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2018年09月28日(金) ジャン=マルク・ルイサダ マスタークラス 2018 プログラム

ジャン=マルク・ルイサダ先生のマスタークラスが無事に終わりました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
当日のプログラムは下記の通りです。

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14:00〜 ショパン アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22
Chopin Andante spianato et Grande Polonaise brillante Op.22

15:10〜 ショパン マズルカ 作品17-1,2,4
Chopin Mazurka Op.17-1,2,4

16:10〜16:30 休憩 intermission

16:30〜 スクリャービン 左手のための二つの小品 作品9-1,2
Scriabin Prelude et Nocturne Op.9-1,2
スクリャービン ワルツ 作品38
Scriabin Valse Op.38

17:40〜 ショパン 舟歌 作品60
Chopin Barcarole
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ラ・パレットにルイサダ先生をお招きするのはこれで4回目となりますが、毎回、音楽への情熱と生徒さんや聴講する方たちへの愛情を感じて感動します。
今回も熱心なご指導で生徒さんたちの音楽が鮮やかに変化する瞬間が沢山ある刺激的なレッスンでした。

こういったマスタークラスには大きく分けて二つのタイプがあります。
一つはそれぞれの生徒さんがその場で対応できる事を教えてくださるケース。
もう一つは音楽がどうあるべきかを示しそのためには何をするべきかをレッスンされるケースです。
ルイサダ先生のレッスンは後者で、しかもあるべき音楽の次元が非常に高いので、レッスンを受けられた生徒さんたちは大変だったと思いますが、皆さんそれぞれにしっかり反応されていました。通訳の伊予田裕子さんの、わかりやすく的確な通訳のお力もあり、きっと聴講の皆さまには聴きごたえのある内容になったと思います。

はじめの『アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ』では、生徒さんが弾き終わった後に「素晴らしい!大変美しかった」と演奏を褒められ、それから「細かい所をもう少し考えるともっと良くなる」とおっしゃってレッスンが始まりました。
その“もう少し”というのは全ての音に細心の注意を払って一つづつ直していく大変なものでしたが、実際にルイサダ先生がその一部を弾かれると音楽の美しさがいっそう輝きを増して感動的で“もう少し”の大切さを実感させられました。これはマスタークラスならではの醍醐味ですね。

次のマズルカでは、マズルカのリズムについてのお話もありましたが、何より印象的だったのはそれぞれの曲が持つイメージについての明確な説明でした。
ある曲ではジプシーの歌、ある曲ではベルイマン監督の『叫びとささやき』(先生は大の映画好きでいらっしゃいます)などの具体的な例を挙げられて生徒さんのイマジネーションを刺激すると、生徒さんの演奏が見違えるように変わったのは嬉しい驚きでした。

スクリャービン では「スクリャービン の音楽では1000の音色が必要」と言って要求されていらっしゃいましたので、生徒さんは左手の作品でもそれに応えなくてはならずとても大変だったと思います。
ルイサダ先生が録音されたピアノソナタ第9番『黒ミサ』Op.68は極彩色の素晴らしい演奏ですが、その演奏は緻密な音色についての考えがあって作り上げられたものなのだと非常に納得しました。

最後の『舟歌』では、当時ショパンが使っていたピアノ(先生の先生であるバドゥラ・スコダ先生がショパンのピアノをお持ちで実際に弾かれたそうです)から考えるペダリングについてお話くださったのが印象的でした。
ショパンのピアノはペダルを離してもダンパーが完全に音を止めることが出来ず響きが残るそうで、ショパンが指定したペダリングの通りに踏む時にはその点に留意しなくてはならないそうです。
楽譜からでは決してわからない秘密を伺った気がします。

全てのレッスンに共通するのは『楽譜をどう読み音にするか』『音楽のイマジネーション』『それらを音にするために必要不可欠なテクニック』でした。それらをルイサダ先生ならではの素晴らしい演奏を伴ってご指導くださるのはとても感動的で貴重な時間でした。
また、テクニックについてはプログラムと一緒にお配りしたイザベル・カンピオン先生のアトリエについても講座の最初にお話くださいました。

2年続けてルイサダ先生をお招きできたのは大変に光栄なことでした。
ルイサダ先生、通訳の伊予田さま、カルラホールの阿部ご夫妻、IMCの中西さま、受付を引き受けてくださった山本さま、そしてレッスンを受けてくださった受講生の皆様と聴講くださった皆様にお礼申し上げます。

この講座のご感想などもお待ちしております♪


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