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■ 雨と泪
「清磁が泣いてるの、久しぶりに見た」 彼女は最近大人になった。久しぶりに見せた泣き顔でそんなことを思った。昔は珍しいもんじゃなかったから。普段は無表情なのに千明の前ではよく泣いた。彼女が意外に泣き虫だと知るのは千明と他数名しかいない。 「泣かなくなるってのは、大人になるってことなんだね」 俯いて膝を抱えている彼女の髪を撫ぜる。だから正確には泣き“顔”じゃないけど。顔は本当に一二回しか見たことないけど。 「……千明」 「ん」 枯れた声で呼ばれる。 「どうして、いつも」 しっかり膝を固定している両腕から、頭が少しだけ浮上する。くしゃくしゃになっていた前髪が余計乱れる。 「さぁね、なんでかね」 たまには、見たいと思った。今まで忘れていたのに。優越感じゃなく、嗜虐心からでもないと思う。 雨降りの日は空気が湿るように。 この人が泣かないと乾きすぎるのだ。色々と。
2004年01月02日(金)
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