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■ 君のいらないものは僕のほしいもの
甘い、うまい。机いっぱいに広げたチョコを片っ端から口に詰め込む。味わうことだけに熱心になっていたら、ふいに正面に座っていたクラスメイトが肩に腕を回してきた。 「ねぇ、月島」 「ん?」 そのまま顔を近づけて、ニコニコと笑いながら耳元で囁く。 「チョコの代わりに星ちょーだいよ」 ふざけているようで、言葉の奥に本気の響きが秘められている。直感でそう思ったが、答えは簡単だ。 「やだよ〜ん」 「えー?だってうちらこんなにアンタにチョコあげたじゃん」 だから、代わりに星をひとつくらい譲って欲しい。それが彼女の言い分だった。星をたくさん持ってるんだから、ひとつくらい交換したって罰は当たらない。 「だめ〜」 確かに、星はたくさん持っていた。でもひとつだって他人にはあげられない。交渉は常に決裂だ。
「うまいなー。紅愛、こんなにたくさんいーのか?」 「いいわよ。好きなだけ食べちゃって」 紅愛の教室に行ったら、さっき食べた倍ぐらいのチョコをまたもらった。うれしい。これは全部紅愛宛てのチョコだ。でも紅愛はいらないのだ。 「甘いものって大量に食べられないのよね」 クールに言い放ち、爪を磨いている。横顔が、いつもの興味なさげな退屈そうな紅愛で、安心する。 「あんがとー」 「代わりに、星をちょうだいね」 来週までに、あと3つは奪りたい。紅愛は欲しいものを口にした。 「りょーかい」 それは、ちゃんとあげようと思う。みのりは星はいらない。チョコはほしい。だから、チョコはもらうし星はあげる。それだけだ。
※ちょい前のワルだった頃の月星のバレンタの日。
2008年02月16日(土)
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