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■ good morning,good communication
朝だ。鳥の声。カーテンから漏れる白い光。ああ、もう少し寝ていたい・・・じゃなくて。どんなに朝に弱くても、律儀に頭の片隅にここはどこで今はどんな状況なのかが蘇ってくる。ここは家じゃないんだ。自分の部屋じゃあない。 がんばって目を開く。 ほら。見慣れた壁の色でもないし、うちはカーテンじゃなくてブラインドだ。ここは自分ん家じゃないから、いつまでも寝てはいられない。
「よし」
気合いをこめて、できるだけ小さく発声した。だって起こしたら悪いし。上下のまぶたがくっつきすぎて目を開けると若干痛い。昨日遅くまで起きていたからだ。今日が大事な日だから、お互い余計に眠れなかった。だからつい、ほら、身を寄せ合ってしまっているわけで。 穏やかな寝息が静かな部屋にそっと潜んでいる。 寂しいなら素直に言えばいいのに。頼れるあの人ならもっと上手に甘えられるんだろうけど、残念ながらA型チームはこんな時二人とも下手くそだ。片手がこちらに差し伸べられるようにはみ出ていて、そっと包むように握った。一緒に寝ようって今日の今日まで言えなかったなんて、笑ってしまう。どんだけ照れ屋なんだ、あなたもわたしも。手があったかい。それに、とても小さい。いつもは誰よりも聡い彼女が、たまらなく健気に思える。やっぱり抱きしめて寝ればよかったかも。抱き枕、普段から使ってないことを少し後悔する。
「宇田ちゃん、もう起きたの・・・?」 「え、あ、うん」
できるだけ物音をたてないようにとか、無駄な努力だったらしい。よく考えたら、起き上がった拍子に布団が動いているから、さすがに朝弱いルビでも起きるだろう。
「ごめん、起こしちゃったね」 「ううん・・・」 「まだ少し時間あるから、寝てていいよ」 「・・・手」 「え?」
ルビの手と重なった私の手が、少し持ち上がって布団にぱたんと倒れる。それが二度くり返されて、自分がどんな状況なのか気がついた。
「あ! ご、ごめんね」
とっさに放り出す勢いで手を離す。さながらおさわりに飽きたあの人みたいな仕草。隣で寝てる人が知らない間に手握ってるとか、やばい。変だと思われたかな。思っただろうな。あの人みたいに普段からそういうキャラだってことなら申し開きもできただろうけど、普段そんなにスキンシップしないのに二人きりの時だけとか、まずい。そういう人みたいじゃん。 頭は回る一方で、それらしい言い訳は一個も思いつかない。ああー、致命的だ、このアドリブの利かなさ。どうしようどうしようどうしよ
「・・・」
無言で、手をつなぎ直された。
「え?」 「宇田ちゃんの手、あったかい」
細い指が、焦って手に汗でもかいてそうな私の手に絡み付く。
「る、ルビ?」
同時に、ルビの目がすーっと閉じていく。あ・・・そうか。まだ半分寝てる状態だったんだ。しっかり手を握ったまま、再び夢の中へ。 時計を確認。あと30分はこのままでも、まだ間に合う。それまでは、ずっとこうしていようね。ちゃんと覚醒した時、ルビがどんな顔するかはわからないけど。
2012年09月24日(月)
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