○プラシーヴォ○
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2001年05月31日(木) 情報は金ナリ

いろんな種類があるなんて知らなかった。
ききめも微妙にちがうなんて知らなかった。

だって、血液検査とかいろいろやった後、
有無をいわさずこの種類のヤツを渡されたんだもん。

それは低容量ピル。

あまりにも仕事が暇・・・いや、ちょっと時間が空いたので
ピルのことが詳しく書いてあるホームページを見てみた。

どうやら、私の飲んでいるピルは成分的にいって
太りやすいモノらしい。

どうりで・・・飲み初めてから7キロも太ったわけだ・・・。
いや、それだけが原因じゃないけどさ。ははん。
ただし、不正出血がほとんどナイ。
(生理がぴったり決まった日にちにやってくる)

太りにくいのもあるけど、それは不正出血がどちらかというと
おこりやすい。

などなど

一長一短なのね。いろいろあるのね。
そんなの産婦人科の先生なんにも言ってくれなかったんだけどさ。
ちょっと今度理論武装して
ピルを変えてもらおうかしらん。


2001年05月30日(水) 人は見かけに…

首のリンパ線のあたりが痛いだの
喉が気持ち悪くて吐き気がとまらないだの、
不調を訴え続けていたハム男。

最初の方は
「大丈夫かいな???」
と優しくしていた私も、最近は
「それ以上具合悪いって言うんやったら、
ユニバーサルスタジオも海水浴も全部置いていく。
家でウンウン苦しんどったらええねん!」
と、ちょっぴり(?)クールに扱うようになってきたので
ハム男は観念して病院に行ったようです。

ようです・・・というのは、昨日、電話がかかってこなかったので・・・。

今日、会社からこっそり
「あんた、病院に行ったんか?」
とメールを打つと、

昼ころ、携帯に電話がかかってきました。
「ほんで、病名は何やのん?」
「・・・分からへんって言われた・・・」
「は?」
「血液検査も異常ないし・・・。喉はちょっと炎症おこしてて
リンパも腫れてますけど、原因はよくわかりませんって・・・」

そんだけ症状が出ててなんで原因がイッコもわからないのおおお!
「それより、尿酸値が異常に高いから、
いつ痛風になってもおかしくありませんよって言われた。
あと、中性脂肪も多いって!あはははは」

笑ってる・・・。笑ってるよ、おっさん。
そんなにガリガリに痩せてるのにね・・・。
体型と脂肪は関係無いって本当だったんだね・・・。
10年近くも1人暮らしで、栄養が偏ってるわけで・・・。

って『北の国から』のジュンくんになってる場合じゃないわっ!

「あ、そうそう、今週は金曜日も日曜日もサッカーだから!」
サッカーでも、ペタンクでも、カバティでも行ったらええがな。

うーん、私も何か運動したいなあ。


2001年05月29日(火) 人のコト

一ヶ月前、バリ島に出発するとき、
関西国際空港のロビーで
youちゃんが唐突に告白した。

「彼氏、できました」

メル友の男の子らしい。
私は嬉しくて嬉しくて、今からバリ行きを中止して
居酒屋で飲み明かしたいくらいだった。

今まで数人のメル友の話をちょくちょく聞いてはいたが、
付き合いだしたというのを聞いたのは初めてだった。

そして、さっきyouちゃんからメールが来た。
『彼と1週間まったく連絡がとれません。
メールを送っても、留守電を残しても返事が返ってきません。
きれいさっぱりあきらめます。』

1週間連絡がとれないくらいであきらめるの?
と思う人もいるかもしれませんが、youちゃんはこれで2度目なのです。

以前、コンパで知り合った男性も突然音信不通になり
youちゃんが連絡をとりつづけ、やっと別れの言葉を聞けました。

もう、その時の傷つきようといったら、見ていられないほどでした。
初めて、youちゃんが泣くのを見ました。
これで、心の鎧が分厚くなってしまったんだと思います。

自分がこれ以上傷つかないように、
サッと切り捨てることを覚えてしまったんだと思います。

私とyouちゃんは考え方がすごく似ていて、
相手の考えてることが手にとるように分かります。
なのに、どうして私には彼がいて
youちゃんばかり辛い目にあうのだろう。

なんと返事をかえしたらいいのか
悩みながら夜はふけていきました。


2001年05月28日(月) 心揺れ揺れ

月並みなセリフかもしれないけれど、
もう、あなたがいない生活なんて想像できない。
週に一回とはいえ、あなたに会えることが私の励みなの。

彼?ううん、いいのあんな奴。
あなたにくらべたら、平凡で退屈な男よ。

愛してるわ・・・『あいのり』

そう、私は毎週月曜日の『あいのり』という
素人さん(?)が恋愛をする番組が好きーーーーー!


もしハム男がいなかったら、
受かるまでオーディションを受けつづけただろう。

「ラブワゴンに乗りたかったら
…今夜、このメモに書いてあるホテルへおいで。
君も大人なんだから・・・分かるだろう?」

というプロデューサーの言葉にも素直に従うさ!!!
(言わないって、そんなこと)

好きな人の隣に行く。
好きな人に話しかける。
好きな人が違う人と話している。

片思いの時にしか味わえない、
きゅーんっていう感触が
よみがえっちゃうよおおお!

『両思い』っていう、心がぴたっと止まった状態が
日常になってしまった私にとって、
喜んだり、泣いたり、
恋で心がガンガン揺れている画面の向こうの子たちが
愛しくてしょうがない。

こっちまで、心が揺さぶられてホコリが落ちる気がする。


2001年05月27日(日) 駄々

昨日、あんだけグッタリしてたくせに
今日はサッカーの練習に行くという。

「イヤだ。私と遊ぼう」
と首すじにかじりつくように抱きつく。

ハム男は困ったように笑ってそれをほどく。
「何回もサボッてるから、今日いかないと除名されちゃうよ」

ハム男は絶対に行く。
そして私も、
「サッカーと私とどっちが大事なのよお!」
なんて言わない。

お互い、それを分かっているのだ。

お互い、やりたいコトをやる。
どちらかのせいで趣味をあきらめたりしない。

そのほうが絶対に長続きする。
そんなの皆知ってる。

ハム男と知り合うまで、付き合ってきた彼に対して
「私だけを見ないで、趣味を持って」
「他にやることがあるなら、それを優先して」
ってず〜っと言いつづけてきた。

私も自分の見たい演劇とかがあったら
ハム男を置いてさっさと見にいってしまうし、
友達とバリ島に行っちゃったりもする。

愛する人を、自分の生活の100パーセントにしてしまうと、
幸せだけど苦しい。

相手の指1本の動きにも一喜一憂するようになる。
余裕がなくなる。
もしかしたら、憎しみすら覚えるかもしれない。
煮詰まって、頭がおかしくなってしまうかもしれない。

彼だけを見て、これからずっと生きていきたいから、
心と体をバシバシ叩いて、彼以外のモノを見ようと努力する。

風通しを良くするのだ。

自分の足で立つのだ。

分かっている。
だけど、苦しい。

たまには私を優先して欲しい。
もっと嫉妬して束縛して欲しい。
用事が出来て、あなたに逢えなくなった私を
「あっそ」
の一言で片付けないで欲しい。

フリをしているだけだったんだ。
だって、最近涙がとまらない。
自分の足で立たなきゃだめ?
あなたに寄りかかってはだめ?


2001年05月26日(土) 人間失格

こんなに自分を嫌いになったのは初めてかもしれない。
聖水のプールに飛びこんで、
汚い心を溶かして無くしてしまいたかった。

映画をハム男と見に行った。

14時に終わったので、遅めの昼食をとろうと思っていたら、
ハム男が胸を押えて首をかしげる
「なんか・・・軽めのモノがいいな。気分が悪い」

ここ三ヶ月ほど、ハム男は体の調子がよくないらしく、
吐き気がおさまらなかったり、
首のリンパ線のあたりが痛だるい感じがするというのだ。

以前、デートの時にラーメンを食べていたら、
私にサイフを押し付けて
ダッシュで店の外へ出ていったことがあった。

きっと、今何か食べたら、またハム男は吐いてしまうだろう。
イヤダ。イヤダ。マダ デートシタイヨ。

「ハム男の家に戻ろう。本当は何も食べたくないんでしょ?
家で休もう。私は途中で何か買うからさ」

心の声を両手で必死に防ぎながら、口からセリフを押し出した。
ハム男はすぐにうなずいた。
よっぽど調子が悪いのだろう。

最後に、本屋さんにだけ行きたいと言うので、
道をよくしらないハム男をひっぱって本屋へ行った。

途中、ハム男がおずおずと言った。
「がちゃ子・・・怒ってるの?」
「ナニが?」
「俺が・・・気分悪いって言ったから・・・」

そうだ。私は怒っていた。
せっかくのデートをお昼で終わらせなければならなかったことを
前から約束していた焼き鳥やさんにも行けないだろうということを
デートの時はいつも私があれこれ決めなくてはいけないことを
そして
気分が悪いというハム男に優しく出来ないことを

私は中途半端だ。

完璧に優しくできない。
私が気分を害してることを、不機嫌な顔でアピールして、
ハム男に優しくしてほしいのだ。
バカバカバカ!私のバカ!

自分への腹立たしさに、いっそう無口になる私を、
ハム男が心配そうに見つめる。

ハム男も怒ればいいじゃん。
こんな最低の彼女っていないよ。
ハム男のことを心配するどころか、
スケジュールが乱されたことに腹を立ててるんだよ!
何か言ってよお!
「がちゃ子、お腹すいたんだろ?俺、ソバが食べたいな。
がちゃ子の好きなあそこのソバ屋さんに行こう!」

ニコニコニコと、ハム男が笑う。
帰りにビデオも借りて帰ろうな、と付け加える。

ごめんねハム男。
きっと今、聖水の雨が降ったら、
私は溶けてなくなっちゃうよ。


2001年05月25日(金) 押し売り

昨夜、母が
「もう、腹たつ!おばあちゃん(母の母)のところなんて
2度と行かない!」
とぷりぷりしていた。

おじいちゃんが天国へ逝ってしまってから、
母は毎日のように電車とバスで1時間ほどかけて
おばあちゃんに逢いに行っている。

少し体が動きにくいおばあちゃんのために
食事の準備や、おじいちゃんの戸籍やらなんやらの手続きやら
他の親戚の人たちと一緒にくるくると働いていた。

どうやら、おばあちゃんがいちいち文句をつけてくるらしい。
食事の味付けが濃すぎる、だの
自分でできるのに余計なお世話、だの・・・

長年連れ添ってきた伴侶が死んで1ヶ月もたたない、
しかも体が思うように動かない老人の言葉を
真にうけて怒るなんて・・・

母はいつも人にすごく完璧にサービスをするのだが、
ある日突然「なんで私ばっかりあれこれしなくちゃいけないのよ!」
とキレる。

こっちからすると
「頼んでもいないのにあれこれ家事やらなんやらして、
勝手に追い詰められて怒ってるんじゃん!」
と言いたいとこだが、
こっちが黙っていれば母もそのうちおさまるので
いつも放っておく。

私の大好きな小説の一節

『そっちが私に好意を寄せるのは勝手だけど、
 植木の水やりみたいに
 そそいでから、何かを期待されても困るの』

う〜ん、そのとおり!


2001年05月24日(木) 一日三回

彼は毎日電話をかけてくる。
昨夜も例外無くかかってきた。
だけど、とてもそっけなかった。

いつも聞き役の私が珍しく熱弁をふるったのに、
(しょうもない話だけどね)
あっさり電話を切ろうとした。

誰かに盗聴されていたとしても
絶対に恋人同士の会話とは思わないであろう3分間。

あたし、ヒロスエでもフカキョンでもないんだから
熱愛発覚してもかまわないんだから
もっともっとハム男の気持ちが聞きたいのに。

思わず、
「(私と話をするのが)イヤなの?」
とポツリと言った。
「・・・え?何?何が?」
うろたえるハム男。
「別になんでもない。ごめんね。おやすみ」

5分後、また電話がかかってきた。
「さっきね、会社に到着したとこだったから・・・あんまり話せなくて・・・」
どうして分かったの。ハム男ともっとしゃべりたいってことが。
イイ女になるのは難しいけれど
イヤな女になるのは簡単だね。ごめんねハム男。

うれしくてホクホクで電話を切る。
10分後またかかってきた(笑)
「いっつも、聞こえてたカエルの鳴き声が
今日は全然聞こえない〜!」

知らんやん!私に言われても!(笑)
やっぱり熱愛発覚しそうにない
会話の内容だったけど、
まさか1日に3回もかけてくれるとは思わなかった。


2001年05月23日(水) ぎゃお!!

毎回の事だが、ピルを買う時の言い訳に苦労する。

「急に朝早いシフトになっちゃって」
(パン屋で働いている時)

「なんか気持ちよさそうだから散歩してくる」
(まったく無職の時)

など・・・
母親にはピルを飲んでいることを内緒にしているので
(でも机の上に置きっぱなしにしたりしてるから
 たぶんバレてるけどね)

三ヶ月分のピルをまとめ買いしている私は
年に4回、早朝に病院に行く理由をひねり出さなくてはいけない。
でも、どうしていつもいつも朝一番にしか
予約があいてないのかしら!ちくしょう!

今日も、

「なんか分んないけど部長が、たまにはゆっくり
出社していいよって言ったの」

という、政治家顔負けの強引であやふやでいいかげんな理由を
母に小声で言った。
(毎朝、7時に家を出て出社しているのだが、
病院は9時からなので8時30分くらいに家を出たかったから)

ピルを飲む人は、半年に一回血液検査をするのだが、
その結果が今日でていた。

「う〜ん、少しコレステロールが高いですねえ。
普通、ホルモン系のお薬を飲んでる人は、
いい副作用が出てコレステロールや脂肪が押えられるはずなんですけど・・・
押えられていてこの数値ならば、ちょっと危ないですね!」

が〜ん!
喉が痛くて、原因がわからず
精密検査を受けて
「痛風になる1歩手前ですよ」
と言われてしょげてたハム男をバカにしたバチがあたったのかしらん。

大好きな卵かけ御飯をひかえなくっちゃだわ!


2001年05月21日(月) 子宮、ごめんね

お昼に生理になった。
お薬を飲まなくなって(飲み忘れて)4日目だから・・・。

前回の生理が終わってから
10日くらいしかたってないのにな。
ごめんね、私の子宮。

せっかく芽生えた命は勝手に持っていかれるし、
薬のせいで常に妊娠しているような状態だし、
変な周期で無理やり生理にさせられるし

原始時代だったらありえなかったことだね。

そのうち、
『できちゃったけど、今は育てられないの』
っていう命を冷凍保存しておいて、
何年かしてからまたお腹に戻すってことくらい
できちゃいそうだね。


2001年05月20日(日) もうやだやだ

自分で自分が嫌になる。

1年も飲み続けているというのに、
またピルを飲み忘れた。
あと2週間ぶんも残っているのに捨てなくちゃいけない。

どおして?

どおして私だけがこんな面倒くさいことをしなくちゃいけないの?
どうして彼は
コンドームもせずにヘラヘラ笑ってエッチができるの?

世界中の偉い科学者さん、
誰か、
男性の精子の能力を消す薬を開発して下さい。

そうしたら、彼に毎日飲ませるから。

1年ごとに、薬を飲むのを交代するから。


2001年05月19日(土) バカ正直

いよいよごまかしが効かなくなってきた。
歯が痛い・・・。

母がお勧めの歯医者にいくと、超満員だった。
待合室で立っている人もいる。

先生がすごく忙しそう。
三つある診察台をダッシュで駆けずりまわって診察してる。
いよいよ私の番。

三谷幸喜みたいなかわいい先生。
レントゲンを見て、
「あ〜、一番奥がもう陥没して神経もとっくにやられてますねえ・・・
その隣も神経に到達してるし・・・抜きましょうね」

が〜ん!25歳になって一気に2本も歯を抜くなんてえええ!

「ということで・・・今まで麻酔をするようなことはありましたか?」

少し固まる私。

言うべきか?
くりんくりんの先生の目に見つめられ、私はそっと言った。
「全身麻酔を・・・」

先生はびっくりして
「ええ?何か・・・怪我ですか?病気?」
私はいい言い訳が思いつかず、
「堕胎で・・・」
と直球150キロストレートど真ん中の答えを言ってしまった。

先生は、
ああ、と口だけ動かして、慌ててカルテに書きこんだ。
聞いちゃってごめんなさい!って感じ。

アデ○ンスのCMに出ている井川遥ちゃんみたいな
半端じゃなくキレイな助手さんがいて、
その白い滑らかな指で口をあけられた時は
鼻息が荒くなってしまった。

私が男だったら、悪くもない歯を折ってでもここに
通ってしまいそうだ。

・・・ここが混んでる本当の理由ってこの人じゃあ・・・。


2001年05月17日(木) 欲望メラメラ

会社で仕事をしている時、急に、
「あ、彼の体にさわりたい」
と思った。

彼の筋肉がついた背中を思うと
いても立ってもいられなくなった。

それは、セックスがしたいというのではなく・・・
赤ちゃんがおしゃぶりを欲しがるのに近い気がする。

彼にしがみついて寝たい。
そうすれば、心が落ち着くはず。

ここ数ヶ月、私は苛立っていた。

将来やりたいことが分らない。
なのに容赦無く進む時間。
その二つが、ねじれるように私にからんできて
引きちぎられそうになる。

22時ころ彼が仕事から帰ってきた。

彼の家に先に到着していた私は、ビールを飲みすぎて
体がしびれるほどの眠気に襲われていた。
最近,出社時間が早くなり、私の仕事人生始まって以来の早起きをしている。
だから、22時に(!)寝ることも珍しくない。

彼もそれが分っているので、
「もう、寝なしゃい」
と赤ちゃん言葉で私を寝かしつけようとする。

イヤダ、イヤダ。
あなたにしがみつくために来たのに、
あなたが帰ってきたとたん寝てしまうなんて
意味がない!

「あなたは、まだ寝ないの?」
「うん、もう少しテレビ見る」

私が来ても、一緒に寝転んでくれる価値はないの?
私はテレビのスポーツコーナーに負けたの?
私は、ナニ?

泣けてきた。
泣きながら、一人で寝てしまった。
淋しい。
淋しさ倍増だ。

こなければ、良かったかな。


2001年05月04日(金) おばあちゃんは殺してない

「やっぱりなあ…あれがあかんかったんやろなあ…
あれのせいで、死んでしもたようなもんやなあ…」

祖父の通夜の準備で
大勢の人間がバタバタと動き回る中、
ベッドの上に腰掛けていた
祖母が、ひっそりと呟いた。

それを聞いていたのは、たまたま母だけだった

だけど、
母は忙しかったし、あまり気にとめてなかった。

葬儀も終わり、とりあえず落ち着いてから
母は、ふと祖母に尋ねた。
あの時の言葉の意味。

祖母によると、

祖父は死ぬ前日、とてもひどい咳をしていたらしい。

毎日毎日、祖父と喧嘩ばかりしていた祖母は、
その日もいつものように

「うるさいから、早く風邪薬でも買ってきて飲んで
さっさと静かにしてくれ」

と冷たく言い放った。

祖父はその通り、風邪薬を買ってきて飲んだ。

ひとビン全部。

いつも祖母とは違う部屋で寝ていた祖父が、
その風邪薬を飲んだ夜は
祖母のベッドの隣の通路に
座布団を3〜4枚ひいてその上で寝た。

「風邪ひくし、歩くのに邪魔だから
ちゃんとベッドで寝なさい!」
と祖母が声を荒げても、
祖父はニッコリ笑って動こうとしなかった。

死ぬのが分かってたんだ。
最期は祖母のそばにいたかったんだ。

祖父はきっと自殺したんじゃない。

豪傑で、畑の世話が楽しくて
何より大事な大事な祖母を置いて一人で逝くなんて
とてもじゃないけどありえない。

祖父は、最近少し痴呆がでていた。

薬を買いに行くことは出来た。
しかし、飲む量がわからず、
1日に10回ほどに分けて、結局薬を全部飲んでしまったのだ。

祖母は自分が薬を飲むようにキツク言ったから
祖父を焦らせたから
こんな結果になったのだと
遠い目をして言った。

違う違う違う。

違うよおばあちゃん。

「私だって、そうするよ
私がそこにいたら、薬を飲ませたよ」
フッと、祖母の焦点が私の顔に合う。

「…そう?」

「そうだよ
私が殺したみたいなもんだ…っていうのと
私が殺した…っていうのは
天と地ほどの差があるんだよ」

やっと祖母が笑う。

ねえ、おじいちゃん
そうでしょう?


2001年05月03日(木) 笑うってこういうこと

以前働いていた映像制作会社で友達になった女の子達3人と
寒い曇り空の下、遊園地に行った。

マスコミという仕事柄、休日といえど休日ではないような子達が、
ぴたりと今日は休みだという。

ずっとずっと逢いたかった子たち。(全員私より歳上だけどね)

最近ハム男にべったりで、多人数と遊びに行くの久しぶり。

1人が喋れば3人がつっこむ。
喉が枯れるほど笑って喋った。

夜、夕食に行くころには皆、肩で息をするほどになっていた。

各自、いろんな色のお酒を飲みながら、話が尽きない。
「そういえば、がちゃ子、彼氏は元気かい?」
とフト聞かれるまで、
頭の中からすっぽりとハム男のことが消えていたのに気付く。

すごく楽だった。
ひたすら、パワフルな女の子と戦うように
言葉を交し合うこと。

プールで泳いだあとのように、
セックスをしたあとのように、
血がぐるぐる巡って気持ちいい。


いつもこんなだと、
彼氏なんていなくたって
生きていけると
思ってしまうかもしれない。


それがイイことなのか
ワルイことなのかは分からないけど。


2001年05月02日(水) おじいちゃん、いってらっしゃい

おじいちゃんが天国へ逝った。
85歳。

死因がどうしても分からないので解剖させてほしいという
病院の申し出を断り、連れて帰った。
(死ぬ直前,通常の人間で20〜40ぐらいでなきゃいけない
 肝臓の数値が2000を超えていたらしい)

家へ入った瞬間、おばあちゃんの細い泣き声が聞こえた。

私の仕事が忙しかったりして
2年くらい逢ってなかったおばあちゃん。
すごくすごく小さかった。

明日は、以前働いていた会社の女の子たちと
遊園地にいく約束だったが
しょうがないか・・・。

でも女の子達は撮影やらなんやらで忙しく、全員が同じ日に休めるのは
奇跡に近かったんだけどなあ。

と、ぼんやり考えていたら、母がそれに気付いたらしく、

「ほんまやったら、明日お通夜で明後日お葬式やねんけど、
明後日は友引でお葬式ができへんから、1日遅らせるねん。
だから、明後日お通夜をする。
明日は何もないから、遊んでおいで」

ありがとう、お母さん。

おじいちゃん、行ってくるね。
明後日と明々後日はおじいちゃんにべったりくっついとくからね。


がちゃ子 |偽写bbs

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