甘い福音 (カカイル/バレンタイン) - 2008年03月14日(金) 自分でもどうかしてると思う。 バレンタインというだけでどうしてこんなに必死になっているん だろうか?と我ながら疑問を感じる。 左手には今日の為に取り寄せたシャンパン入りのチョコレートが 入った紙袋を持ち、ただ愛しいあの人を探している。 アカデミーを右往左往しているカカシは度々呼び止められていたが、 その度に急いでいるからと断りの言葉を告げていた。 「カカシ先生、そんなにお急ぎになってどなたかをお探しですか?」 「い、イルカ先生!」 マスクで隠されたカカシの顔が薄らと赤く染まる。 イルカは何かアカデミーの仕事で作業していた様で、作業室と書かれた 部屋からちょうど出てきた所だった。 「…チョコレート、いただいたんですね」 甘い物、お好きじゃないって言ってましたよね?とイルカはちょっと 寂しそうな表情で告げた。 「いえ、これは貰ったものではありませんよ」 イルカが自分が持っている紙袋の中身を貰ったと勘違いしている様 だったので、カカシはきっぱりと否定する。 「…貰ったものではないんですか?」 「はい。これはオレからイルカ先生に」 良ければ貰っていただけませんか?とカカシはイルカに紙袋を差し 出した。 「え?ええっ??」 か、カカシ先生がオレに?と驚きの声と共にイルカは顔を真っ赤に 染め上げる。 「本来、バレンタインは好きな人に贈り物を渡す日らしいので…」 だからイルカ先生に渡したいと思ったんですと告げるカカシは少し 照れている様だった。 「ありがとうございます」 イルカはそんなカカシの突然の告白に戸惑いながらも嬉しそうに紙袋を 受け取る。 カカシはイルカがチョコレートを受け取ってくれただけで満足だった のか、ではこれでとその場から立ち去りそうになった。 「あ、あのカカシ先生!」 「は、はい」 このタイミングでイルカから呼び止められるとは思ってもいなかったのか カカシはぎくしゃくと後ろを振り返る。 「遅くなってしまうかも知れませんが、オレもチョコレート用意します ので受け取っていただけますか?」 「喜んで!」 まるでどこかの居酒屋の店員が注文を受けた時の様な返事でカカシは 答えた。 こんなに誰かを好きだと感じたのは生まれて初めてだった。 届かないと思っていた気持ちが彼に受け止めて貰った瞬間、自分は世界で 一番の幸福を手に入れた。 ...
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