感想メモ

2007年05月29日(火) 八日目の蝉  角田光代


角田光代 中央公論新社 2007

STORY:
不倫相手の赤ん坊を連れ出した希和子は赤ん坊とともに逃避行を続け・・・。

感想:
 読売新聞の夕刊で読んだ連載小説。もう一度続けて読みたくて読んでみた。加筆修正はなし。やはりとても面白くてぐいぐい引き込まれてしまった。

 この事件に関わった人はすべてがかわいそう。でも、きっと一番悪いのは希和子をたぶらかした男なのだろう。不倫をし続け、執拗に希和子に付きまとった男。そして、希和子に嫌がらせをし続けた妻。希和子自身も傷つき、犯罪とはわかっていても守り続けようと思った子供の薫。でも、その子も事件後は誘拐された子として辛い毎日を送ることになってしまう・・・。

 何だか切ない話なんだけれど、とても心に残る。私には不倫をする気持ちはわからない。けれど、男に言い寄られて断れずにずるずると・・・という気持ちは、読んでいて少しわかるような気もした。



2007年05月21日(月) 玻璃の天  北村薫


北村薫 文藝春秋 2007

 『街の灯』の続編。続編があるらしいと聞いてはいたけれど、タイトルもよくわからなかったのだが、偶然わかって、読むことができた。といっても、前作を結構忘れていた。忘れてはいたけれど、楽しめる作品に仕上がっていた。

 今回も運転手のベッキーさんとともにちょっとした謎などを解き明かしていく。時代はますます戦争に向かって突入していきそうなきな臭い頃。この後の英子とお兄さんやこの家族の行く末が気になる。

 様々な文献を調べ、昭和初期の出来事などを交えながら、昭和の上流階級の生活を垣間見ることができて、そういう点でもとても楽しい作品だった。



2007年05月20日(日) ラブソングができるまで

ラブソングができるまで
 見たいと思っていた『ラブソングができるまで』を見に行く。

 最後はほのぼのとした気分になれるというか、女の子ならこんな風にされてみたい・・・という、誰もが一度は思ったことのありそうな、そんな結末なので、安心して見ていられると思う。

 以下ちょっとネタバレあり。

 私が受けたのは、コーラ(ヘイリー・ベネット)のコンサートシーン。仏像の裏からコーラが出てくるんだけど、それに対してアメリカ人が熱狂的になっている様子に、悪いんだけれど、ぷーーーっ!!と吹き出しそうになった。ツボに入ったかも・・・。一体こんなののどこがいいんだ? 全然わからんっ・・・。あの仏教(?)崩れみたいなのも、アメリカだから受けるんだろうなー。日本でこんなのやっても絶対に流行らないだろう。

 ソフィー(ドリュー・バリモア)は私はあんまり感情移入はできなかった。こういうドタバタ的なキャラはやっぱりアメリカ人特有なのかなぁ・・・。

 アレックス(ヒュー・グラント)の歌や踊りなんかも結構楽しめたし・・・。それなりに面白い映画だったかな・・・。そうそう、二人が作詞作曲する歌「Way Back Into Love」はメロディがステキでとてもいい歌。それから、映画の終わりに二人のその後がマガジンっぽい感じで流れるのも面白かった。



2007年05月16日(水) 間宮兄弟  江國香織


江國香織 小学館 2004

STORY:

彼女いない歴3*年の間宮兄(明信)と弟(徹信)は兄弟2人暮らし。ちょっとオタクな趣味を持ちつつ、それなりに楽しい日々を過ごしていたが、そこに女性たちが関わることになって・・・。

感想:

 この小説は映画化されていて、映画を見たいと思っていた。結局見られないうちに終わってしまいそのままになっている。それで最近になって、原作が江國香織ということを知り、読んでみようかと思って読んでみたら、面白い! そして、原作を読んでさらに映画が見たい気分になってしまった。きっと面白いんだろう。

 間宮兄弟はちょっとオタクな女性からはちょっと敬遠されるタイプの2人だけれど、根はとてもいい人で、その良さは母親が一番わかっている。そんな2人に関わることになる女性たちはそれぞれの恋に疲れている。間宮兄弟の家が居心地よく感じてしまう彼女たち。でも、兄弟は何となくわかっている。それは自分たちが無害だからということを・・・。つまり恋愛対象外?

 何というか、この兄弟のちょっとオタクな趣味が面白くて、こんな人たちがいたら、確かに恋愛対象ではなく、友達として、一緒に過ごしたら楽しいだろうなーと思ってしまうのだった。ボードゲーム、パズル・・・なんかやりたくなってきた・・・。

↓DVD 佐々木蔵之介、結構好きなんです。



2007年05月12日(土) 硫黄島戦記  川相昌一


川相昌一 光人社 2006

 再び硫黄島の戦闘物を読む。

 前に読んだ『十七歳の硫黄島』と同じく、著者は通信兵として参戦。一番戦闘が遅かった北地区にいたため、『十七歳〜』のような悲惨な状況はあまり伝えられていない。ただ戦闘が遅かった分、最後に捕虜となるまでの時間も長く、2月から戦闘が始まったのに、捕虜になったのが5月に入ってからで、こんなにも長くがんばっていたのか・・・とちょっとびっくりした。

 こちらは、捕虜になってから、グアムやハワイを経てアメリカ本土に渡り、日本に戻って来てからのことも書かれていた。すでに死んだものとして村葬が行われたあとだった。そのことから色々あって、帰ってからも苦悩が待っており、複雑な著者の心境が書かれていて辛いなと思った。

 こちらの方が『十七歳〜』よりも読みやすい印象。最初に読むのはこちらの方が、とっつきやすいかもしれない。



2007年05月07日(月) 病気にならない人は知っている  ケヴィン・トルドー


ケヴィン・トルドー 黒田眞知 訳 幻冬舎 (2004) 2006

 著者は21歳のときに不治の病を宣告され、自然療法によって病気が治ったという経歴の持ち主。

 どうしたら病気にならない生き方をすることができるか、人はどうして病気になるのかを説明した上で、どのようにしたら病気にならない生き方をしていくことができるかをこと細かく書いている。

 興味深い内容ではある。

 しかし・・・このような生き方を現代人がしようと思ったら、非常に難しい。

 まず食べ物や飲み物にこだわりだしたら、普通の値段では買うことができない。このような生き方を実践できるのは、一部の裕福な人のみではないだろうか。

 まあ、真似事はできなくはないが・・・。(そして、多分それでも少しは効果があるかもしれない)

 とりあえず話の種に読むのは面白い本ではある。実践できるかはともかくとして・・・。



2007年05月06日(日) ロッカーのハナコさん  石井まゆみ


石井まゆみ 集英社 2001

 以前、NHKの夜の連ドラで、このシリーズにはまったことがあり、機会があったら原作も読みたいと思っていた。それで、ものすごい間があいたけど読んでみたら、何だか違和感・・・。

 あの頃とは年代が変わってしまったからかなぁ・・・。あんまり面白いと思わなかった。

 多分、ドラマの方が凝ってて面白かった。内容も。原作とはいえ、ぶつ切りみたいな感じなので、あんまり乗れなかった。ドラマの方が脚本がよかったのか、出演者のキャラが立っていたのか・・・。

 これを言っちゃおしまいかもしれないが、どうして仕事ができるいい男が、この女子社員のことが好きになるのか・・・というのが・・・全く描かれてなくて、突拍子がない。主人公たちが一人で思い悩んで・・・みたいな感じは幼いというのか、仕事をする年齢でもこれか・・・?とちょっと思ってしまったりして・・・。

 やっぱ少女マンガの延長だから、仕方ないのかな・・・。

 5巻目の終わり方も終わりにしてはイマイチピンと来なかった。このあと新シリーズも続くみたいだけれど、これ以上読まなくていいかな・・・ということで挫折・・・。

 ドラマの方がオススメな気がする。

↓ドラマ版DVD



2007年05月05日(土) 精神道入門  小栗左多里


小栗左多里 幻冬舎 2004

 著者が修行をしたいと思って、色々なところへ体験に行くという形式のエッセイ。文章とマンガの部分に分かれているが、文章の方が多いかな。

 瞑想、写経、座禅、滝、断食、お遍路、内観という興味はあるけれど、自分で実際に体験するのは怖そうだな・・・というものを、経験して面白く書いてくれている。

 どれもこれも修行というだけあって、人の体験を聞くのは楽しいけど、自分は軟弱だから無理かな・・・と思うようなことばかりだったが、写経や滝、お遍路とか・・・ちょっと興味あるかも。

 こうしたものをやってみたいなぁ・・・と興味がある人にはオススメの入門書だと思う。



2007年05月02日(水) みんなで国語辞典!  北原保雄 監修


北原保雄 監修 「もっと明鏡」委員会編 大修館書店 2006

 辞書には載っていない新しい言葉をアンケートなどで集めてまとめた本。

 結構面白い。知っている言葉も多いが、聞いたことないものも多かった。

 ところどころに入るマンガが少し笑える。

 暇つぶしに読むのにはよい本。


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