびしいのは事実。元来の適当な性格から、おろかにも、ま、いっか、と思ってしまったのだ。
「ま、いっか。なんて呼べばいい?」
「天使様」
「あーいいよいいよ。天使様ね。あたしの名前は」
「知ってるよ」
「云ってみ」
「沢田ジュンコ」
「ぶー」
「なによ」
「沢畑ジュンです」
ますます信じられない。
 でもあたしは思った。

 天使がいるんだったら、助けてもらおうじゃないの、ってね。


2004年07月28日(水) 最近短くてすいません
 なんだか最近落ち着かないなあ。落ち着いてたのはいつだったか、そんなことすら忘れてしまった。

 携帯を変えたんだけれど、慣れないなあ。前の携帯が懐かしくて、つい意味もなくいじってしまう。

 わたしはどこへ行きたいんだろう。なんにもわからないふりして、ミュージカルスターのように歌い踊り涙を流す。
 そんなのってずるいよ、って彼女は云う。でもわたしはやめない。だってわたしは生きるのにあまりに不慣れだから。息を吸って吐く、それだけの行為すら満足にできないわたしに、いったどうやって生きろというのだろう。

2004年07月27日(火) お願いがあります、あなたに
 おろかなわたしを
 認めてくださいなんて云わないから

 いつもどおりに笑っていてください。

 ね、お願い?

2004年07月26日(月) すぐに忘れてしまうようなサイトなんて
 あたしのことばなんかで、なにが伝えられる?

 夕立の中考えてみても、答えは出なかった。

 今、ひとつ書きたい物語があります。

 ここで書こうかどうか悩んでます。

2004年07月25日(日) なんだかんだで夏休み
 夏期講習が始まったり、君と会うことになったり、なんだかんだで夏休み。そう夏休み。

2004年07月24日(土) この胸で、ああ、それは一度だけ
 君は憶えているかな
 君が泣いたときのこと

 君は憶えてくれてるかな
 わたしが笑ったときのこと

 君に固執しすぎなのかもしれない
 でも君のことを考えずにはいられないよ

 たとえば君とあの時とは違う出会い方をしていたら
 そんなことを考えると切なくてたまらなくなるよ

 ねえ、ねえ、ねえ

 もう一度、会いたい

2004年07月23日(金) あたしはねえ、で終わる文章をよく書く気がしますが。
あすが来るなら
まだ大丈夫だ


あたしに君は来ない



ねえ。

2004年07月22日(木) わたしの日記の書き方
 お話がうかぶ
 キャッチできるかな
 あ、できた

 ことばが舞う
 捕まえられるかな
 あ、できた

 そんな風にして
 毎日書いてます。

2004年07月21日(水) ミルク色の壁
クーラーのきいた部屋で


世界が終わるのを待っている


わたしにはなんの力も無い


煩悩の数よりも多い絶望の数



わたしはただ楽しくいたいだけなんだ


なのに、なのに、なのに












誰もわたしを許してはくれないのか



ねえ、あなたは許してくれる?

2004年07月20日(火) 甘いジュース君の笑顔残されたわたし
君がいれば大丈夫だって信じてたよ
二人でいればきっとうまくやっていけるって


















でも君は消えた
わたしの前から
きれいさっぱり
傷跡だけを残して


わたしは泣きはしなかった
ただ笑っていた
おくびょう者特有の、あのしみったれた笑顔を浮かべ
心の中はぐちゃぐちゃだった


ねえ、今何してる?

2004年07月19日(月) 君にいいたいことがあるんだけど
 感謝ってどうやったらつたわると思う?
 わたしわからないけれど、
 ただほほえんでるだけじゃだめだよね。


 ありがと。

2004年07月18日(日) 車の中です。いま。
いろんな人がわたしのことばにふれてくれたんだなあ、って思う


ありがとう。

そうとしか良いようがないよ。


ほんとうに
ほんとに




これからも、わたしとそのことばをよろしくお願いいたします。

2004年07月17日(土) あなたにささぐうた
 あなたのつづることば
 それがうそでもほんとでも
 あたしはすきだし
 いのっている


 あなたがつづりつづけられますように

 あなたがわらっていられますように

 あなたのこうかいがあなただけのものではないように

 あなたのことばはあたしのもの

 そうでしょ?

2004年07月16日(金) そらとつきとあたし
 空が落ちてくる
 逃げなくちゃいけないのに
 あたしのあたまのなかは
 君のことでいっぱい

 君が踊れば
 なんにも変わらないって思ってた

 君が笑えば
 すべて変えられるって思ってた

 祝福なんて誰がするの

2004年07月15日(木) きみになりたい
 すこしでいい。きみのしあわせをわけてはくれないか。

 ちょっとでいい。きみのふこうをわけてはくれないか。

 ああ、わたしはきみになりたいのだ。
 こんなにものぞんでいるのだ。

2004年07月14日(水) いつの日も。
 君の詩に感情移入するほどあたしは若くないし、かわいくない。
 でも君のつづる言葉は大好きだよ。

 愛をこめて、なんて科白もう数百年も前のものに聞こえるけど、
 ほんとだよ。


 もうすぐ一万ヒットです。一万ヒット踏んだかたはぜひご一報を。

2004年07月13日(火) 素晴らしいショーをありがとう
あの人は歌っていた
わたしの大好きな声で

こうしてわたしは遠ざかる景色を眺めながら


あの人と、あの子と、あなたのことを思う


それは途方もなく美しく

果てなくしらじらしい祈りだ

2004年07月12日(月) ぼくたちは世の中に絶望してる
 ああ、わたしはあなたを待っている。
 ただ漠然と待っている。
 おかしな日本語に浸ってずぶり。
 かわいくない子供と目があってにこり。

 かわらないこともひとつの才能だって、彼は歌ってた。
 そうかもしれないね。
 すすめ、って彼は歌った。
 進んで見せよう。

 君がもう一度わたしのもとへやってくるとは思わなかった。
 ただ、待っていたんだ。


 さようなら。


 エブリバディ。

2004年07月11日(日) 誰かわたしの歌をきいてくれ
わたしの歌を


わたしだけの歌を


愚かな歌を



誰かきいてくれ。

2004年07月10日(土) きれいな気もしてきただろ?
 テスト中、わたしの気持ちはどんどん内側へ向かっていった。水槽の中の小鳥のように。鳥かごの中の魚のように。どうしてこんなところにいるんだろう、って思ってた。間違ってる、って。小鳥は鳥かごの中にいるべきで、魚は水槽の中にいるべきなのに。いや、それは間違っているな。小鳥は大空を舞うべきで、魚は海やら川やらで、のびのびと泳ぐべきだ。
 でも、つかまってしまったのだった。誰が自分をつかまえたかなんてもう憶えちゃいない。ただ、大きな、あるいは小さな手が、自分をつかまえるとここへつれてきたのだった。
 わたしも同じだ。生まれたころは、小さかったころはこんなところにいなかった。もっとだだっ広い、いや、狭かったかもしれないが、とにかく、ぜんぜん違うところにいたはずだ。それが、どうしてこんなところでテストなんかを受けてるのだろう。わたしの頭の上にはくだらないマンガのように疑問符が飛び交っていた。
 ナゼ、ドーシテ、ワタシハコンナトコロニ。
 理由がいるかい?ってよく彼は云っていた。わたしが、「どうして」と訊ねると彼は必ずと云っていいほど云った。
「理由がいるかい?」って。
 わたしはなんで理由を知りたいのかなんてことすら忘れて、小さくなった。そう、彼の前ではわたしはいつも小さかったのだ。
 理由がいるかい。いるのだろうか。いらないのだろうか。少なくとも訊いたときのわたしには必要に思われた。でもそんなのまやかしだった。うそっこだった。わたしは云い直す。
「ううん、別に、たいして意味はないんだけど、ただ、ちょっと、気になって、それだけ」
 彼は笑いもせず続ける。
「理由がいることなんてあるの?理由って何?僕にはわからない。でも君が知っているなら教えてほしい」
 挑発してんのか、ってぐらい真摯で澄んだ目。わたしは結局彼の問いには一度も答えられなかった。彼と森ではぐれてからもう何年たつだろう。彼はあの薄暗い森にまだいるのだろうか。わたしが見捨てた、と思って。別にわたしは見捨てたわけじゃない。ただ、助かりたかっただけだ。いや、見捨てたのかなあ。よくわかんないや。
 彼に、道端とかで、ひょいって会ったらいいのに、っていっつもって云っていいほど思ってる。
 渋谷で。あるいは日比谷で。そんな人の多いところで、運命の再開、とかそんな陳腐な言葉がよく似合う出会い方をする。
 彼はきっとまたいつものように、やあ、と云うだろう。わたしはいつものように、あ、と言葉に詰まるだろう。彼と会ったとき、わたしはいつも言葉に詰まっていた。先生に指名された子供のように。
 彼は別に饒舌だったわけではない。でもなんとなく、彼のしゃべったことは印象に残っている。それは別に面白かったとか、ためになったとかそういうわけではない。ただ、なんとなく、ことばの尻尾がわたしの心のドアーに挟まって、とるのは忍びないと思っている、というような。
 なんか話がずれてしまった。テスト中の話だったのに彼の話になっている。
 まあ、このへんで。

2004年07月09日(金) 短くてすいません
 君は意味もなく笑うのが得意だったね。今日街でふと思い出したよ。
 はなやかな街とは裏腹に内側へ向かっていくわたしの心。君のことなんか思い出した日には、もうやりきれない。

2004年07月08日(木) もうだめだ
 テストが終わってほっと一息。
 でもなにもかわらない。
 あいかわらずあたしはだめだし、きみはいない。

 ああ、愛、たい。

2004年07月07日(水) わたしが忘れ去られても
あなたに絶望の暗い沼からきれいな指ですくい出してもらってから、もうずいぶんたちますね。
わたしは相変わらず後ろ向きですが、いつかよりは生きやすくなりました。


あなたが元気そうで何よりです。


わたしはあなたを尊敬します。敬愛します。




ありがとう、先生。

2004年07月06日(火) テスト中、携帯から。
ねえ、わたしは一生このままなのですか?
醜い笑顔で君の不確かな要求にこたえ続ける。
なにも見えない真っ暗闇の中で、紅茶を飲むように、自分の心を飲んで。

2004年07月05日(月) かつて、わたしは月だった
 わたしは月だった。地球である君のまわりをまわり、日々形を変え、君の表面に巣食う人類に、希望の光を与え続けた。
 今、わたしはなんでもない。ブラックホールに吸い込まれてしまった。それからわたしはブラックホールの中で、君に会いたいと、切に願っている。それだけである。

2004年07月04日(日) きみ、にありいこーるわたし
好き、という感情を忘れてしまった
たぶん昨日行ったファーストフード店に忘れて来たんだ

がんばり方も忘れてしまった

さよう。その通り。

2004年07月03日(土) なにもかもに嫉妬して。
シャープペンシルを握る細い指が
小刻みに震えているのをわたしは見た



ついてないなあ、ってなんとなく思う
オレンジのアイスクリーム
夢がわたしを誘惑する
飛んでいっちゃえよ
いなくなっちゃえよ
みんな嘘にしちまえよ




暑いせいにして
すべて忘れたい

2004年07月02日(金) 頭振っても楽しくない
 いつだってぎりぎりだった。なんて、どっかできいたことあるフレーズ。

 今だって、ずっと。

 さよならのかわりに、

 灰になれ。

2004年07月01日(木) ぼくたちはなんだかすべて忘れてしまうね
 サイト名変えました。
 岡崎京子の小説の一部分です。

 これからも、「ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ」をよろしく。

 誰か、略称考えて・・・。


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