感想メモ

2010年01月31日(日) 三島屋変調百物語事続  宮部みゆき

宮部みゆき 読売新聞朝刊連載小説 2009-2010

STORY:
『おそろし』の続編。三島屋に預けられたおちかは、相変わらず百物語を聞く。そして、色々な話を聞くうちに、心に少しずつ変化が現れるのであった…。

感想:
 読売新聞の朝刊連載小説が終わった。毎日、面白かったので、終わってしまって残念。

 もともと前作『おそろし』は読まずにこの小説を読み始めた。『おそろし』を読んでいなくても、特に問題はないように、おちかの過去が軽く触れてある。でも、なんとなく過去を知りたくなって、『おそろし』を連載途中で読んだ。

 それと比べてみると、こちらの方が重くないというのだろうか…。前作でおちかの身に起こったことなどは、ちょっと重い内容だけど、こちらは、周りが体験した内容をおちかが聞くという形式がほとんどなので、考えさせられたりするけれど、そこまで重くないような気がした。(つまり、『おそろし』よりも私はこっちの方が好きだった)

 おちかの今後のロマンスもちらりと覗かせていたり、でも、前作からのおちかを縛る悪いものの姿もまだ消えてはいないようなことも暗示されていたり…。まだこの後も話が続きそうな終わり方だった。続編もあるのかも…。

 私はもともと歴史物はあまり好きではなく、読む気がしない方なのだが、宮部みゆきの歴史物は、現代っぽいというのか、現代に通じるものがあるのか(?)、案外読んでいても違和感がないような…。

 歴史物が苦手な方にも楽しめる作品ではあると思うので、オススメ…。



2010年01月30日(土) ホテル カクタス  江國香織


江國香織 画/佐々木敦子 集英社文庫 (2001)2004

STORY:
「ホテル カクタス」というアパートで、帽子ときゅうりと数字の2が仲良くなり…。

感想:
 大人のための童話…とでもいったところか…。絵がたくさん挿入されているし、ちょっと絵本っぽい感じも。

 1話1話も短いし、気軽に読める感じではある。

 色々考え出すと、あり得ない世界なので、あまり深く考えないで読むのがよいのかも。



2010年01月26日(火) のだめカンタービレ 最終楽章 前編

 TVシリーズからだいぶ間があいて、なぜ今頃映画化なんだろう?なんて思いつつ、結局見に行ってみた。

 が、復習して行かなかったのはちょっとまずかったかな…。説明とか一切ないので、全く初めての人は見ない方がいいかも。

 今回は千秋の活躍が中心で、のだめがあまり演奏したりもしないので、なんとなく欲求不満な感じが…。

 途中、なんとなーく退屈になってしまうところもあったりして、テンポが悪いのかな…。

 というか、TVシリーズから間があいてしまって、のだめのノリについていけないような感じも…。(というか、前よりさらにパワーアップしてるのか…?)

 そんな感じで、ちょっと思っていたよりも面白さを感じなかったのだが、やはり演奏シーンは素晴らしく、大画面で音響のよい映画館で見るのは悪くないといった感じかな。

 次回作は4/17公開予定だそうで…。3月中に公開かと思っていたのでちょっと拍子抜け…。



2010年01月16日(土) さまよう刃  東野圭吾


東野圭吾 角川文庫 (2004)2008

STORY:
娘を未成年の少年2人に凌辱され殺された長峰は、謎の密告者の情報をもとにそのうちの1人を殺害し、逃亡。もう1人も殺そうと探し回るが…。

感想:
 未成年者の犯罪の場合、少年法があるので、残虐なことをしたとしても、大した罪に問われず、数年で少年院を出てくることも多い。

 被害者としては、それでは納得ができないだろうし、復讐したいと思うのももっともなことかなと思う。

 たまたま密告者の情報から、犯人の男にたどり着いた長峰は、娘の凌辱シーンのビデオを見てしまう。その時、犯人の男が帰って来てしまい、見境もなく復讐に走る。

 年頃の娘、それも一人娘であり、妻も亡くして父娘2人きりの生活を送っていた長峰の心情はよくわかる。

 その後、もう一人の男を探そうとする気持ちもよくわかる。

長峰と少年を追う警察の描写も、少年を保護しなくてはならないという気持ちと、長峰への同情とがうまく描けている。

 もちろん復讐するために人を殺すのは絶対にいけないことなのではあるが、当事者となったときにどう思うか…。

 そして、結末は…。

 なんか悲しい感じであった。

 ただ、この作品は、問題提起はしているけれど、どうするのがいいのだという結論も出していないし、そういう点で、そこまですごく重くない気もする。エンターテインメントとして楽しめるのはそんなところにあるのかも。

 あまりそのことを深く突き詰めると、もっと重苦しい話で、余計に読んでいて辛かっただろうけど、そこまでの辛さがなかった気がする。



2010年01月12日(火) 坂の上の雲 第1部


 大河ドラマとか、時代物はあまり好きではなかったりする私なのだが、近現代史になってくると、少し好きだったりする。

 ということで、司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」のドラマ第1部を見ることに。1回1時間半以上あるので、実質民放の2時間ドラマ1本分くらいなのが、毎週…。たまりにたまって、ようやくすべてを見ることができた。

 いや、見始めると、面白くて続きが見たくなっちゃうんだけど、色々やらなくてはならないこともあるので、そうなると、途中でストップして、また続きを…と細切れになってしまうの。

 特に少年時代のエピソードとか、面白かった。そして、段々大人になっていって、主人公たちが今でも有名な文豪とかと学校で出会ったりするってのは、なんか歴史を身近に感じるような…。

 すっかり歴史のことは忘れてしまっていたけれど、あ、こんな名前の人、いたなぁ…とか…。

 でも、こうやってドラマで人物像がわかりやすくなっていると、実感が湧くのね。

 それにしても、さすがNHK。ロケをした外国の場所も素晴らしいし、ものすごく国際色豊かで…。

 鎖国が終わってからそんなに時間が経っていないはずなのに、日本がいかに急に国際化したのかがすごくよく伝わる。

 この当時の日本人って、やっぱり頭がよくて、語学とかもすごかったんだなーと…。

 秋山好古役の阿部寛はかっこいいな。多美(松たか子)と結婚するとはびっくり。当時にしたらものすごい晩婚??

 秋山真之役の本木雅弘ももちろん素晴らしかった。最初、正岡子規役・香川照之がイメージと違う感じがしたが、病に伏せるようになって、ちょっと頬がこけてきたりすると、高校時代に教科書で見た正岡子規の写真とちょっとかぶるような気がしてくるから不思議だ。

 そして、その妹・律をやった菅野美穂がすごくよかったな。本当は真之が好きなのに他の人と結婚して、離縁を何度も経験する。最後まで兄思いの律。幸せになってもらいたいとついつい思ってしまうのだが、やっぱり真之とは結ばれないのか?

 ゴージャスな出演陣も皆いい味出してるし。

 ただ第2部は1年後。そして、この先は戦闘シーンが多そうなので、この先も見続けられるのかわからないような気も…。

 骨太な大河ドラマであることは間違いない。



2010年01月11日(月) レイダース 失われたアーク<聖櫃>


 夫とスピルバーグを順番に見る企画の1本。

 この映画、久しぶりに見たら、内容をすっかり忘れていて、びっくり。

 「インディ・ジョーンズ・シリーズ」第1作だけれど、歴史の順序としては、2→1→3→4なのだとか。

 この間、4を見たときに、内容をあまり覚えていなかったんだけど、今回1を見たら、そっか、この人と結婚するんだ…とか、このシーン、4でも出てきたよねーとか、ちょっと楽しめたかも。

 古い映画になってきちゃってるけど、今見ても面白い!



2010年01月09日(土) 2009年 映画ランキング

 2009年の映画ランキング。今年も本数が少ないので参考にならないと思うけど…。

1:ベンジャミン・バトン 数奇な人生  2月
2:チェンジリング  3月
3:グラン・トリノ  5月
4:スラムドッグ$ミリオネア  6月
5:レスラー  8月
6:ターミネーター4  7月
7:エヴァンゲリヲン新劇場版:破  7月
8:2012  12月
9:おっぱいバレー  4月
10:ヤッターマン  4月

 以上。

 今年は前半にいい映画が多くて、ちょっとお腹いっぱい気味になってしまったのかも。後半は映画館に行く暇がなくなってしまったりして、失速…。

 1〜3位までは、ほとんど甲乙つけがたく、順位をつけるのが難しい。

 4位の「スラムドッグ$ミリオネア」は見た直後には、そんなに面白いとも思わなかったのだが、なぜかものすごく強い印象を残したみたいで…。

 1〜5位までは、なんだか人生のほろ苦さみたいなものを感じさせる、シリアス系の映画が続いてしまった。

 6位の「ターミネーター4」はターミネーターをすべて見ているので見た感じだけれど、新シリーズの始まり。戦争映画みたくなっていたので、前回までとはちょっと違う味わいに。

 7位の「エヴァンゲリヲン」は2回も見に行ってしまったのだが…。まだ途中なので、この先の展開が楽しみ。

 8位の「2012」は映像の迫力がすごかった。ありえるかどうかは別として。

 9位・10位は邦画の面白どころか。「おっぱいバレー」はちょっとしんみりしたシーンもあったけど。

 今年は10本以上、映画を見に行けるかな?? 



2010年01月08日(金) 2009年 本のベスト・テン

 毎年恒例、独断と偏見による2009年 本のベスト・テン。

 2009年の総読書数は85冊。そのうち本は75冊、漫画は10冊だった。月平均読書数は7.0冊。本は6.2冊、漫画は0.8冊。

 今年は本はともかくとして、漫画をあまり読まなかったようで、それで冊数が少なくなったのかも…。漫画は買ってあるのだけれど、図書館で借りた本に押されて、読む暇が全然なくて、そのまま積読状態に…。

 本はなんだかんだ言っても、面白い本が多かったような気がする。

 前置きはともかくとして、2009年のベスト・テン。

1:猫を抱いて象と泳ぐ  小川洋子  5月
2:流星の絆  東野圭吾  8月
3:秘密  東野圭吾  3月
4:平成大家族  中島京子  7月
5:彩乃ちゃんのお告げ  橋本紡  5月
6:ハリー・ポッターと死の秘宝(上)(下)  J・K・ローリング  1月
7:森に眠る魚  角田光代  9月
8:食堂かたつむり  小川糸  11月
9:鷺と雪  北村薫  8月
10:東京島  桐野夏生  3月

 以上。

 いつものことながら、順位をつけるのが難しいので、順位はあまり関係ないかも。

 1位の「猫を抱いて象と泳ぐ」は小川洋子らしい世界を醸し出していて、好き嫌いは分かれるかもしれない。すごく静かな小説で、余韻に浸れる感じだった。

 2位・3位は東野圭吾の人気作2冊。「流星の絆」は、テレビドラマを先に見てから原作を読んだのだが、両方見てみると楽しさ倍増かも。「秘密」はちょっとファンタジー。こちらも映画化されたらしいけれど、映画は見てない。

 4位の「平成大家族」はほのぼのした感じ。こういうのんびりモードの本を読むと、なんだかほっとする。

 5位の「彩乃ちゃんのお告げ」もどちらかというとほっとするお話。

 6位は「ハリポタ・シリーズ」最終巻。ついに終わったといった感じか…。最初から連続で読んでみたい気がする。(時間がなくて無理っぽいけど)

 7位の「森に眠る魚」は、ママ友同士の微妙な友情が変化していく様がちょっと恐ろしい。

 8位の「食堂かたつむり」は料理のシーンがすごく良くて気に入った。けど、Amazonの感想なんかを見ると、あまり評価が高くないみたいで、自分の感性がおかしいのかな〜…とかちょっと思ってしまった。

 9位の「鷺と雪」は英子とベッキーさんシリーズ最終巻。昭和初期のきな臭い時代が背景で、この時代の話は結構好き。でも、唐突な終わり方で、これで最終巻って??と…。

 10位の「東京島」はインパクトが強すぎて…。話の内容としてはそんなに好きじゃないのだけど…。

 ベスト・テンには入らなかったけれど、印象に残った本は…。
容疑者Xの献身  東野圭吾  1月
シズコさん  佐野洋子  2月
ささらさや  加納朋子  6月
神去なあなあ日常  三浦しをん  7月
ゴールデンスランバー  伊坂幸太郎  7月
シェエラザード(上)(下)  浅田次郎  8月
薄暮  篠田節子  10月
僕たちの戦争  荻原浩  10月



2010年01月04日(月) 1941


 夫とスピルバーグを順番に見る企画…。去年の1月から結局1本も進まず、やっと見ることに…。

 この映画は、スピルバーグ唯一(今のところ?)のコメディ映画であるらしい。

 1941年12月、日本軍が真珠湾を攻撃し、次は日本軍が西海岸に攻めてくると思われていた時代を面白おかしく風刺したドタバタコメディ…。

 なんだけど、ストーリーは特になく、様々な場所で様々な馬鹿なことが繰り広げられる形式なので、最初からノリについていけず、途中で眠くなったり。

 派手なアクションとかもあるし、スピルバーグの映画のパクリとか小ネタも色々あるらしいので、そういうのが好きな人は楽しめるのかも。

 私はあまりにもおバカな映画はどちらかというと苦手なので、笑うに笑えず…。

 でも、スピルバーグってこんな映画も撮っていたんだ?とびっくりしたかも。『シンドラーのリスト』みたいなシリアスなものから、ドタバタコメディ、スリリングなアクションまで、幅広い才能を感じることができる1本なのかも。

 音楽がとてもいい。元気が出る音楽だと思う。



2010年01月03日(日) ストロボ  真保裕一


真保裕一 新潮文庫 (2000)2003

STORY:
カメラマンとして名声を得た喜多川。どのようにしてそのようなキャリアを積み上げたのか、昔を振り返る。

感想:
 この小説は5章仕立てだけれど、最初の5章ですでにカメラマンとしての地位を確実にした喜多川が出てきて、そのあと、章を進むにつれ、段々喜多川の年齢が若くなっていく…というちょっと変わった趣向が凝らされている。

 それがどういう効果を出すのかは、人それぞれ意見が分かれるところかもしれない。

 私もどっちかというと、若いときから順番に読んだ方がスムーズな気もしたが、後ろから読んでいくと、それなりに将来がわかってから読むという形になるから、なるほど、これがあのときの…という感じにはなる。

 その時々で喜多川が出会った人物とのエピソードや、その相手の行動の真相が次第に明らかになっていくという設定で、なかなか面白かった。

 カメラの手法とかも、私はよくわからなかったけれど、興味がある人には面白いのかも。いろいろな撮り方があるんだなーと感心するのと、プロの世界で生き抜いていくことの大変さは感じることができる。

 また、時代も喜多川が大学時代から50歳になるまでの多岐に渡っているので、同じくらいの年代の人だとさらに楽しめるように思う。


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