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2006年08月07日(月) 8月6日のlesson de ラ・パレット…

夏の盛りの暑さの中でも、いつものように、充実した公開レッスンとなりました。
曲目は、以下の通り。
生徒さんが成長してくるにつれて、高度で多彩な曲が中心になってきましたが、曲の難易度によって内容が変わることがないのが、北川先生のレッスンの凄いところです。

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11:00〜 ツェルニー30番より 22番
     バッハ:インヴェンション 5番 12番
     バルトーク:ミクロコスモス3巻より
     モーツァルト:ソナタK332 2楽章 3楽章

12:00〜 バッハ:シンフォニア 5番
     ベートーヴェン:ソナタ 8番

13:00〜 ショパン:バラード1番

14:00〜   《休憩》

14:40〜 バッハ:イタリアン・コンチェルト
     シューマン:アベッグ変奏曲
     ショパン:エチュード Op.10-1 Op.25-9

16:10〜 ショパン:幻想ポロネーズ Op.61
     ラヴェル:夜のガスパールより スカルボ
     ラフマニノフ:絵画的練習曲 Op.33-5,7

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lesson de ラ・パレットが他の公開レッスンと一番違うところは、生徒さんが長期に渡って公開レッスンで弾いて、成長を見せてくださることです。
この成長というのは、当然のことながら、難しい曲が弾ける…というような表面的なものではなく、音楽的内容や、精神的なものが主となります。
この日の公開レッスンで弾いてくれた生徒さんたちも、皆さん、もう何度も公開レッスンで弾いてくださっている方ばかりなのですが、今回は、特に素晴らしく良くなっていて、聴かせていただいていても感慨深く、最初の頃の様子などが思い出されてしまいました。
生徒さんたちのそんな様子に、北川先生も、とても嬉しそうでいらっしゃいました。

さて、今回、一番印象に残っているのは、教えるということはどういうことか、教える人間はどうあらねばならないか…というお話です。
まず、先生がおっしゃったのは、
「今、できないことを言ってあげる」
「やっていればできるようになることは、黙っていてあげる」
ということです。これが『指導の秘密』という言葉でお話くださいました。
これは、言葉にするとたった2行ですが、実は、大変なことです。
なぜなら、生徒さんの演奏から、今、できないのは何かを判断し、やっていればできるようになること…を見分けなくてはならないのですから…。

具体的な教え方について、先生がおっしゃったのは、
「『この曲はこういう曲です』という教え方はダメ。その人といっしょに、活きた音楽をつくることが大切」
ということでした。
一般に、指導の講座に行くと、この曲のここはこう…というような話が多いのですが、私は、前からそれに疑問を持っていました。
そうやって音楽を作っていくと、一時的には、仕上がるのですが、時間が経つと崩れます。
そして、崩れてしまった音楽を元に戻していくのには、この曲はこう…という情報は、余り役に立たないことが多いのです。
『活きた音楽をつくる』という考え方は、崩れない音楽を作っていく…という事にも繋がるのではないかと、そんな風にも思えました。

では、教えていくのに何が大切か…という点については、
「『良い演奏、良い音楽って、何だろう』というのを常に考えること」
という、音楽をする人としての姿勢を挙げられたのは、納得でした。

他にも、その音楽の本質について、音そのものへの言及など、貴重なお話を、それを裏付ける演奏を交えてお話くださり、刺激的な一日となりました。
これらのお話を、テーマとして挙げらている講座は、たびたび見受けられますが、これらを音楽から切り離して理解したつもりになっても、それを元に音楽を再構築するのは、なかなか難しく、上手くいきにくいものです。
音楽から切り離さずに、普通のレッスンという形態をとった中で、繰り返し学び、自分の中に深く定着させることができる、この公開レッスンの形態は、教えるだけでなく、演奏するためにも、非常に有益なものだという確信を、ますます強く持つようになりました。

次回は、10月1日日曜日です。
お申し込みをお待ちしています。


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