[ 天河砂粒-Diary? ]

2005年03月27日(日) 【春色は、青だと四月の風は言う】 第1話

せっかくだからエンピツ日記で不定期連載をしよう!
ということで、これは「青春してない学園コメディ12のお題」利用作品です。
全12話予定で、最低でも月1ペースで更新できたらいいなぁと思っております。……希望です。書き上がったときが、アップするとき。ということで、完全不定期連載です。よろしくお願い致します。
尚、一応、プロローグらしきものと、まとめページ(?)はございますので、そちらもあわせて目を通していただければ幸いです。




第1話 菜月の日記01

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 4月7日(木)
 入学式に遅刻したら、誰もいないはずの教室になんか不思議な人たちが残ってた……。
――――――――――――――――――――――――――――−・

 そもそもうちは両親共働きだから、子供である私よりも、両親の方が家を出る時間が早い。したがって、朝、母親に起こされる。なんてことはありえない。中学に入学したころから既にもうそんな感じだったから、はっきり言って寝坊なんてありえないし、朝食のおかずも自分で作る。まあ、作ると言っても、焼いたり温めたりするだけだけど……。ちなみに、お味噌汁とご飯は、母が寝る前に用意しておいてくれる。
 入学式である今日も多分に漏れず、それどころかいつもよりも早めに起きて、お味噌汁を温めて、鯵の干物を焼いて、昨晩レンタルしてきたばかりの、お気に入り映画のサントラCDを聴きながら、朝ご飯を食べていた。
 朝の1分は夜の1時間。というくらい、朝の時間は貴重かつ重要なので、私が厚い信頼を寄せているダイニングの壁掛け時計で、常に時間を気にしながら毎日朝食を取っている。
 よく、テレビの番組進行を耳と目で確認しながら時間をはかるって話を聞くけど、私は朝は好きな音楽を聴いていたいから、テレビはつけないことにしているし、時計はやっぱり、長針と短針と秒針がそろってこそ時計だと思う。……単にデジタル表示だと、○○時まで残り何分という、残り時間の計算ができないだけなんだけど。
 いつも通り、6時45分にキッチンに入って、7時くらいからご飯を食べ始めて、鯵の干物の、骨周りの身を歯で削るように食べながら(母が見たら眉をひそめるに違いない)、なんだか今日はゆったりだなぁ、高校生になったからかな? なんて思って、7時10分頃には冷蔵庫に入っていたリンゴを剥いて、ヨーグルトとブルーベリージャム(ジャムと言っても、冷凍ブルーベリーを軽く砂糖で煮ただけのものだから、ほとんどシロップに近い)をかけて、デザートまで食べてしまった。
「あー、なんかまったり幸せ……」
 一人でそう呟いて、キッチンの時計を見上げる。
 ……7時11分だった。
 ……。すごく、嫌な感じがした。
 目を凝らして、じっと時計をみる。
 秒針が、1秒ごとに、進んで、進んで、進んで、戻って、足踏み、足踏み、足踏み、進んで……。って、おいおい。
 慌てて自分の部屋に戻って時計をみたら、軽く7時半を過ぎていた。
 電車通学なのに!
 大急ぎで準備をして、歯磨きも3倍速でして、朝食の後かたづけもそこそこに、駅まで走って電車に飛び乗……れたら良かったんだけど、電車来ないし。時刻表見たら、次の電車は12分後だし。入学式初日から遅刻してどうすんのよ、時計の馬鹿馬鹿馬鹿、私の信頼を裏切って! とか、しばらくの間、心の中であらん限りの悪態を付きながら、落ち尽きなくホームをうろうろしていたんだけど、時間にならなくちゃ電車は来ないし、ここで動き回ったところで、学校には着かないし。そのうちどうでも良くなってきて、ホームでぼんやり、張り巡らされているフェンスの外を眺めることにした。
 ホームの脇に立っている桜はちょうど満開で、淡い淡いピンク色の花を、たわわに咲かせていた。「たわわ」っていう言い方はおかしいんだけど。あれだけボリュームがある花の群れをみていたら、やっぱり「たわわ」に咲いている。って感じがする。
 時折、穏やかに吹く風に煽られて、ゆらゆら揺れる桜色を見つめながら、なんで青春は青い春って言うんだろう。こんなにも桃色なのに。とか、なんだか自分でもよくわからないことを思いながら、長閑な音を立てながら入ってきた電車に乗り込んだ。
 ラッシュ後の(つまり、間違いなく遅刻の)電車の中は、がらんとしている。
 ほとんど貸し切り状態の電車の中、流れる景色を眺めながら学校へ向かううちに、すっかり急ぐ気も失せていた。どうせ着いた頃には入学式も始まっているだろうし。新入生勢揃いの体育館に、遅れて入っていくような、この上なく目立つこともしたくないし。
 電車を降りて、駅員さんの「おや?」という感じの顔に、無意味に笑顔を返しながら(ああもう、恥ずかしいなぁ)、てくてく歩いて学校へ向かう。誰もいない緩やかな坂道。柔らかく吹く風。閉まっている正門の、その隣の通用口から中に入って、周りを気にしながら昇降口へ向かう。体育館から、かすかに校歌らしき音楽が風に乗って届く。本来ならば、体育館の中で聴いているはずの曲だ。少しだけ、その旋律に耳を傾けてから、入り口に張り出されているクラス表で自分のクラスを確認して、適当に靴を靴箱に入れて、自分の教室へと向かった。
 ひんやりと冷たい、それでいて窓から春の光射し込む廊下は、わけもなく輝いて見える。
 「1−8、1−8」と、小さく口の中で呟きながら、教室毎にかけられているプレートをひとつひとつ確認していく。(遅刻した上にクラスを間違えていた、なんて、そんな恥ずかしいことしたくないし)
 目指すクラスプレートを発見して、「1−8!」しっかりと指さし確認までしてから、磨りガラスのはまっている引き戸をそーっと開いて中を盗み見る。
 誰もいないと思ったからこそ、のぞき見るような真似をしたんだけど。
 ……なぜか、教室の中に居た人々が、そろってこちらを見ていた。
 扉越しに、顔だけ出した状態で、一時停止。
 春の日射し照らす窓をバックに、人影がみっつ。
 光に透ける金髪、耳にはブルーのピアスが光る男の子。何故か髪の毛は濡れているらしく、時折雫が肩に垂れている。
 茶色のくせっ毛に、真面目そうな眼鏡をかけた男の子。ブレザーのぼたんがひとつ、引きちぎられたみたいになっているのがすごく気になる。
 肩で切りそろえられた艶やかな黒髪に、整ったきれいな顔立ちの女の子。しかも膝には、食パン一斤が大切そうに抱えられていたりする。
 それぞれが、向かい合うようにして机や椅子に腰掛けている状態のまま、顔だけをこちらに向けて、じっとこっちを見ている。
 ええと、ど、どうしよう……。
 固まったままの私に、それぞれが口を開いた。
「遅刻仲間4人目」
「勝手に仲間にすんなよ」
「……パン、食べる?」
 眼鏡、金髪、食パン少女の順に、喋ったと思う。
「つーか、そんな妙な格好で固まってないで、さっさと入れば?」
 つっけんどんな感じの口調で、金髪の男の子に言われて、条件反射のように教室に滑り込んだ。後ろ手に、静かに扉を閉める。
「君も8組?」
「わざわざ聞くことかよ」
「なんだよ、何事にもとっかかりってものが必要だろ?」
「あーそー」
「態度悪いなぁ! いい加減に機嫌なおせよ」
「んだとぉ? 誰のせいだと思ってんだ! きさまの制服で髪の毛拭いてやろうか? ああ?」
「だから、不慮の事故だって言ってるじゃないか!」
「一人で一斤は、多すぎると思うの。あなたも食べない?」
 てんでバラバラに紡がれる言葉達を、呆然と見つめながら。
 いったいどういうメンツなんだろう。とか、どういう理由で遅刻したんだろうとか、それにしても濃いクラスメートだなぁとか。そんなことを思いながら。
 ひとまず、他のクラスメイトからしてみれば、私も「遅刻4人組」としてこの個性的なメンツに仲間入りなんだろうなぁ。と、こっそりため息をついた。

→ 02.食パンをくわえた女子高生とぶつかって――さあ、何が始まる!? へ続く。



2005年03月26日(土) お題バトル作品『パパはラフレシア』

「パパな、実はラフレシアなんだ」
 僕がパパからそんな衝撃の告白を受けたのは、つい数時間前。
 あまりの事に、小学6年生という年のわりには冷静であると自負している僕も、さすがに動揺が隠せなくて、彼女であるまなかちゃんとのチャットデートで、不幸にも彼女のご機嫌を損ねるなんて失態もしでかしてしまった。……すぐに電話してフォローはしたけど。ちゃっかりもののまなかちゃんに、みその屋のソフトクリームをご馳走する約束を取り付けられてしまった。僕の今月のお小遣い、既に財政難の予感。
 まあいい。そんなことはいい! お小遣いなんて、どうとでもなるし、まなかちゃんとの関係は、愛でなんとかなる!
 問題は、パパだ。……ラフレシアだという。正確には「ラフレシアの精」なんだそうだ。詳しくは聞けなかったけど。いや、聞いたけど、右耳から左耳に滑っていって、頭に入らなかったんだけど。(だって、ラフレシアって!!)
 家の裏にある、小さな古ぼけた温室の中に、パパの本体であるところのラフレシアがあるのだという。
 虎穴に入らずんば、虎児を得ず。……僕はずっと「孤児」だと思ってたんだけど、そんな過去の恥は、今はどうでも良い。
 冷ややかな月明かりに浮かび上がる、すっかり雨風で濁ってしまったビニールハウス。おかげでさっぱり中の様子がわからないその大きな(パパは「小さなビニールハウス」って言うけど、僕から言わせて貰えば十分に大きい)ボロハウスの前で、懐中電灯片手に大きく深呼吸をする。
 確かめなければならない。パパの言葉の真意を。
 僕は今回のパパの発言で、すっごーーく、パパとの間に心の距離を感じてしまったのだ。
 これはゆゆしき問題だ。現実との乖離さえも感じてしまった。
 パパが、ラフレシアでも、別に、僕は構わない気がするんだけど。(だって、今のパパはどうみても人間だし。……あ、でも、ラフレシアの精って、戸籍とかどうなってるんだろう。僕、実は戸籍上は私生児だったりするんだろうか。だとしたら、ちょっと状況は変わるかも……。っていうか、この年でいじめられたりはしないだろうけど。ああ、複雑)
 でも、パパの言葉が信じられないということほど、僕にとって悲しいことはない。
 まずは、温室の中に、本当にあの熱帯植物であるラフレシアがあるのかどうか、それを確かめなければ。パパがラフレシアなのかどうかというのは、その後の話だ。
 ぐるりと温室の周りを回って、やっと入り口を見つける。鍵は簡単に手で開くタイプのものだったけど、錆びていてちょっと固い。指先に、錆のザラザラがあたって気持ち悪かったけど、根性入れてがんばって開けた。
 中は、冷たい月夜の下からは想像できないほど、湿度が高くて暑かった。熱帯ジャングルには行ったことがないからわからないけれど、亜熱帯をモチーフにした水族館くらいには、蒸し暑い気がする。
 曇ったビニール越しに、月明かりが薄く中を照らしている。目を凝らせば見えるのかも知れないけど、ちょっと怖いから、懐中電灯で周囲を照らす。……ヘビとか居ませんように。心からそう願いながら、一歩一歩足を踏み入れる。
 緑生い茂る温室。まるで生きて呼吸しているかのように見える、深緑の植物たち。……あ、いや、ええと、植物だって生きてるんだけど。動物的って言うべき? 息を殺して、たたずんでいる感じがする。怖々と足を勧めると、靴の底が「ぴちゃん」と音を立てた。
「うわっ!?」
 思わず、恥ずかしいくらい素っ頓狂な声を上げて、後ろの飛びのく。
 懐中電灯で床を照らすと、透明な水が本当にうっすらと地面を這うように流れていた。
 しゃがみ込んで、恐る恐る水に手を触れる。指先に、さらさらとした水の、ほの温かい温度が伝わってくる。
 どういう仕組みになってるんだろう。太陽光だけでなく、温水を利用したタイプの温室なんだろうか。……そんな立派なものには見えなかったけど。
 ひとまず、水がぬるぬるどろどろしたものでは無かったことに安心して、靴下に染みないように、ゆっくりと、抜き足差し足、先へ進む。少し進んだところに、蔦が絡まった、背は低いけど、やけに幹の太い木が一本、どっしりとした存在感を持って立っていた。
「すごい……。こんな木が生えてるなんて」
 吸い寄せられるように近づく。その瞬間。
「あ……。うぇ……」
 漂ってきた匂いに、思わず潰れたカエルみたいな声が出た。
 すかさず片手で鼻をつまんで、懐中電灯で木の根本を照らす。
 そこには確かに、大きなヒトデかイソギンチャクを思わせる、毒々しい程に大きな花弁を持つラフレシアが、しかしどこか気品漂うたたずまいでそこに存在していた。
「うわぁ、本当にラフレシアだ……」
 鼻をつまんだままの、ちょっと間の抜けた声が温室の中にぽつりと転がる。
 パパの本体だという、ラフレシアだ。
 パパの体は、いつもほんのり日向の匂いがするのであって、決してこんな、うっかり1週間くらい回収しそびれたままの、真夏の生ゴミみたいな匂いはしないんだけど。
 ラフレシアが家の裏にある。
 ただ、その事実だけで、なんだかもう、パパの発言の三分の二くらいは信じられる気がした。
 パパは、ラフレシアの精だと言う。
 でも、パパの本体であるラフレシアが、なんだか最近調子が良くなくて、パパがパパとして存在するのが、日に日に辛くなってきているのだという。
「パパ……」
 鼻詰まりの声のまま、懐中電灯をお尻のポケットに突っこんで、ラフレシアに手を伸ばす。そっと、指先で花弁を撫でる。つるりとした感触の向こうに、パパの体温が潜んでいる気がした。
 パパの言葉が信じられないことほど、悲しいことはない。
 例え、それがあまりにも常識から逸脱したことであれ。
 だって、パパは僕に嘘をついたことなんて無いんだ。
 パパは、嘘は言わない。今までだって。そして、きっとこれからも。
 そして事実、温室にはラフレシアが咲いていた。
 つまり、僕のパパの危機は、現実だと言うことだ。
 僕は、鼻から手を離した。きつい臭いが鼻に届いたけど、このラフレシアはパパの本体だと思うと、別に、耐えられないほどではない気がしてきた。
「パパ……」
 寝室で寝ているだろうパパの姿を思いながら、ラフレシアに呼びかける。
「僕が、パパを助けるよ」
 小学6年生という年のわりには、控えめで現実的だと自負している僕の口から、驚くほどかっこつけた言葉が出た。普段の僕が聞いたら、「うわー……」と呟きながら、両腕をバリバリ掻きむしるくらいの臭いセリフだった。ラフレシアの臭いなんて、はっきりいって目じゃないくらい。
 それでも、僕はその時、心からそう思ったんだ。
 パパを助ける。ラフレシアの精であるパパが、消えてしまわないように。
 曇り硝子のような天井越しに、月明かり降り注ぐ薄暗いビニールハウスの中で、僕はひとり、大きく頷いて。
「待っててね、パパ」
 僕はパパの本体が眠る温室を後にした。

... ... ...END




テーマ:「ぬくもり」
お題:「体温」「水」「花弁」「指先」「距離」
   そのうち、「体温」「水」「花弁」「指先」使用
時間:1時間

随分前に書いた、煽りだけ書きまショー『パパはラフレシア』の続編です。
続くのかどうかはわかりません。……というか、続かないだろう(笑)
1時間制限にしては、結構量も書けたし、楽しかったように思います!
相変わらず、何も始まってないし、あらすじはどこ? って感じですが。
いいの! 時間内に書き上げることに意義があるんだから!!(笑)
1時間で原稿用紙9枚。……おお。今までで最速かもしれません。



2005年03月19日(土) お題バトル作品

【空中回廊】

 さらさらと、細やかな石のかけらが階段の踊り場を跳ねるように滑り抜けてゆく。頬を撫でゆく風は、雨の記憶を呼び覚ますような、柔らかな湿り気を帯びている。
 時に晒され風化してゆく緩やかな螺旋階段は、一段一段踏みしめるたびに、さりさりと音を立てて、風にそのかけらを舞い上がらせる。両脇に長く連なる花壇に色とりどりの花が咲く様子は、螺旋階段を流れる春色の川を思わせる。そよ風にさざめくその水面は、ドレスで着飾った妖精の群れがダンスを踊っているかのようだ。
 空中庭園へと続く、広い広い螺旋階段。遠くに見下ろす景色は、淡い霧に包まれてぼやけている。その霧の向こうに、かすかに何かが見えた気がして、少女はわずかに足を止め、しかしまた、歩き出す。
 そよ風が、彼女の髪をかき混ぜ、下界へと降りてゆく。
 風の中に、かすかに花の香りが混じっている。
 ふと足を止めて、彼女は向かう先を見上げる。巻き貝そのものの様な、アイボリーの螺旋階段。その中央に、淡い淡い空色がぽっかりと落とし穴のように開いている。
 しばらくそのまま立ち止まり、言葉もなくその青を見上げて立ちつくす。
 風の中に花の香りが増した。
 彼女は再び、足を進める。さりさりと、その昔階段の一部であったろう石のかけらが足の裏をくすぐり音を立てるのを聞きながら、ゆっくりとのぼり行く。
 進むごとに、花の香りが存在を強くしてゆく。むせかえるような甘い香りと、心涼やかになるような、スペアミントの香り。その香りから、目指す先が近いことを知る。
 自然と、彼女の歩調が早くなった。落とし穴のようだった青は、今や天井を思わせるほどの大きさになっていた。
 半ば、駈け上がるようにして、階段の終わりを目指す。
 息を切らしながら登りきると、不意に視界が開けた。
 はらはらと、白い花びらが舞う。
 地面に広がる、薄緑のベール。
 見渡す限りの、空色のパノラマ。
 細い雲が、空に絵筆を軽く滑らせたような軌跡を残している。
 その奧に、淡い緑の蔦を絡ませた城が、たたずむように建っている。
 白い壁が、蔦の隙間からのぞいている。
 乱れた息を整えるように、大きく深呼吸をして、彼女は広い空中庭園の中を、城に向かって進んでいく。
 きらきらと、露をたたえた柔らかな草の上を踏みしめると、しっとりとした感触が足の裏に心地よい。
 髪の毛を揺らす風に、心までひらひらと踊る。
 穏やかな、世界。
 複雑に絡まった蔦に覆われた城の側までたどり着くと、彼女の前で、水晶を思わせる光反射する扉が音もなくゆっくりと開いた。
 胸の高鳴りを感じる。
 吸い込まれるように、彼女が城に足を踏み入れる。
 そして、

「よくぞいらっしゃいました。そして、いってらっしゃい」
 誰のとも知れない、優しい声に送られて、彼女は今、この世界に生まれた。

... ... ...END




制限時間:90分
テーマ:花
お題:舞 妖精 香り 旬 季節 そよ風 世界にひとつだけ 言葉
(使用お題:舞 妖精 香り そよ風 言葉)

ええと。うん。お題バトルって、難しいですよね。(涙)


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