ぐっどないとみゅうじっく
もくじきのうつぎの日社会の窓

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2002年07月30日(火) ててなしごの唄〜矢野顕子@赤坂ACTシアター〜

 フジロック熱も冷めぬまま矢野顕子@赤坂ACTシアターへ。広いステージにグランドピアノがひとつ。イベントでは何度か観たことあるものの、ワンマンは初めて。今回はヤノ・ラボと題し、色んな唄を実験的に披露する企画。

 開演の鐘が鳴る。ピアノの前にすっと座り歌い始めたのは奥田民生の『さすらい』。矢野が歌うと詞が本当に生きている言葉かどうか試されている気がする。もちろん歌っている本人はそんな気サラサラないのだろうけど。そして言葉は確かに生きていた、民生が歌っている以上に。
 何曲か歌った後、友部正人の『愛について』。聴きたかった唄のひとつ。父のいない子と母が愛について考えることで結ばれている、と淡々と語る様に歌うのが切なさを増す。ちょっとだけテンポが速く歌われた分、後からゆっくり心に沁みてゆくのが分かる。今年正式に坂本龍一と離婚した彼女と唄の中の親子を勝手に重ねてしまう。友部は何を想い、この唄を作ったのだろうか。
 この時期、ここぞとばかりに披露された『夏なんです』。ピアノの低音の音が夏の風が凪いだ時の静けさのようにいつまでも響く。はっぴいえんどの唄を多くカヴァーしている中、ふと大滝詠一の曲がないのに気付く。何故だろう。

 「一緒に歌うのが夢でした」と紹介され、ゲストで森山良子登場。意外な組み合わせだが歌っていても、話していてもふたりの息はぴったり。なんとリハーサルは一回だけらしい。それでも唄を離れると井戸端会議みたいに話は盛り上がる。まるで隣近所のおばさんみたいに。森山の知り合いのおぎやはぎ(お笑いコンビ)から矢野は差し入れにに2.3kgの重量のある糠どこをプレゼントされたらしい。そんな話とは全く無関係なC.S.N&Yの『OUR HOUSE』を歌う。まさかこのふたりからこの唄を聴けると思っていなかったので、無言で嬉しい悲鳴を挙げる。森山の歌の上手さと発音の良さには驚いた。それと日本語の唄も英語のような発音に聴こえる。ザワワザワワと歌う『さとうきび畑』。今、密かにヒットしているらしい。父を知らない子供の消えない悲しみの唄。先ほど歌った『愛について』同様、考えさせられるものがある。

 アンコールで『ひとつだけ』。この唄は僕の中でもやっぱりはずせない。矢野の唄を一曲挙げるとすれば、この唄を選ぶだろう。本当に欲しいものなんて、たったひとつだけなんだよなぁと、何時でも多くを求めすぎる自分に気が付く。
 「世の中には様々な唄とか唄のようなものとか、唄い手とか唄い手のような人とか色々いますけれど、こんなに素晴らしい唄い手はいないです」と再び森山を呼ぶ。スティーブン・フォスターが死の直前に書いたと言う『Beautiful Dreamer』(多分、こんなタイトル。♪たまごか〜らプロテア〜とCMソングにもなった)をアカペラで歌う。マイクなしでも充分通るふたりの声が会場を包む。他では味わうことの出来ぬ心地よさに酔い痴れた。

 今日は演奏中いつも以上に色んな事を思い出したり、考えさせられた。唄のフレーズやピアノの響きが、遠い過去や身近な想いへ誘ってくれた。あまりにも遠くへ行ってしまった自分がもう帰ってこれないんじゃないかと、もう一人の自分が心配するくらいに。それは僕の集中力がない所為だけではなく、唄が与えてくれた力だと思う。ステージ上の矢野が唄を軸にどこまでも飛んでゆくように。

1.さすらい
2.GIRLFRIENDS FOREVER
3.いつか王子様が
4.夏なんです
5.いつのまにか晴れ
6.You Are What You Eat
7.* Someone to Watch Over Me
8.* 愛はたくさん
9.* Our House(Crosby, Stills, Nash & Young)
10.* さとうきび畑
11.トランスワールド
12.愛について
13.M.oney Song
14.Dreaming Girl

アンコール
15.ひとつだけ
16.* Beautiful Dreamer(Stephen Fosterの作品)

* は、森山良子と共演。

やのコレ』の木本さんには色々教えていただきました。
ありがとうございます。

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2002年07月29日(月) 俺はもうダメだ

生徒「楽しかったぁ」
卒業生一同「フジロック〜!」

…とこのようにフジロックレポを書こうと思い、仕事を終え早めに帰ってきた。ご飯が炊けるまでの間(約10分)、ボクシングを観ながらちょっと横になってたら、何時の間にか熟睡。
 22時半頃、矢ちゃんから電話を貰って起きる。「何をいってるかわからない」と言われる。自分でもそう思う。寝ぼけているのだ。電話が終わり『濱マイク』を観ながらごはんの支度。牛肉の玉子とじを作って食べる。満腹になったところでパソコンの電源を入れ、起ち上がるまでちょっと横になってたら、また何時の間にか熟睡。BS2でやってたアキ・カリウスマキの『マッチ工場の少女』を観たかったのに…。
 そして今(朝の5時53分)に至る。他にも片付けや洗濯やデモ作りや色々することあったのに。ああ、でも今こうしている間にも睡魔は襲ってくる。早々にアップして寝ます。おやすみ。あした起きれるかしらん。

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2002年07月28日(日) 妖怪たちの宴〜フジロックフェスティバル’02@苗場スキー場〜vol.2

 *長いのでごゆっくり、または保存して御覧下さいな。

 15:40 曽我部恵一@FIELD OF HEAVEN
 この時間帯からトンボが多く出始める。歌いながらトンボを気にするミュージシャンを見るのもまたフジロックの見所。大勢のメンバーと共に深めに帽子を被ったヒゲ面の曽我部登場。ミッキーマウスのTシャツが余計に怪しい。ここでも1匹確保。ビールを掲げ「呑んでる?」と一言。それと同時にギターのアルペジオで始まったサニーデイ時代の曲『あじさい』。待ってましたといわんばかりの歓声。風貌からは予想もつかないほどの透き通った声。他の楽器が一斉に入ると同時に盛り上がりは最高潮に達する。
 『道』『ブルーのこころ』と新曲が続く。まだ、誰も聴いたことが無い所為か、演奏する側も初々しい。サックスの高い音色とギターだけのアレンジが夕暮れに心地よい。奥さんと子供を連れて歩いて、ここまで来たらしい。終始笑顔で普段の生活も楽しくてたまらないといった様子。
 『浜辺』で入る個所を間違えやり直す。それでもテンポが合わず歌い辛そう。『おとなになんかならないで』。チューニングが狂っているのが惜しいが、とてもすてきな唄だった。これは多分、お子さんへの想いを歌った唄。「秘密のまま輝いて」「夢から覚めて泣かないで」と言う詞にとても暖かくやさしい。ラスト『魔法』で締める。

 全体的に完全なるリハ不足。ぎこちない感じで延ばして終わったり、なんとなく内輪受け的なムードが漂っていた。和気あいあいの雰囲気の中で、お互いに顔を見せ合いても何処か合わない。キーボードの高野勲が歌っている後ろで終始しゃべり、雰囲気を悪くしていた。曲が良いだけにもったいない気がした。

 AVALON FIELDASA-CHANG&巡礼を聴きながら早めの夕食。タブラの音が心地よい。そういえば僕も持ってたよな…。メニューはケチャップライスと照り焼きチキン。しかし、ケチャップライスはご飯ねちょねちょ、照り焼きチキンは焦げすぎチキン。しかも味も薄いときた…。お腹はいっぱいなのにどこか物足りない。

 19:10 Jane's Addiction@GREEN STAGE
 名前だけは知っていたものの、どうも僕の好みじゃない。サウンドが古い気がした。Voのペリー・ファレルには妖気を感じたが、これまですごいのを何匹か観てしまったので、それに比べたら赤子のようなもの。判断が妖怪か否かになっている。早めにWHITE STAGEのCORNELIUSへ。

 20:10 CORNELIUSWHITE STAGE
 早めに着くがすでにかなりの人で混雑している。歩くのも牛歩状態で、入り口付近の道を除けば他は人で埋め尽されている。しばらく後方で待っていると、ステージ前方の白いスクリーンに小山田の影がバックライトで映し出される。そして彼が指差す方向へ文字が現れては消えてゆく。演奏が始まると同時に次々と映像がスクリーンに映し出される。音楽と映像を同期させた見せ方で驚かされたが、野外の星空の元では条件が悪すぎ。遠くから観ても映像は分かるが、音響効果が伴わない。小さいホール、乃至はライブハウスで観たら卒倒するくらいの効果が出てくるんだろうな。終わってからの混雑を想定して、早めにGREEN STAGEへ戻る。

 21:30 RED HOT CHILI PEPPERSGREEN STAGE
 泥濘の中、雨に打たれて観ていた、フジロック元年から5年越しの積年の想い。今思えばそれも良い思い出なのか!?あの時「テッチリが終わったら〜の前で待ってます」と笑わせてくれた彼は今何処で何をしているのだろう。

 前方のコンクリートのフロアは当然の事ながら、その後ろの普段は座っている芝生の部分まで人が溢れている。体力的にはそんなに疲れていないものの、気力が持たず後方で観ることにした。3年前ケミカルブラザーズを観た時はそんなことなかったのになぁ…。
 ギターの爆音と共にメンバー登場。しばしジャムった後『BY THE WAY』で幕を開ける。先月出たアルバムの中で今までのハードな部分と歌ものがいい具合にミックスされた曲。早くもかなりの盛り上がりを見せる。このまま勢いづくと思いきや『SCARTISSUE』でペースを落とす。今回のアルバムが歌物中心なように、ライブも以前とは変わってきているのだろう。しかし次の『AROUND THE WORLD』ではディストーションの掛かったフリーのベースが炸裂する。間奏でのギターとの掛け合いは今まで聴いた事もないようなベースの音で度肝を抜かれた。終わってアンディー(Vo)の雄叫び一発。
 そして『OTHER SIDE』『THE ZEPHER SONG』『CAN'T STOP』『CALIFORNICATION』など、最新アルバム『BY THE WAY』と全作『CALIFORNICATION』からの主要なナンバーが続く。
 『FREAKY STYLEY』でP-FUNKの総帥ジョージ・クリントン登場、最高潮の盛り上がりを見せたまま次の『GIVE IT AWAY』へ傾れ込む。遠くから観てても前方でかなりのダイブや跳ねている人が分かる。ここに来て前方に行かなかった事を後悔する。

 鳴り止まない拍手や感性の中、メンバーがアンコールに答える。熱くなった身体を冷ます様に、ジョンのクリアなギターが『UNDER THE BRIDGE』のイントロを奏でる。イントロを聴くまでさっぱり忘れていたが、僕が一番聴きたかった曲。周りの歓声も一際多い。でも、それに合わせる手拍子はどうかと思う。このテンポでやると音頭か演歌になってしまうから。

Under the bridge downtown  
Is where I drew some blood  
Under the bridge downtown  
I could not get enough     
Under the bridge downtown  
Forgot about my love      
Under the bridge downtown  
I gave my life away

ダウンタウンの橋の下 僕は少し血を抜いた
ダウンタウンの橋の下 いくらあっても足りなかった
ダウンタウンの橋の下 愛する人のことを忘れた
ダウンタウンの橋の下 僕は人生を捨てた…


 ここの大合唱では泣いてしまいそうになるほど心を鷲掴みにされた。レッチリの中でも情緒溢れるメロディーラインと詞。レッチリがここまで大きくなったのは、ただ暴れるだけの変態バンドではなく、メロディーに哀愁が漂っているからだと改めて感じた。そしてラストの『ME AND MY FRIENDS』で暴れ締め。1時間半のステージで本人達も積年の想いを晴らしたと思う。

 本編も終わりフジロック全体の締めとしてイタリアのバンドBANDA BASSOTTIが大トリを務める。殆どが他へ移動する中、まだ踊り足りない人もいるようで、真ん中の方で輪になったり騒いだりしていた。僕はそれを観て楽しむ。

 小腹が空いたので、RED MARQEE近くののOASISへ。異国情緒な屋台がが建ち並ぶ中、色々迷ったがケバブカレーを食べる。フジロックへ来たら一食はカレーを食べないとね!
 食後の運動にRED MARQEEで身体を揺らすが同じようなパターンのDJにすぐ厭きる。有名でも無名でもいいから、頭を空っぽにして踊らさしてくれるDJは居ないものか。
 AM2:20くらい。睡魔と戦いながらLOVE JETSを見る。忌野清志郎ら(あとは誰?)の覆面バンド。宇宙人なのだそうだが、今までの企画もののバンドの中でもかなり位置付けが分からない。清志郎風に言えば「さっぱりわかんねぇ何のため?」(サマータイムブルース)である。立って観るほどの気力もなく2、3曲聴いた辺りで眠る。『キモチE』で目が覚め、『雨上がりの夜空に』再び眠る。RCの曲に反応してしまう自分が可笑しい。始発のシャトルバスの時間まで眠る。

 AM5:00 自然と目が覚め、耳を疑うような静けさの中シャトルバスへ向かう。バス乗り場はもうすでに長蛇の列。疲れ切った寝ぼけ眼の顔が幾つも立ち並んでいる。その姿はまるで妖怪。こんな身近にも妖怪たちは居たのだった…。

 かなりの人数が今年も来たものの(3日間で9万人)、食料、飲料、ゴミ、トイレなどの問題は殆どなく、フェスとしてはかなり改善されてきたと思う。フジロックで求められるもの、それは聴いた事のない新曲ではなく、各アーティストの「ベスト・オブ〜」である。ただ、それがマンネリ化してゆく危険性も感じた。同じような英、米のミュージシャンだけでなくありとあらゆる国から、観た事も聴いた事もないような妖怪たちを望む。来年ももちろん行く予定。

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2002年07月27日(土) 妖怪たちの宴〜フジロックフェスティバル’02@苗場スキー場〜vol.1

*長いのでごゆっくり、または保存して御覧下さいな。

 朝6時半起きでフジロック.フェスティバル’02@苗場スキー場の最終日に出かける。今年はひとりでの参戦。特に仲間内でワイワイやるタイプではないのだけど、待ち時間は暇を持て余すだろう。会場へ向かうシャトルバスの中で矢ちゃんにダビングしてもらった友部正人を聴く。窓から見える田園風景とよく似合う。しかし唄はぜんぜん田舎的ではない、むしろ都会的だと思う。フジロックにも出て欲しいな。
 
 11:00 ゆらゆら帝国@GREEN STAGE
 炎天下の中の主催者の挨拶の後、いかにも夏とは縁がなさそうな顔立ちの3人が登場。いつも暗がりの中でしか観ていない所為か、やけに顔色が悪く見える。妖怪といった方がいいかも。本日初の妖怪3匹捕獲。しばらくサウンドチェックした後で「やっていいスか?」と坂本慎太郎の一言で会場が沸く。

 各楽器をかき鳴らし始まった『わかってほしい』。「アアア〜ン」がいつもよりいやらしく聴こえる。テンポアップするところが裏ノリのような気がしたが、ステージ前方で飛び跳ねている僕らにはあまり関係ないのかも。続いて『アイツのテーマ』。なかなか聴けないこの曲をフジで聴けるのはうれしい。でも間奏で「オイッ、オイッ!」の掛け声はいかなるものか。アップテンポな『新曲1』(野音1曲目)。野音の時は会場の外から聴いていたのではじめて聴く。低音に押されほとんど唄が聴き取れない。まぁ、そうじゃなくてもステージ前でもみくちゃだったんだけど。終わってから「どぉも」と一言。
 『新曲2』(サビ:こっちへ来なよ〜おまえが好きだよ〜)。ゆったりとしたテンポのこの曲を、きつい陽射しの中で聴くと一段と狂気さが増す。途中でひんやりとした風が吹く。「メガネをかけてよく見えるならそれもいいが…」のところで顔を歪ませ方が印象的だった。誰にでも出来る顔ではない。バスドラが心臓の鼓動のように聴こえてきたところで、『ミーのカー』のイントロのギターフレーズと重なってくる。この流れは結構好きだ。ゆらゆらしながら聴いていると、一瞬気が遠のきそうになる。最後はノイズの嵐。お馴染みのペンギン歩きはいつもより速めに感じた。
 ノイズだらけの残響音を残したまま『男は不安定』へ。いつもとは違うバージョンで、同じリズムをキープしてどこまでも突き進む。間奏で「忍法〜!」とでも唱えるようにひとさし指を合わすような変な踊りを披露。でもギターは弾きたい…そんな格好でよろけて倒れそうになる慎太郎。急に思いついたのだろうか、それとも鏡の前で練習…そんな訳ない。「あとソ衄曲で終わりです…」と文字化けのような言葉を吐いて『ラメのパンタロン』。いつもの大合唱が囲まれた山々に木霊したような気がした。ラスト『ズックにロック』。ここぞとばかりに後方からダイブする奴が飛んでくる。転がる奴はいいが、ダイブしながら暴れるやつは迷惑千万。千代さんのベース、低音は出ているものの、いつもの滑り出すような軽快さがない。でもそれはきっとプレイではなく、音の所為だろう。
 とか何とか思っているうちにあっけなく終わってしまう。イベントでのゆら帝は他のバンドに比べてかなり短い演奏時間。この勿体つけ方がまた次も観たくなる要因なのだろうか。初っ端から気持ちのいい汗をかかせてもらった。

 12:20 FIELD OF HEAVENでのPolarisを観ようと思ったが、時間がないのでWHITE STAGEDate Cource Pentagon Royal Gardenに変更。11人編成の大所帯バンド。最後の2曲だけ聴くことが出来、ジミヘンの『Hey Joe』で終わる。全くと言って良いほど原曲をとどめてないアレンジに驚く。

 昼食。かなりの人で混雑していたので、カルビライス(確かこんな名前)の列に並んだはずがタコス売り場に並んでしまった!…。途中で気が付いたがあとちょっとの所で並び直すのはもったいない。仕方なくビーフタコス(あくまでも肉!)で我慢しよう、と思ったら隣のカルビライスの店員が「ご飯が足りないのであと20分くらいお待ちいただきま〜す」と残酷な言葉。僕もそっちへ並んでいればこの言葉を浴びせられていた訳である。20分以上間ってそりゃあない!もっと前に分かるだろうに。ビーフタコスはなかなか美味。3口で食べ終わっちゃたけど…。

 13:20  四人囃子WHITE STAGE
 遠くから聴こえるギターの音につられ、早めにWHITE STAGEへ行くとリハーサルが行われている。しかも楽器を持っているのはローディーではなく本人たち。モニターの音が中々合わず悪戦苦闘していたが、時折聴こえる曲のフレーズで歓声が湧き起こる。ここに集まった人は観客の数はそれ程多くないものの、本当に心から待ち望んでいた人ばかりだと見ていると分かる。そして割と年配の人が多い。当時から彼らを好きだった人なのだろう。

 一反、舞台袖に引っ込み再びS.Eと共に現れた4人。4月のスモーキー・メディスソとのライブはテレビでしか観れなかったから、この日がどれだけ待ち遠しかった事か。普段着とさほど変わらぬ格好で現れたおじさん達は、楽器を手にすると妖怪七変化のようにとんでもない事を仕出かしそうだ。佐久間(Bs)はほとんどが白髪だが、それでも佇まいは少年のよう。プロデューサーをやっているより、ベースを手にしていた方が断然カッコイイ。長髪をリハで結わいてたのを解いた森園(Vo&G)は更に妖怪度を増す。先ほど観たゆらゆら帝国の3匹が束になっても適わないほどの本物ぶり。幸運にも本日4匹目捕獲。しかもかなりの大物。
 静寂の中ギターが入り、何かが目覚めるように始まった『おまつり(やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)』。周りの山々にも木霊するような、かなり深いリヴァーブが掛かった森園の声。高いキーは少しきつそうだ。それでも10分にも及ぶ演奏は圧巻だった。
 次にドラムから始まる『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』。他のパートが入って来た時、鳥肌が立つ。リハーサルで聴いた時よりも迫力がまるで違う。岡井(Ds)もパワフルで支えてあるシンバルが何度も倒れそうになる。
 そして幾つかの曲で構成されている壮大な曲『泳ぐなネッシー』。今では誰もがあのネッシー写真は捏造だと知っている中演奏されるこの曲は、そのことを肯定しながらも観ているものを時にやさしく、時に激しく包む。おまけにネッシーのような顔をしたカメラクレーンがステージのを色んな方向から見つめている。轟音の中ソロパートが激しくせめぎ合う。どのパートも顔がひん曲がりそうになるプレイ。間を取るか、間を埋めていくかも個々のセンスが問われる。
 インスト曲『なすのちやわんやき』。途中でベースを弾くのを止め、リコーダーに持ち替える佐久間。しかしリコーダーの音は爆音に見事にかき消される。ちょっと残念。決して出過ぎる事のない坂下(Kb)の音ももったいないくらいに小さい。骨董品のような家具調オルガンの音を堪能したかったのに…。曲が終わり、時計を見るとあと少しで13時。今ここを出なければ元ちとせには間に合わない。しかし僕の足は一向に動き出さず、そのままそこに。離れられるはずはない、今ここを離れたら後悔すると思う。そう思った矢先『一触即発』が迷っていた気持ちに止めを刺す。幻想的なフィードバックに岡井のスネア一発で静は動へと変化する。

あの青い空がやぶけたら
きっとあの海も
せり上がってくるにきまってる
空がやぶけて
声もきこえない


 搾るように出す森園の声は地獄の底からの呻き声ようだ。それぞれのパートの音量のバランスも悪くなり、ギターやオルガンの音はかなり小さく聴こえ難いのだが、それらをはるかに凌駕する演奏。ライブでこんなにも鳥肌が立ちっぱなしなのは久しぶり。立ち尽くし漂い、音を聴くだけの1時間弱だった。

 最近のライブ特有の前列でモッシュやダイブをするような盛り上がりはないものの、観ているだけで底から湧き上がってくるような興奮が確かにそこにはあった。それはフジロックでは新しいジャンルに位置する。どの曲でも同じような盛り上がりをみせるのは、非常につまらない事だと改めて見せ付けてくれた。懐かしむと言うには凄まじ過ぎたステージだった。

 14:20 元ちとせFIELD OF HEAVEN
 四人囃子の余韻が残したままステージに向かうとビョークのカヴァーの『Birthday』が聴こえてくる。そしてFIELD OF HEAVENにこんなに人が入るのかと思うほどの人の多さに驚く。実際、入場制限が出てたそうな。唄は聴こえるものの、後ろからではピンクの衣装を来た元ちとせが微かに見えるくらい。妖怪を見た後の目の保養にもなりゃあしない。編成はアコギ、パーカッションのシンプルな形態。曲によってアコーディオンが入る。それだけに歌も映える。
 『コトノハ』『ひかる・かいがら』と続き、アコギから始まった『ワダツミの木』。ある男を想い続けて、花になってしまった女の唄。誰もが待ち望んでいたように歓声も一際多い。CDのアレンジよりも更にシンプルで、ずっしりとしたパーカッションがお腹に響く。初めて聴いた彼女の生の声だがCDで聴くよりも癖がなく、しっとりと聴く者の心に沁みこんでくる。曲が終わると同時にその場を去る人がいて、やっぱりヒット曲の影響ってすごいんだなと思う。でもそれだけの魅力なのだろうか。
 少なくなったおかげでどんどん前にいくことが出来、歌う彼女もずいぶん大きくなってきた。歌う姿は何かが乗り移ったように意外とオーバーアクション。少しだけ武田鉄矢を連想させる。逆に話す姿はごく普通の女の娘。「気持ちいいので、もうちょっと歌っていていいですか?」とMCの後『君ヲ想フ』。スパニッシュ風のアコギのカッティングとライオンメリィのアコーディオンが冴え、鳥肌が立った。藤井珠緒のパーカッションもちゃんと息遣いが聞こえ、乾いた音が唄と絡み合う。

私と踊ってよ 夕陽が壊れるまで
私と踊ってよ あの森が溶けるまで
私にふれてよ ねぇ、いつまでも


 最後の曲『ハイヌミカゼ』。彼女が歌う「わたし」は「わたし」ではなく「あなた」は「あなた」ではなく、もっと大きな存在の様に思えてしまうのは僕だけか。
 もっと前の方で最初から観たかったけれど、僕は四人囃子を選んだ。後悔はないが二者択一の難しさを改めて感じる。ワンマンライブには是非足を運びたい。

 15:00 SUPERCARWHITE STAGE
 元ちとせが終わり、次の曽我部恵一まで少し時間があったのでWHITE STAGEへ。しかし、もうすでにステージ前には沢山の人。あきらめて道端で座って音だけを堪能。思い起こせばこれで見逃すの3回目。つくづくフジロックでのスーパーカーには縁がない。30分くらい聴いた後で再びFIELD OF HEAVEN移動。この時佐久間正英(四人囃子Bs)とすれ違う。

続きは「つぎの日」↓
http://www.enpitu.ne.jp/usr7/bin/day?id=79413&pg=20020728


2002年07月26日(金) 大きな腕

 「宮崎映画を観ていないのは日本人として恥だね」とある人は誇らしげに言った。僕は未だ『千と千尋の神隠し』を観ていない。確かに宮崎作品はじめスタジオジブリの映画が今、世界での評価がべらぼうに高い。しかし、本人のいないところで勝手に日本代表になっているとすれば困ったもんだ。誇らしいのは宮崎駿本人であり、スタジオジブリである。作品を観た人、同じ国に住む日本人の所有物ではない。
 スポーツなど国を代表する競技で、選手が活躍すると「国のためにやってくれた」的な見方をされる時の妙な連帯感。同じ学校、同じ出身、同じ国で盛り上がり群れたがるあの感覚。それで同じ嗜好、または単に「自分がものすごく好きだ」と言うだけで個人の所有になっている感覚がどうしようもなく嫌い。

 大きな腕にぶら下がるのは御免だ。いつだって自分が好きだから好き、それでいいじゃないか。

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2002年07月25日(木) 27歳、海へ

 昨日はリハ。いよいよライブも間近になってきて大詰め。コーラス含め、歌はもっと練習しないとな。
 終わってから家でくつろぐ中、矢ちゃんは2時間ずっと田中邦衛の真似しっぱなし。先週やっていた『北の国から’84夏』の悪影響。ワンシーン1人3役こなすものの何故か最後には皆邦衛口調になってしまう。しかし1回観ただけで、よく特徴を捉えているもんだと関心。笑い過ぎでほっぺたの下の辺りが痛い。
 買い物でスーパーに行く途中、にゃんこ発見。しかし矢ちゃんにはあっさり懐くものの、僕は逃げられる…。猫にも恐さは伝わるのだろうか?仲良くなるやり方を教えてもらい、帰り道には撫でることが出来た。それにしても人懐こかったな。
 夕飯にトマトと蒸し鶏のパスタと豆腐サラダをご馳走になる。旨かったぁ。いつも通り食べ終わると「ふぇ〜」と満腹のため息。暑い台所の中ご苦労さま。1日で24人くらいの林矢子を見た気がする。

 今日は帰り際、ドコモの携帯のパンフをもらう。もういい加減買い替えようかなぁと半年くらい思っている。それにしてもドコモは高すぎ!新機種だと他メーカーの倍はするんでねぇの?しかしその中で、カメラ付きが意外に安いのを知る。Jフォンだとかなり売れているらしいのだけど、人気ないのかなぁ。どなたか使ってます?

 その足で祖母の家へ。先日亡くなったおじさんの話を色々と聞く。おじさんの家は海が近いので、小さい頃は毎年夏休みになるとそこから海へ行ってた。その街に近づくにつれ、次第に汐の匂いがしてくる。海といえばすぐにその光景が浮かんだ。浜辺だけでなく穴場の磯にも連れて行ってもらい、海とはもっとゴツゴツとした生き物だということを教わる。ここ何年かはまともに逢っていない。一昨年、ふらっと逢いに行ったがまだ仕事から帰って来てなかった。終電まで待ったが、結局逢えずに帰った。
 色々世話になったのに何も出来なかった。煙草の灰が落ちるようにそのまま逝ってしまった。これから誰を頼りに海へ行けばいい。

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2002年07月23日(火) もう1本いっとく?

 四六時中テレビを観ている。

 『ベルばら』(TVK再放送)完結。白い鳩を見ている間に銃殺されてしまうオスカル。アンドレに先立たれたとは言え、戦場でのオスカルは果たしてそんなに間抜けか!?鳩を見るにしても、もっと間の取り方を工夫して欲しかった。
がっくし度★★★

 夕べ『私立探偵濱マイク』(日本テレビ)を懲りずにまた観た。いつも通り映像はきれいなんだけど、それを音楽が裏切った。雨戸の隙間からひとひらと入って来る花びら。雨戸を開けると、満開の桜が!…のシーンでいきなり「春よ〜遠き春よぉ〜♪」とユーミンが掛かる。それまでのエゴ・ラッピンの音楽は何処行った!?ベタ以前にひねりも何も無い演出に父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ…。がっくし度★★★★

 再放送の『タッチ』は性懲りもなく観てしまう。休みの日など、朝起きてテレビをつけるとやっていてそのまま小1時間を過ごす。ああ、時間が勿体無い。もう何回も観ているし、先がどうなるかなんて分かり切っているのに…。この麻薬のような悪循環は何だ!?これは夕方からの『ルパン三世』にも同じ事が言えよう。ダメ人間度★★★★★

 亡くなった妹・京子を語る姉・戸川純の憔悴し切った顔が、観ていてとても居た堪れない。倍くらいの歳にさえ見える。

 テレビの観すぎの所為か、クーラーの所為か体がだるくて仕方がない。暑さにもへこたれず、夏好きなのに困ったもんだ。アスパラドリンクはないが、チオビタが何故か冷蔵庫にある。これで疲れ取れるのかなぁ…。1本いっとく?

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2002年07月21日(日) ほんとにおめぇは汚いやつだな

 昨日の昼間観た『北の国から’84夏』で正吉が純に言った言葉が、自分に言われたようで引っ掛かる。

 『カウボーイ・ビバップ』(サンライズ/1998年)をレンタルで借りて観ている。今更なのだけど、良いものは何時観ても良い。これは当時テレビ東京でやってた(今もやってる?)アニメが「テレビがビカビカに光って子供が参っちゃった事件」で打ち切りになり、その後を任された番組である。急遽用意された割りには、というか普通に観て面白い。きっと別枠で放送予定だったのだろう。

 舞台は21世紀後半の宇宙。指名手配された犯人は賞金首となり、日毎テレビで放映される。それを狙う賞金稼ぎの2人組スパイクとジェット。ただ、それだけを当てに宇宙を彷徨う。殆どが1話完結ものの話だが、少しずつ明らかになってゆく登場人物の過去を知るのも面白い。時代が移り変わっても、何処へいっても結局は人間関係の恨みと辛み。ただ厚情が絡むから一筋縄には行かない。静かに物語が進む中、バックで流れる音楽もいい。以前バンドのメンバーがこれにはまっていて、その時は何のこっちゃ解らなかったけど、今は頷ける。
 今、ちょうど真ん中辺り。どうやって大団円に持っていくのか楽しみ。エヴァみたいに途中で放り投げて、あとは劇場版で…は無しだぜっ!確かに声優さんは被っているけれど。

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2002年07月19日(金) でっかいブルドーザー

 でっかいブルドーザーに追われている夢を見た。逃げども逃げども、水の中を走るようでスピードがでない。操縦者は友人S。奴は何かを仕出かして、警察に包囲されての反撃行動。舞台が中学生当時、一緒に帰っていた道だから笑える。あ〜でも本当に怖かった。これはどう言う夢判断?そしてSよ、元気でいるか?お金はあるか?友達出来たか?(さだ風)

 Yから「今、柏に向かっている途中」と電話。近々転職をするそうなのだが、これに親が猛反対!それを説得しに行くと言う。確かに今の職種は真っ当だし、おいしい転職話でもない。親の気持ちもわからないではないが、子供なんていつもそんなもんだろう。しかし8/3の夕方から面接があるのはいただけない。

 Kから1年ぶりに電話。高校の友達なのだが、去年のフジロックで偶然逢い、今年はどうする?とのこと。僕は28(日)の最終日に観に行くのだけど、これまたタイムスケジュールが難しい。今年はなんとメインステージの朝1発目、11:00からゆらゆら帝国なのだ〜!!例えるなら朝食から500gステーキ。肉好きには嬉しい…ぢゃなくて正直つらいかも。Polarisも観たいが、重なるので全部観るのは無理。そして午後からは四人囃子、元ちとせ、SUPERCAR、曽我部恵一と観たいが、これも調整が上手く行くか難しい。何かを捨てないと、何かを手に入れられないのだ。まるで人生みたい。その後はJane’sAddiction、CORNELIUS、レッチリを観る予定。しかし殆ど日本人。でも家のCD棚もそうだものなぁ。どなたか行きますか〜?

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2002年07月18日(木) 蒼空を翔けたいんです

 仕事のお使いの途中、ふと口から出た『風をあつめて/はっぴいえんど』。陽炎の中、朦朧としながらでもこんな唄が出てくるくらい、僕は夏好き。この唄が入っているアルバム『風街ろまん』は夏を連想させる。反対に『ゆでめん』は冬。反対に暑さに弱い祖母に電話。暑さには参っていたが、元気で良かった。でも僕も今はさすがにクーラーの元、これを書いてます。

 『上下運動とその迷宮の入り組みの深さ』の試聴がおかしくなっていて、冒頭のセリフ、イントロだけでループになってしまっていた…。何時からだ!?こんな状態でメン募で聴いてくれた人はどう思ったことだろう?笑ってる場合ではなく早く直さなきゃ。

 夕飯は余っていたミートソースに牛肉、野菜などを入れて煮込む。旨し。しかしミートソースはかなり高カロリーだから、気をつけようとテレビでやっていたのを食べた後に思い出した。知らなかったことにしようっと。

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2002年07月17日(水) 暗い日曜日

 午前中はリハ。午後から日比谷シネ・シャンテで『暗い日曜日』(監督ロルフ・シューベル、1999年ドイツ、ハンガリー合作)を観る。水曜は女性は\1000のサービスデイなので、チケット売り場には女性(主に40〜50代)でごった返している。それもそのはず、この映画はおばさま方が好むようなメロドラマが展開されると、予告編を観た矢ちゃんから聞いていた。しかし、そのおばさま方の期待も悉く裏切られてゆくのであった…。
 
 物語の舞台はは1930年代のハンガリーのブダペスト。ラズロ・サボーの経営するレストランに雇われた無名のピアニスト、アンドラーシュ・アラディ。レストランには看板娘でもあり、ラズロの恋人でもあるイロナ・バナルティが働いていて、次第にアラディもイロナに惹かれてゆく。アラディはイロナの誕生日プレゼントに曲を贈る。それがこの『暗い日曜日』。この曲はレストランでも大評判になり、レコード化され、世界中でヒットしていく。しかし、不幸な事にこの曲を聴きながら自殺するものが後を絶たない。まるで、この物悲しい旋律で自分の死を演出するかのように…。

 この男2人女1人の3角関係がこの物語の主題であることは確かだが、それだけに留まらない展開を見せてくれた。レストランの常連の1人、ドイツ人のハンス・ヴィーク。普段はまともにイロナと話ができないほど、彼女に恋心を抱いている。仕事でブダペストを去る時に勇気を振り絞り、イロナに求婚したが軽くあしらわれる。しばらくしてレストランに戻ってきた時、ハンスはドイツ軍の隊長となって帰ってきた。(しかも、こいつが以前僕の職場一緒だった人に似ていて、その人を僕はかなり嫌っていたので憎さ倍増であった)
 そして時代は戦争に突入して行き、ユダヤ人迫害の話が絡んでくる。ドイツ人のハンス、ユダヤ人のラズロ、アラディ、その2人を見守るイロナ。次第に話は戦争色が濃くなってくる。

 思っていたのとは違う意外な内容だけでなく、観ていて飽きが来なかった。リハの為、朝が早かったので途中で眠っちゃうかなぁ〜と思っていたけど、まったく眠気がしなかった。人間の表と裏の描き方がとても上手く、そして解りやすいように表現されている。登場人物を闇雲に広げず、レストランの客など身近な人できちんと構成されているのもいい。権力を握った男の典型的なタイプに見事なまでに変貌を遂げていたハンスもベタだけど、人間ってそんなもんだろうなとも思う。特に男としての行動も「なんだ、結局おまえのしたいことはそれか!?」と。

 この『暗い日曜日』を今までちゃんと聴いたことがなかった。この映画で改めて聴いてみて、日本人が好むメロディーだなぁと思った。この曲を作曲したセレシュは楽譜が読めず、演奏も右手の指2本しか使わなかったという。なんだか妙に親近感が沸く。僕も楽譜が読めず、ベースを弾く時は殆ど指1本だけなのだ!…全然、演奏力が違うのだろうけど。
 TV番の『リング/らせん』で松崎ナオの唄が呪いの唄として使われていたが、まぁそれの元祖って訳だわな。僕も人を心の底から動かせる曲を作ってみたいけど、『暗い日曜日』だって作曲者が望んでこうなった訳じゃないし。曲や唄は出来た途端、作曲者の元を離れる。言うことを聞かない子供のように、親の思惑通りには行く事はない。誰が作ったか、歌っていたか解らなくなるくらいに先に唄だけが残るのはとても素敵なことだ。

 早速、矢ちゃんがケータイの着メロで使ってました、この曲。僕の着信音として…。死なないでね(笑)。

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2002年07月15日(月) 『私立探偵濱マイク』を観て

 『私立探偵濱マイク』を毎週観ている。結構テレビは観ているものの、ここ何年かは連ドラを全く観なくなった。だけど『濱〜』の番宣で観たシーンはそそられるものがあり、はじまる前から期待していた。音楽がエゴ・ラッピンと言うのにも惹かれた。
 今日で3回目の放送。正直、期待が大きすぎたのか面白くない。やたらと名の売れているキャストを使うと、却って観ていて画面がうるさくなる場合がある。これは岩井俊二の映画にも同じ事を感じた。何でもない脇役を使えばすうっとハマるシーンでも、その人のイメージが強すぎて役名でなく「〜が出てきた」と言う意識が先に出てきてしまう。これはもちろん観る側の僕の集中力のなさにも問題はあるのだけれど。

 この永瀬正敏の役にも全く魅力を感じない。それほど熱くもなく、それほどクールでもなく、それほど女ったらしでもないから、それほどカッコ良くも見えないのである。比べても仕様がないが、同じ日本テレビで探偵物の『探偵物語』(主演:松田優作)と比べてしまうと、あきらかにそれぞれ個性がなさ過ぎる。『探偵〜』の松田はあくまでも軽いノリで最終回直前まで通すが、最終回では今までとは打って変わって鬼のような形相で殺された仲間の敵討ちに出る。誰もが真似したくなるような仕草、ファッション、セリフが『探偵〜』にはあったが『濱〜』にはそれがない。僕が中学生でも次の日の朝、クラスで友達と挨拶代わりに話すようなそんなドラマにはならないだろう。
 永瀬が嫌いな訳ではない。まだ名前が売れる以前『ママはアイドル』(TBS出演:三田村邦彦、中山美穂、後藤久美子ほか)に出ていた。内容かはすっかり忘れてしまったが、最終回で永瀬が中山を怒鳴りつけるシーンがあり、それには魅せつけられた憶えがあるから。
 色々書いたが、それでも来週もきっと『濱〜』を観るだろう。何かを期待して。惰性か!?

 人と深く関わらないでいると、割りと物事が上手く運ぶ。「その人のことを思って」と色々言っていた僕は余計なお節介だったのだろうか。

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2002年07月14日(日) くたくた

 今日は秘密結社『かなりや軍団』でへなへなサッカーをやり、カラオケで『プカプカ』を歌い、その後は呑みまくりでくたくた。それにしても体力なくなったなぁ、僕…。明日ではなく、明後日あたり筋肉痛だろう。

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2002年07月12日(金) ユメノ銀河

 千葉テレビでやっていた『ユメノ銀河』(1997年:石井聡互監督)を観る。主演は小嶺麗奈、浅野忠信(共に3B金八卒業生)。原作は夢野久作の『少女地獄』。当時、女性の職業の憧れだったバスの車掌を務めるトミ子(小嶺)は、新しく配属されてきた運転手、新高(浅野)と組む。しかし、これまで新高と組んだ女車掌は次々と事故死していたのであった…というストーリー。
 前編モノクロ。セリフも少な目で殆ど無音。それが小気味良い緊張感を与え、どんどん惹きこまれて行った。テレビの音量を大きくしていたので急に「住み慣れた我が家にぃ〜♪」(新日本ハウス)などとCMに入ると驚いてしまったけど。カメラワークも結構僕のツボに入るシーンが多かった。原作を読んだことがないため、どのくらい再現しているか、またはそれ以上のものになっているかなど分からないけど、単純に映画として面白かった。
 それとは別に同じ時間帯にやっていた『スターウォーズ エピソード1』を観る気にはならなかった。ちゃんと観たことないんだよね、このシリーズ。誰か面白さを教えてくれっ!

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2002年07月11日(木) イキテクチカラ?

 夕べはトーキョーミュージックサロンvol.13@スターパインズカフェ(出演:友部正人、斉藤和義、リクオ)。これがすっごく良かった!またライブレポとして書こうと思ったけど、今日は書く気力が全くないのです…。
 「僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ、パトラッシュ…」とフランダースの犬のネロのような気分なのだが、死にたいわけでも死んで逝くわけでもない。寧ろ、ライブを観て生きてゆく力をもらったはずなんだけど、またそれさえも萎えさせるようなことがありました。なのでレポは勝手に唄箱日記に託します。まだ書いてないけど、僕のよりか素晴らしいのは確かです(笑)。頼んだぜ、矢ちゃん!僕もその内書きます。おやすみ、色んな人へ。

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2002年07月09日(火) 読みかけの本

読みかけの本も読まずに
暮らした一週間が
今では遠い記憶の夏休み

いつもとは違う天井の模様が
気にならないほどはしゃいでた

僕を握ったまま君は寝てしまった
僕は今でも動けない
ただ動けなくしたいのか
僕を引き留めたいのか
気持ち良さそうに君は寝ている

書きかけの詞を紡ぎに
欠片を持ってきたけど
持ってきたことすら忘れてた

他愛もない喧嘩で口をとがらせた君は
まるで蓋をなくした急須みたい

僕を握ったまま君は起き出した
それでも僕は動けない
足がしびれたのか
君にしびれたのか
聴くだけ野暮な夏の午後でした

2002/7/7 22:23

 友達に子供が生まれた。周りに結婚した友達は何人か居たけど、子供が生まれたのはじめて。とにかくおめでとう。男の子だそうだけど、どっち似かな。落ちついたら逢いに行くよ。

 最近自分が何かと怒りっぽい気がする。原因はなんとくわかっているのだけど、放り投げてしまった。これ以上話しても無駄だと。ただ、それが他のことや人にも飛び火して厭な気持ちにさせてしまうのはいけないことだから、気をつけなきゃな。

 あしたはリハ後、トーキョウミュージックサロン@吉祥寺スターパインズカフェ。今日まであんなに晴れてたのに…颱風のいぢわる。

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2002年07月08日(月) ALL NUDE

 トップにも書いたけど、次回ライブが決定!『夏宵花』(なつよいはな)8月3日(土)以前と同じ宇多川カフェです。詳しくはこちらをご覧下さい。ご予約お待ちしています。
 『茜レコード』『エイジーワールド』更新しました。しかし、6月は本当ライブ三昧の月だったなぁ。ベストアクトは小島麻由美、もしくはHAPPYEND PARADEの前半。今月は3本ほど観に行く予定。

 帰り道、一昨日は手を出しても一切微動だしなかった老犬が、今日は面倒ながらも近寄ってきてくれた。犬だって流石に今日の暑さには参っただろう。僕もだるくて帰っても何もやる気が出ない。近寄っても吠えない番犬には不向きの犬が好き。「ローケンローケン♪」とシャーペンの唄が頭の中を廻る。

 すぎむらしんいち『ALL NUDE』講談社を古本屋で購入。古本屋のオヤジはどこも判で押したように無愛想。読み切りなどを集めた短篇集。どの話にも全裸の女性が出てくるので『ALL NUDE』だそうだ。今月号のユリイカ『高野文子×大友克洋対談』でも話に上ってたが、すぎむらしんいちにはどうしても構ってあげたくなるようなダメ人間さが漂う。作品に出てくる男の子にもそれはもちろん表れている。チビで、どこか頼り甲斐がなく、妄想が激しい男の子が多い。しかしそれもクラスの男子には必ずひとり居たような、どこかノスタルジックな印象を受ける。
 カメラを向けられても愛想ひとつしない女の子が、父親のカメラを持ち出し街へ繰り出しシャッターを切ってゆく話「少女カメラ」がお気に入り。これは唯一ヌードの出てこない話。

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2002年07月06日(土) みつごのたましい

 僕の最初の思い出は、幼稚園の時のはじめての喧嘩。相手は親友のTくん。春休みの午前中、僕の家で話し合っていて喧嘩になった。原因は外で遊ぶのか、家の中で遊ぶかを決めることだった。Tくんは外で遊ぶのが好きで、僕は家の中で遊ぶのが好きだったから。散々言い合いをして「もういい」とTくんは縁側の出口から帰ろうとした。だけどTくんの靴は玄関にあった。僕はそれに気が付き、すぐに鍵を閉めた。外に出てから靴がないことに気が付いたTくんは「開けろよ、開けろよ!」と怒鳴りながら窓を叩きはじめた。もちろん僕は開けなかった。そしてTくんは何度も窓を叩きつづけ、とうとう肘で窓を割ってしまった。それからふたり泣きながら言い合った。買い物から帰ってきた母は驚いて仲裁に入った。僕は靴を返してあげた。
 午後には何事もなかったように仲直りして遊んだ。あんなに大喧嘩したのに不思議だ。これからも色々思い出を作り、立派な大人になりたい。

…と、これが小学校卒業の時に書いた作文。今日妹にファックスで送ってもらった(ありがと!)。余りにも分かりにくいので、多少付け加えたが殆ど原文を載せた。これからでも分かるように、僕はこの頃からいぢわるだったのだ!みつごのたましいどこまでも。だから、いぢわるしても許してね…なんて甘える初夏の宵でした。

 昨日、亡くなったパンチョ伊東のことを書こうと思ったけど、それほど思い入れもないことに気が付きました。思い出せるは急にフサフサになった髪の毛のことだけなので寝てしまいました。そんな僕と同じような想いをした方に捧げる『あなたのパンチョ伊東度診断』。でも、判定結果がエラーしか出ないのは何故?

 さて、明日は七夕。短冊には何を願おうか。

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2002年07月04日(木) 自己啓発日記

 「あなたっていぢわるね」と言われた。自分でもたまに本気で思う。
 昨日もそう思った。

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2002年07月03日(水) ここ2ヶ月くらいで聴いた音楽

■HAPPY END PARADE…はっぴいえんどカヴァー集。人選は良かったんだけど、想像の域を出るのは少ない。『氷雨月のスケッチ/グレイト3』、『抱きしめたい/オリジナル・ラヴ』がお気に入り。
■ヤポネシアン・ボールズ・ファウンデーション『azadi!?』…SFU中川とHW山口の新バンド。思っていたよりはいいけど、それ以上がない。最近、僕の中での中川敬度合いがどんどん薄れてきている。今日のライブはどうだったんだか…。
■元ちとせ『君ヲ想フ』…ハシケン作曲。前作『ワダツミの木』よりも元ちとせ本人に近い気がする。聴けば聴くほど染みてくる。
■スーパー・バタードッグ『ラ』…色んなアーティストのライブ盤を聴いたけれど、これ程臨場感が再現し切れていないのも珍しい。いや、ライブがよすぎるだけなのかも…。
■イースタンユース『8TEETH TO EAT YOU』…cursiveとのコンピレーション。Cursiveはいきなり聴こえたバイオリンには度肝を抜かれたが、歌が始まると普通になってしまう。イースタンはは珍しくディレイなど使っている。今はツアー中だがcursiveの誰かが急病のため、イースタンのみでツアー敢行。
■ナンバーガール『NUM−HEAVYMETALLIC』…相変わらず何を歌っているか分からないのが嫌。曲はぐっと来る部分あり。
■エゴラッピン『SWING FOR JOY、他』…『色彩のブルース』以前の作品。こないだのライブでどうも煮え切れなかっただけに、比べてしまう。CDはどれもいいんだけどね。濱マイクの新曲も○。
■はっぴいえんどかばぁぼっくす…はっぴいえんど全アルバムカヴァー集。『PARADE』に比べて全体の浮き沈みが激しいので好き嫌いが分かれる。『風来坊/田中亜矢+宮崎貴士+清水恒輔』『かくれんぼ/teapots』がお気に入り。
■俺たちの旅TVサウンドトラック…主題歌がないサントラってありか!?買わなくて良かった…(矢ちゃん御免!)。
■Polaris『Polaris』…2ndも後で聴いたけど、断然こっちの方が良い。歌は少な目の方が好き。フィッシュマンズと比べざるを得ないのは宿命か。クリムゾンのカヴァー『I talk to the wind』も収録。
■元ちとせ『Hajime chitose』…カヴァー集。『Bithday/sugarcubes』でビョークばりのコブシを効かしたのには驚き。でも似合わない。『冬のサナトリウム』がお気に入り。
■BUTER 08『BUTER』…チボマットとジョンスペの合体バンド。何時の間に?って思ってら1996年だと。「マザーファッカー」としか言ってないような気が…。
■スーパー・バタードッグ『風土』…カップリングの『あけおめ』は歌とドラムだけの新しいファンク。相変わらず歌詞はバカだけど、カッコイイ。そもそもファンクってそんなイメージがするのは僕だけ!?
■塚本晃『HOME』…『67』の先行おまけ。こんないい唄が次のアルバムに入らないなんて…。気付くと頭の中をぐるぐると廻っている。
■ザ・ハイロウズ『flip flop』…シングルヴァージョンを含めたベスト。ブルーハーツよりも音的にはこっちの方が好き。ヒデキのカヴァー『情熱の嵐』には笑えた。もちろん掛け声は「ヒロト〜」。
■東京スカパラダイスオーケストラ『Stompin’ On DOWN BEAT ALLEY』…唄物3部作の総集編。でもそれ以外はいつもと変わらないような気がする。ヘッドフォンよりライブで聴きたいな。

 文句ばっかりのような気がするが、実際そうなんだもん。もっと嫉妬させてくれっ!

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2002年07月02日(火) 見るまえに跳べ

 この日記を始めて1年が経った。長続きしているのせいぜい音楽くらいで、他に興味を持たない僕がよく続いたものだ。高校生の時に詞を書いていたノートにも日記を書いていたのだけど、どれも3日くらいで終わっている…。3日坊主とはよく言ったものだ。こう続けられたのも、偏に読んでくれる人が居るからです。本当にありがとう。反応があるってやっぱり嬉しい。
 思い返せば、この日記を始める時もなかなか実行に移さず、ウダウダと構想ばかり練っていた。それで「見るまえに跳ぶんだよっ!」と矢ちゃんに尻叩かれながら、なんとか決心した。かなり石橋を叩いてから渡る性格なので、下準備がきちんと整ってないからだと嫌だった。でも、いざ始めているとずぼらでも案外平気(笑)。日記からHP作りへ。詞や曲を載せているものの最近、自分の音楽活動の方がお座なりになっている。それもぼちぼちやって行きます。

 僕は見るまえに跳べない。見て見て見て見てから跳ぶ。結局は跳んだのだ。でも、その遅れた分だけ待たせた。待ちぼうけをくらった君は首を縦には振らない。それもこれも全部自分が悪いと責めても責め切れない。あの時僕は何を躊躇していたのだろう。

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臨月 エイジ |お便り気付かない細道へ向かえ旧ぐっどないみゅうじっく

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